「石垣りん詩集 表札」の読書感想文
石垣りんさんの詩集「表札」を読みました。これは全作品の中から編者田中和雄さんによって編まれたものです。
教科書に載っていた「シジミ」を読んだことはありました。その時の印象はユーモアに溢れた作家。しかし、他の作品をあわせて読むと「シジミ」の終わりの二行の印象が大きく変わります。教科書時代は「夜だし、お店終わってる。深夜放送はツマラナイ」そんな印象でした。しかし、同居する家族や健康に関する詩を読むとそんな単純なものではないと大きく印象が変わりました。それでユーモラスな部分はあります。天井裏にネズミがレモンを曳いていくところを想像すると面白く、おかしいです。
戦争についての作品もとても印象的です。「雪崩のときを」を読んだ時にテレビの海外ニュースで見た場面を思い浮かべました。
ABCニュースのキャスターが米国の大統領補佐官や民主党の上院議員にウクライナや中東の問題について聞きました。
Are you satisfired?(あなたは満足していますか?)
聞かれた相手は「我々も被害が拡大することを望んていない」、「大統領は上手くことに当たっている」等々の言葉を並べます。しかし、「はい」か「いいえ」で答えることはできません。意図しない方向に流されながら、それを止めることもできないイヤな感覚。詩は少ない言葉で核心を衝く。そんなことを考えながら読みました。
編者のあとがきにある領収書から雑誌等が積み上げれた上に座布団を敷いて天空のベッドにしていた1DK、通称「カミ屋敷」の話も面白かったです。緩やかなスロープをつくって、タオルでシューと滑り降りる。やってみたいです。詩の世界は広大すぎて難解です。それでもやはり楽しいです。
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