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社会人として成熟している…

年末の酒場のカウンターでの会話。「もう30過ぎたけど、ぜんぜん大人じゃないんだよな」「俺は40になるけどおんなじだよ」。自分が若い頃の30歳、40歳は実に大人に見えたものです。60歳はすっかりと老人です。でも、いざ60歳になっても、大人になれているかなあと、ふと思います。正月早々、呑み過ぎて記憶なくしたし。

渡辺美枝子先生編著の「キャリアカウンセリング再考」を昨日の中央線の行きに再読開始しました。残念ながら帰りの中央線の記憶はありません。そこに「社会人として成熟している常識のある普通の人が、良いカウンセラーである」という言葉があります(25ページあたり)。「社会人として成熟」「常識のある」「普通の人」という3つの要素からできている一文です。

3番目からいきます。「普通の人」というのは重みがあります。「専門家ぶってクライエントの理解できない専門用語を連発したり、クライエントを見下げるような態度をとったり、間違うことはないという誤った自信で他者に接したりするようなカウンセラーに対する警鐘です」との追加説明があります。私達は専門家でなければいけませんが、専門家ぶるのは実に格好悪い行為だと思います。特にトレーナー業ではこれを意識します。可能な限りわかりやすい言葉で語ることです。これは人事パーソンとしても大切です。それができるのが本当の専門家だと思います。そして、カウンセラーは普通の人だからこそ、その機能を果たすために専門的訓練を必要としているのです。

次は常識です。「常識のある」と聞くと、常識さえあれば専門的知識はいらないと勘違いしがちですが、それはまったく違います。広辞苑によると常識とは、「ふつう、一般人が持ち、また持つべき一般的な知識、それとともに理解力、判断力、思慮分別を含む」とあるそうです。常識のある普通の人が、しっかりと専門知識を学び、専門的訓練を受けるのです。

そして、いよいよ「社会人として成熟」です。4つの要素が指摘されています。
➀ 価値観を異にする多様な人と共存でき、他者を思いやることができ、ともに働ける
➁ 自己中心的ではなく、必要なセルフコントロールができ、言動が一致している
➂ 感情豊かであるが感情的ではない
➃ 自己責任をとるといった言葉で表現できる
これ特に3番目がいいですね。まあ、この3つであれば、そこそこ実現できているかもしれません。ただ、➁は時に難しいですね。

最後に4つの警鐘も書かれています。やはり、カウンセラーである前に、人なのです。
➀ カウンセリング場面とそれ以外の場面での行動に大きな開きがあり、日常生活での人間関係がカウンセリング場面と大きく異なるため、他の人には言動が一致していないように見え、その結果、信頼できない人という印象を与える。
➁ 行動が権威的で権力志向である。
➂ カウンセリング場面では他者を受け入れることが大切だといいながら、日常生活では価値観や理論異なる人と対話ができなかったり、人の集まる場で、周りの人とごく普通の会話ができない。
➃ 相手には自己理解を求めながら、カウンセラー自身は自己対峙せず、自己認識を回避して自分の世界や理論に閉じこもり、常識的な判断力や思慮分別に欠ける。



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