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劇的に進化もできた2年 ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える 第23回 (2021.12)

日経産業新聞「HRマネジメントを考える」の再録、昨日に続いて第23回目です。2021年の暮れ。コロナ禍により世界が一変したのにも、だいぶ慣れていた頃ですね。必要は発明の母ではありませんが、あのウイルスは私たちの生活の様々な進化を加速させた面もあります。そして、結構、価値観も変わったんじゃないでしょうか。当時、前向きに変わった2年間を振り返った記事になります。「むやみに元に戻すという思考停止的な行為に陥らず、本当の意味での新しい生活、新しい仕事を自分の頭で考えることでしょう」と書いていますが、ちょっと流れは怪しいですね。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2021.12)
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劇的に進化もできた2年
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 2021年も残りわずかとなりました。この2年、私たちの仕事も生活も大きな変化に直面しました。やりたいことが自由にできない日々の切なさも実感し、多くの命が奪わ れ、後遺症に苦しむ人、職を失ったも人もいます。振り返ると、できなかったこと、あきらめたことが脳裏に 浮かぶのは仕方ありません。しかし、本当にそれだけだったでしょうか。過去のやり方を見直し、新たな方向性にカジをきった2年、多くのことを得た2年でもあるはずです。  
 ビジネス面では、劇的に浸透したテレワークが最大の変化かもしれません。特別な技術革新というより、組織として本気になっただけで実現できたのです。  
 テレワークがもたらしたのは「時間」です。片道1時間の通勤なら1 日2時間が新たに生まれます。20日 労働で月40時間、年480時間です。睡眠などを除いて1日16時間で考えると30日、なんと1カ月です。私たちはテレワークによって「うるう月」を得たのです。家族との夕食時間を得た家庭、育児と仕事をより両立できるようになったパパママ、良い変化は多数あります。  
 業務の工夫も進みました。DX(デジタルトランスフォーメーション)が流行語になりました。デジタ ル化で社会を良い方向に変えるDX に多くの組織が取り組みました。印鑑文化は崩れ、出張しなくても会議や商談ができるようになり、会議のやり方も進化しました。不要な慣例的会議は淘汰されました。  
 テレワークは難しいと当初思われた現場業務でも、技術的な工夫に運用の知恵を加えて遠隔操作が可能になった例があります。私たちが2年間、本気で取り組んだ成果です。これらの変化がものすごいスピードで 進んだことを考えると、組織の意思決定のやり方も少し洗練されたのかもしれません。  学びの世界も大きく変わりまし た。大学ではオンライン授業が続き、ぎこちなかった授業も教員の努力によってオンラインの良い面が認識されるようになってきました。ある先生から、今までは教室の前の方に座る学生の名前ぐらいしか覚えられなかったが、一人ひとりが逆に見 えるようになったと聞きました。今 後はリアルとオンラインの最適融合を追求することになるでしょう。  
 オンライン講座の最大のメリットは、学びの東京一極集中を崩せたこ とです。魅力的なセミナーはほぼ東 京でしか開催されず、地方の人は多大な時間と費用を投入して上京する か、あきらめるかしかなかった実態が一変しました。会場手配が不要なため、その気になれば多くのセミナ ー・勉強会が開催できています。地方在住の学び手には革命的です。採用面接も同様に地方学生の苦労が相当軽減され、やる気のある学生は就活の行動量を増やせています。  
 大変な日々を過ごしている方が多いことは間違いありませんし、誰しもがつらく不安な現実に向き合いました。ただ、得られた一面もあった2年なのです。大切なのは、むやみに元に戻すという思考停止的な行為に陥らず、本当の意味での新しい生活、新しい仕事を自分の頭で考えることでしょう。もう一度、本気になる。それをしっかりと考えた組織には、優秀な人が集まるはずです。  
 最後にもう一つ。人と出会えると いうことが、どんなに素晴らしいかも再認識できた2年間でした。

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