今あるデータを新たなビジネスへ。「データマネタイゼーション」の手法&事例集
「DX」の概念が普及し、データ利活用の重要性がすでに社会における共通認識となった今、感度の高い企業やビジネスパーソンに注目されているのが「データマネタイゼーション」という概念です。
単なる業務効率化にとどまらずマネタイズへとつながり、新たなビジネスを切り拓くデータ利活用のあり方について、国内外の企業における事例を交えながらご紹介します。
今注目のビジネスワード「データマネタイゼーション」とは?
データマネタイゼーションとは、企業や組織が保有するデータを利益を生み出す形で活用すること、つまり「データで収益を得ること」です。「データを経済的価値のあるものに変換するプロセス」とも言えるでしょう。
身近な例で言えば、ユーザーの行動や好みに基づくデータを使用して広告をパーソナライズすることも、データマネタイゼーションの一つの手法です。
事業や活動を進める中で蓄積されるデータを貴重な資産として活用できれば、新たな経済的価値の創出が可能になります。
プライバシー保護、専門人材の不足などさまざまな課題はありますが、いま多くの企業・組織がそれらの課題を乗り越え、データマネタイゼーションを実現しようとしています。
データマネタイゼーション事例集〜様々なビジネスモデル・マネタイズ手法
「データで収益を得る」と聞くと、調査会社が独自に調査をおこなってデータを収集し、その結果を販売する形態が第一に思い浮かぶかもしれません。あるいは「電話帳」のように顧客情報を販売するビジネスも、古くから存在するデータマネタイゼーションモデルの一つです。
しかし、いまやデータマネタイゼーションの方法は、「データを売る」というシンプルなモデルだけにとどまりません。さまざまな企業が、社内に蓄積されたデータを収益につなげています。いくつかの事例を交えて、データマネタイゼーションの手法を紹介します。
(1)社内に蓄積されるデータを外部に提供してマネタイズ
まずは、社内に蓄積するデータを外部に提供し、新しいサービスを開発・展開することで収益を得る手法です。
身近な事例として、自動車メーカーが保険会社に走行データを提供し、自動車保険料の調整に活用するケースがこの手法に当てはまります。このデータ連携によって、「走行距離に応じて保険料を増減させる」という、保険契約者にとって魅力的なサービスモデルが実現しました。
(2)社内データを社外データと組み合わせて、外部に提供してマネタイズ
自社のデータと社外のデータを組み合わせることで、データの価値が飛躍的に高まるケースがあります。そうやって価値を高めたデータを販売し、収益を得る手法です。
具体的な例としては、グーグルが資金提供するスタートアップ、Abundant Roboticsがあります。彼らは自社製の果実収穫ロボットが作業中に収集するデータを衛星画像のデータと組み合わせて、農作物の収穫量に関する情報を求める企業に提供しています。
(3)複数企業が社内データを持ち寄り、新規ビジネスを創出してマネタイズ
複数の企業が各自のデータを共有し、そのデータを基に新たなビジネスやサービスを創出するケースも増えてきました。
たとえば、保険会社の損害保険ジャパンと気象情報会社のウェザーニューズの協業が挙げられます。これらの2社はそれぞれ、事故データと気象データを持ち寄って解析し、自然災害のリスクを予測する新たなサービスを展開。運送業者や再生可能エネルギー事業者向けに、事故予防に役立つ情報を提供します。
また家電メーカーのシャープは、関西電力・KDDI・セコムと連携し、自社製品から得られる家電データを活用して「みまもりサービス」を提供しています。離れて暮らす家族の安否を手軽に確認でき、大切な人の「もしも」に備えられるサービスです。
組織を超えたデータ連携によって、社会に役立つ新たなサービスが次々と生み出されていることがわかります。
(4)データ活用の仕組みをつくり既存ビジネスを強化してマネタイズ
ここまで、自社データを社外に出して収益を得るタイプの手法を3つご紹介しました。最後にご紹介する手法はそれらとは毛色が異なり、社内でデータを活用して収益を向上させる手法です。冒頭に紹介したパーソナライズ広告も同じカテゴリで、これらは「広義のデータマネタイゼーション」と呼んでも良いかもしれません。
この手法の好例として、実験機器・試薬品メーカーのサーモフィッシャーによるプラットフォーム「サーモフィッシャーコネクト」があります。実験データやプロジェクト進捗を管理・共有できるこのプラットフォームは、無料で提供されています。しかしこの無料のプラットフォームにより、同社の収益は大きく拡大しました。試薬の在庫状況や消耗量を把握し、ユーザーが必要とする消耗品やスペアパーツを最適なタイミングで提供できるようになったからです。
「データマーケットプレイス」が社外連携型データマネタイゼーションを加速
さて、ここまでご紹介した4手法のうち、「データ活用の仕組みづくりで既存ビジネスを強化」は、多くの企業で進んできた印象です。一方でそれ以外の3つ、つまり社外連携型のデータマネタイゼーションについては、いまだ「これからの課題」として掲げる企業が多いのではないでしょうか。
社外連携型データマネタイゼーションに役立つサービスとして、いま密かに注目されているのが「データマーケットプレイス(データ取引所)」です。データマーケットプレイスとは、多数の売り手と多数の買い手が集まってデータの取引をする場所のこと。詳しくは下記の記事も参考にしてください。
それぞれのデータマーケットプレイスに特徴がありますが、ここでは、私たち日本データ取引所が運営する「JDEX」をご紹介しましょう。
JDEXは、業種・分野を問わず様々な企業や組織に利用いただける領域横断型のプラットフォームで、2023年5月現在、すでに200近くの組織が会員となっています。
スタートアップから上場企業、さらには研究機関などいろいろな組織が集まる、この多様性こそがJDEXの強みの一つです。なぜなら、分野を超えて協業パートナーを見つけるのに最適なプラットフォームだと言えるからです。
もちろんクラウドコネクタなど、データの社外連携を容易に、そして安全に実施できる機能が揃っています。JDEXは、組織の壁を超えてデータマネタイゼーションに取り組み、新たなビジネスチャンスを創出したい組織に心からおすすめできるデータマーケットプレイスです。
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