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「マインドフルネス」に脚光 脳に休息 生産性向上 ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2019.04)

4月に書いた「HRマネジメントを考える」です。あと、2回で追いつきます。初めて断食道場に行き、そのあとにメンタルコンシェルジュのセミナーでマインドフルネスと脳の関係について学び、ちょっとかぶれていた時期です。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2019.04)*************************************
「マインドフルネス」に脚光  脳に休息 生産性向上
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私たちは日々、様々なストレスの中で働いています。ストレスをもたらす要因をストレッサーといいますが、私たちはストレッサーをコントロールできません。上司がストレッサーだという部下が、自分の意思で上司を変えられないのがよい例です。ですから、私たちは上手にストレスと付き合い、上手にストレスを軽減させることを考える必要があります。

その手法の1つとして「マインドフルネス」が脚光を浴びています。マインドフルネスとは「『今ここ』の体験に気づき、それをありのままに受け入れる態度および方法」のことです。グーグルやフェイスブックといった名だたる企業がマインドフルネス瞑想を社内研修に取り入れています。

脳の仕組みからマインドフルネスを考えてみましょう。私たちの日常はますますマルチタスク化しています。1つのことに専念して仕事をするより、様々な仕事やプロジェクトを並行して進めることが求められます。

同時並行で複数の業務をこなして生産性を高める。パソコンの画面にいくつものソフトを立ち上げて仕事をしていますし、作業の途中で飛び込むメールなどにも対処します。しかし、マルチタスク化は本当に私たちの生産性を高めているのでしょうか。

実は私たちの脳は構造的には1つのことしかできないそうです。マルチタスクはできないのです。同時に3つの業務をしていても、3つのことを素早く切り替えているだけで、並行して作業をしているわけでありません。脳の注意を連続的に別の業務にシフトさせながら仕事をしているだけなのです。

つまり、マルチタスクは脳の仕組みからみるとマルチシフトだといえます。注意をシフトする行為は脳に多大な負担をかけます。それがストレスを発生させる要因にもなるのです。私たちは知らず知らずのうちにマルチシフトの罠に陥り、脳を疲れさせてストレスを招いています。

さらには自らマルチシフトの罠に飛び込んでもいます。隙間時間についついスマートフォンをいじるのも脳の注意をシフトさせる行為です。結果として、脳は疲労します。

脳は2つのタイプの情報処理モードを持っているといいます。1つは「することモード」、もう1つは「あることモード」です。「することモード」は「思考のモード」であり、ゴールを目指して論理的にものごとを考えて問題を解決していきます。まさにビジネスのモードです。

これに対して「あることモード」は「感覚のモード」です。今の感覚に注意を向け続けるモードです。味わいながらゆったりと食事をする、森林で鳥のさえずりに耳を傾ける、川のせせらぎや海の波の音に身を任せる、そんな時間です。

呼吸に気持ちを集中させるヨガなどもまさに「あることモード」をつくりだす行為です。「今ここ」に気持ちを集中させるのです。意図的に「あることモード」に身をおくことで脳を休ませれば、「することモード」の力も強化できます。

過去を悔やみ、将来に悩みがちの私たちですが、とらわれを捨てて「今ここ」に気持ちを寄せる。マインドフルネスへの取り組みはマルチシフトを減らし、「あることモード」に私たちの脳を導きます。脳の休息と創造性や生産性の向上をもたらす可能性を秘めているのです。


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