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「妻VS和牛専門店」

 今日は、土曜日なので自由が丘の和牛専門店へ家族幾で行く日だ。
 娘は、贅沢にも和牛は飽きたから行かないという。その分、安く済むので助かると思っていると、現金で和牛のランチ分、頂戴!という。
 親だけ贅沢をし子供に苦労をかけていると思われたくないので、現金で一万円あげた。千円札、10枚であげた。その方が、使いやすいだろうし、一万円札を無くされては大変だからだ。
 娘は、イジメね!と吐き捨てるように言った。
 
 夫婦で和牛専門店へ行くのも良いと思った。
 わたしは、いつもの和牛が重箱に入っているものにした。
 妻は、贅沢で7000円のランチ特上セットであった。
 さらに、妻はサラダ、コーヒー、デザートの抹茶アイスを頼んだ。
 余りにも注文するのが手際よく早かったため、文句を言えなかった。

 わたしは、お重に入って来た薄い和牛を、なめるがごとくに味わった。
妻は、肉を焼かなければならなかった。
 簡単に言えば、高価な焼肉である。

 妻が、網に肉を載せて焼こうとすると、天井のエアコンの風で火が強くなったり、弱くなったり、斜めに炎が向いたりしたため、きれいに肉を焼くことができず、丸焦げになった肉が多かった。
 
 妻は、店員さんを呼ぶわ、と言った。
 店員さんが来ると、お宅のエアコンの風が肉を焼くときにあたって、炎が強くなったり弱くなったりで、丸焦げになった肉や半分よく焼けず生の肉とかで困っているの。席を変えて、新しいお肉と交換して頂戴!と言った。
 店員さんは、どうもすみません、お席を変えるのですね、分かりました、そして、お肉のセットを追加ということですね、と言った。
 
 妻は、お肉のセットの追加ではなくて、交換するのよ!と、キツク言った。交換するのは構いませんが、新しく料金が発生いたします。無料で交換はできかねます、というと、あなたが料金を払えばいいでしょう、こちらは、毎週来ているのよ、わかるわよね、と食い下がるように言った。
 まさか、こんなに焦げた肉を食べさせてお代は取れないわよね、と追い込むように詰め寄る。
 店員さんは、すみません、と何回も謝るばかりだ。
 妻は、謝るんじゃなくて、お肉のセットを交換するのよ、耳が悪いの?それとも頭が悪いの?と興奮した口調で言う。
 何を言われても、返ってくる言葉は、すみません、だけだ。
 
 気が短い妻は、もういいわよ、黒焦げのお肉でがまんすればいいんでしょう、と啖呵を切る。
 お会計の時、コーヒーとデザートが無料になっていた。
 中々、偉い店員さんだと思った。
 妻は、カスハラ・チャンピオン決定だ!

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