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副業の次は「経費からの自由」 ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える 第22回 (2021.09)

7人でリレー連載を続けている日経産業新聞「HRマネジメントを考える」からのここでの再録、随分とさぼってました。2年くらいさぼってますね。で、連載第22回目の引用になります。まだ、2021年だ。
キャリア自律をうたいながら、副業を認めないどころか、いきなり単身赴任を伴う異動発令をする意味不明な企業ってまだありますよね。自由を提供しない環境で自律しろってどういうことでしょうか。
いちいち会社が許可するしないを検討するのも、とても非効率です。自由を提供できる自信のない組織は、よい人材を集めにくくなるのは間違いないと思うのですが。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2021.09)
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副業の次は「経費からの自由」
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 数年前から副業解禁が話題です。 私もいくつか副業をしています。副 業は今日的な話題と思われがちです が、そうではありません。農業でい えば1950年に専業農家は全体の 半分強しかなく、兼業農家がその後 も大きく比率を伸ばしています。  
 総務省の就業構造基本調査で、本業所得を100万単位で区分すると 副業従事者が一番多いのは200万〜299万円の層です。また、リク ルートワークス研究所による副業実 施理由の調査では1位「生計を維持 するため」、2位「生計を維持する 費用以外の余裕資金を確保するため」となっており、兼業農家同様に 収入補塡型の副業が中心です。
 副業解禁に踏み切る企業も増えていますが、収入補塡型よりキャリア 自律型の副業を求めているように感 じます。そもそも就業以外の時間を 社員が何に使うかは自由で、副業禁 止自体がどうなのかという議論もあります。終身雇用で1社に職業人生 をささげ、長時間労働に耐え、その見返りとして安定した収入と雇用を 得る働き方の名残ともいえます。  
 私たちは、働く上で様々な自由を 勝ち取ってきました。最初は「時間 の自由」。フレックスタイム制は幅 広く活用されています。次が「場所の自由」で、テレワークは新型コロ ナウイルス禍以前から広がりつつあ り、この1年半で急速に進展しまし た。そして3番目は目立たないです が「服装の自由」です。私も入社式 と内定式以外はスーツを着なくなり ました。テレワークの普及も服装の 自由を推し進めています。  
 そして第4の自由が「副業の自 由」でしょう。背景には働き方改革もあります。長時間労働の常態化を 見直す流れに加え、日本の賃金伸び 悩みもあるでしょう。  
 キャリア自律型の副業について見 てみましょう。やってみたいことが ある場合でもいきなり起業や転職は はリスクがあります。であれば、副 業として試してみる。好きなことが あって時間を費やしており、プロとして対価を得られるレベルになった ので少し商売としてやってみる。本業をやめる気持ちはないけれど、やってみたいことがある。キャリア自 律型にも様々な理由とレベル感があ ります。このようなことを考えられ るようになったのは、世の中が豊かになった証しだと思います。  
 副業解禁では、企業がいくつかの 誓約事項を求めます。本業に影響がないこと(健康面)、企業秘密を漏 洩しないこと、会社のノウハウを使わないこと、競業とならないこと、 会社の名誉を損なわないことなどが 一般的でしょうか。  
 「副業の自由」の次は何でしょうか。私は「経費からの自由」だと考 えます。私たちは企業で仕事をする 際に様々な経費を使います。それらは上席の許可を得る必要があります。そこで経費相当分も給与としてもらい受け、自分の判断で経費を使 うような世界が「経費からの自由」です。経費を削減すれば直接的に自分の利益になります。巨額の費用に ついては会社から投資してもらう感覚で、個人事業主の世界です。  
 もちろん、すべての社員が時間・ 場所・服装・副業の自由を求めない のと同じように、個人事業主的な働 き方を求める人も一部にとどまるで しょう。ただ、働く側の自由に対する欲求は止まりません。そして自律的な働き方とは、自由の保障があって初めて成り立つものです。

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