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「越境学習」の効能 学びのサイクル作る ~日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2017.12)

なんか頼まれてちょこまかいろんなところに書いたりすることがあるんてすが、整理がよくないので記録がほとんどされていません。なんとなくもったいないなぁという気もするので、とりあえず手元にあるものであまり長くないものについて、アーカイブをやろうと思い立ちました。

日経産業新聞に一昨年の暮れくらいから、6~7名でリレー連載のようなものを書いてます。2カ月に1回くらい担当がまわってきます。各内容は広い意味でHRに関係があれば何でもOKになります。で、初回は迷わず「越境学習」をテーマに選びました。見出しは編集の方がつけてくださいます。

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日経産業新聞 HRマネジメントを考える (2017.12)
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「越境学習」の効能  学びのサイクル作る
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「越境学習」という言葉を聞いたことがありますか。文字通り「自らが所属する組織と外部との間にある『境』を自発的に越え、外部に学びの場を求めること」です。
ここには2つのポイントがあります。単に社外の勉強会に参加することを指すのではなく、①自発的な学びであること、そして、②外部で学んだ果実を社内に持ち帰り、業務に役立てて還元しようとすることです。
社外のセミナー、ワークショップなどに参加するケースや、社会人大学院にチャレンジする人もいます。最近では自主的に学びの場を立ち上げるビジネスパーソンも増えてきています。
「越境学習」を語る際、2つの異なる視点があります。今や社内の知見だけで新たなビジネスのアイデアを創出することは困難です。企業レベルでは外部とのコラボレーションやアライアンスを進めるわけですが、個人レベルでの活動も重要です。
自らの業務のレベルを上げるため、新たな発想を得るため、意欲ある社員は自主的に外に出て学びます。そして、その成果を業務に還元し、さらなる学びへの意欲が湧く、という学びのエコサイクルが形成されます。結果、企業としての知見も拡大し、新たなビジネスや改革の種にもなりえます。これが1つ目です。
2つ目は、学習行動する人自身の振り返りの機会、さらにはその延長上としてのキャリア開発の視点です。「暗黙知」に慣れきった社内を出て、多様性あふれる社外の世界に触れることにより、私たちは多くのことに気づきます。相手が社内の仲間であれば、わざわざ説明の必要のないことを語る場面も出てきます。
改めて、自分の会社や仕事、そして自分自身を言語化する必要にも迫られます。当たり前だと思っていたことが、当たり前ではないかもしれないと感じることもあります。
「自分とは何か」を考える瞬間も生まれます。自分の強み、弱み、興味などを再認識することもあります。自社の魅力や優位点に気づくこともあるでしょう。いつもの仲間と一緒にいるときには得られない経験や刺激、気づきが得られるのが越境学習の醍醐味です。
新卒で入社して数年もたつと漠然と外の世界をみてみたいと感じるときがあります。その思いが高じると転職に踏み切ることもあります。そんなときにも越境学習はお薦めです。冷静に自分と自社を考えるよい機会なのです。そして、まだここでやれることがあると気づくこともあります。日常業務に忙殺される中では、自分自身や自社をリフレクションする機会はなかなかないものです。
私のいる会社には「越境学習奨励金」という制度があります。何らかの形で業務に関連ある社外での学びに自発的に勤務時間外で参加した場合、上限金額はあるものの費用の半額が会社から補助されます。ただし、申請には上司の承認が必要です。
上司には業務との関連性の確認を依頼していますが、上司の承認を必要とする理由がもう1つあります。それは、どんな思いで、何を学びにいくのかをきちんと上司に伝えて欲しいということです。上司にはメンバーの思いを理解して接して欲しいからです。
あなたも越境学習に出かけてみませんか。人生100年時代といわれています。これを豊かに生きるためにも、学び続ける力を得ることは大切なことだと思います。



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