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住むように呑む~広島編(後編)

「住むように呑む~広島編」、3日目の夜からは後編に入ります。「住むように呑む」とは何かについては、「住むように呑む~広島編(前編)」の初めの方をみてください。一応、緩い定義があるのです。

広島滞在3日目、目一杯ホテルで働いての夕暮れ時です。さあ、呑みに出かけます。家の近所吞みをするように地方で吞めるのが、「住むように呑む」の醍醐味です。前日に徘徊していたエリアで記憶に残っている魅力的な店名の酒場に来ます。SNS投稿でも何度か見ていたのですぐにピンときましたし、燗酒が呑めるのも知っています。「焦がし焼きそば嬉一」(本日1軒目、通算13軒目)です。店名に「焼きそば」がつき、さらには「焦がし」です。もうそれだけで入りたくなります。もと粉屋としては惹きつけられる店名なのです。

赤星の中瓶を頼んで、なぜかメニューに存在する黒はんぺんフライに、骨なし豚足唐揚げからスタートします。普段は1杯目から燗酒ですが、それだけ暑いのです。そしてホテルが街中から遠いのでかなり歩くのです。さあ、こちら果たして何料理屋かといえば、日田焼きそばの酒場です。なのに黒はんぺんがある理由をついついお聞きします。
そして奥には燗酒向けの一升瓶が居並びます。美味しいのを2つ飲ませていただきました。気づいたら超満席。そろりそろりと外に出ますが、まだ外はあまりに暑くて一気に汗が噴き出します。また、いったんホテルに戻ってシャワーを浴びて着替えることにします。まだ、1軒目なのに。

焼きそばに冨玲、欠かせない目玉焼き

何人かの方から「エキニシ」というエリアが面白いと聞いていたので、ホテルに戻ったついでに、広島駅まで一気に路面電車で向かうことにしました。歩くのが少し疲れたという正直な事情もあります。

広めの路地です、これが何本か並行してあるんです

そして、広島の「エキニシ」というエリアに着きます。文字通り、駅の西にあります。古典的な酒場街なのか新興酒場街なのかわからない、多種多様な小さ目の酒場が並ぶ結構広めの横丁が3から4本ほど並列にあります。これが実に魅力的なんです。とてもとても全貌は把握できませんでしたが、チェーン店はなく、酒場としてのすべての業態がある感じです。老若男女、グループも1人も、誰でも楽しめる酒場を見つけられそうです。

けして入りやすくはなさそうな入口

ふらふらと徘徊して、比較的深そうな酒場に入ります。日本酒専門の立ち飲みです。お燗はつけてくれるでしょうか。「丸」(本日2軒目、通算14軒目)です。冷酒・燗・燗+αααといただくことができました。いただいたアテもとても良かったです。果てしなく広島県内の酒があります。隣り合った8月生まれの方とお話しつつ、結局は何杯、呑んだことでしょう。かなりできあがります。

このあたりから、ぐだぐだになったような。次々呑みます

さあ、梯子酒です。果てしなく梯子酒ができそうな環境です。次は、ジンが豊富に並んでいる酒場に吸い込まれます。腹具合からみて、もうバータイムです。そして実はジンが好きなのです。凄まじいジンの品揃えです。

「BAR196」(本日3軒目、通算15軒目)です。「SIPSMITH」というジンのソーダ割を呑んでいたようです。申し訳ないのですが、相当に日本酒呑んだので、あまり味の記憶まではありませんが、とても良い酒場だったという記憶だけあります。ジンはやっぱりソーダ割です。

ジン!!

広島エキニシ徘徊は続きます。このエリアでの3軒目です。「酒場シュービル(本日4軒目、通算16軒目)」というところに入ります。ちゃんと外部記憶には残っていますが、ラフロイグのソーダ割を呑んでいます。なんかいろいろとお話をしたような気がしますが、とても良い酒場だったという記憶だけがしっかりと残っています。

すっかりバータイム

エキニシでの徘徊、すっかりバータイムにどっぷり浸っていますが、なぜかその次にはラーメンを食べています。そして、スーパードライを呑んでます。なんか徘徊していてとても目立つラーメン屋なのです。「ラーメンたかひろ」(本日5軒目、通算17軒目)です。

こんな写真の酔っ払い

この日の1軒目では揚げ物をあれこれ食べたあとに焼きそばで〆たので、ラーメンはいかないだろうと思ったのですが、どこかで記憶がリセットされたみたいです。このあと、どうやってホテルに帰ったのでしょうか。よくあることですが、さわやかに記憶がありません。腹には確かにラーメンの重みが残っていました。ぐっすりと寝ます。

エキニシにラーメン屋は1軒しか、みなかったような気がします

4日目も普通に仕事です。そして普通にランチに出かけます。3食目のお好み焼きです。にっぽんお好み焼き協会監事としては大切な仕事です、「花ちゃん」です。美しい鉄板です。

手入れのされた鉄板が好きです

広島のお好み焼き屋の数は凄いです。どこにでもあります。東京のラーメン屋、ナポリのピッツェリア、秩父のホルモン屋に匹敵します。そして、広島焼きが美味いのです。まったく認識が変わりました。頼んたのは、そば肉たまごにイカ天のトッピング。お好み焼きを食べるということは、大量にキャベツを食べるということです。とんかつの付け合せよりも間違いなく多いです。しゅんとしたお母様1人での営業です。そして、あっという間に満席です。会議を早く終わらせて来て良かったです。

花ちゃん

さあ、いよいよ最後の晩、仕事を終えて夕暮れの街に出ます。今回、とてもとても行きたくて、ただ1つ予約までした酒場です。で、やっばりとても好きな酒場でした。この酒場に来るためにこの街に来たいというのは、博多の「捏製作所」でも感じていることですが、こちらでも同じような気持ちになりました。「山椒魚」(本日1軒目、通算18軒目)です。

ろんぐカウンター

スパイス料理というかネパール料理と燗酒の酒場です。両者がばっちり合うのは世界中の酒飲みが知る周知の事実ですが、そこに果てしない愛が加わります。スパイス&ハーブの大半は自家農園産です。1つ1つのメニューの説明が素敵です。酒は好きなものしかありません。広島近辺の皆様、一緒に「山椒魚」に呑みに行きましょう。安くはないですが、というか、これだけ呑めばいい値段にもなるわという素晴らしさです。滅茶、高いわけではありまん。ご心配なく。それにしても、〆にダルバードが出る燗酒酒場って凄すぎませんか。では、果てしなく写真いきます。

愛すべきメニュー
ガスパチョのパニプリ
十旭日
玉川
山椒魚畑のハーブ生春巻
ネパール蒸し餃子
るみ子の酒
いろいろ豆スパイス炒め
和の月
マサラチキングリル
ダルバードタルカリ
日置桜
開春
アイスクリーム&マサラチャイ

で、感動しながらたくさん呑んだので、1軒だけで相当な酔っぱらいです。写真、取り漏れた食べ物、燗酒もまだあります。
さあ、酔っ払いが目指すは、もちろんエキニシです。前日の一夜で本当に気に入ったエリアです。目についた酒場に気軽に入ります。おでんです。まだ、食べるのか。

ハチノスのおでん

「おでん酒場koh」(本日2軒目、通算19軒目)です。角ハイを頼んで、おでんに行きます。夏こそおでんです。チョリソ、銀杏、ハチノスを頼みます。おでんのバラエティが素敵な酒場です。2階もありますね。お通しのポテサラは燻製っぽいです。ハチノスのおでんは初めてかな。

ということで、エキニシ徘徊は続きます。そして、素敵なワインバーに出会います。「ワインカフェカワサキ」(本日3軒目、通算20軒目)です。

食べたかった、でも満腹だった

赤とロゼをおそらくいただきました。オムライス、ドリアなどのフードが魅力的で、そして安い!来ているお客様も皆さん素敵でした。広島に引っ越して来たくなるような酒場でした。あー、胃袋がカセット式で空の胃袋に取り換えられるといいのに。食べられないので、バーに行くしかないかと店を出ます。

黄色かったかな

「BAR196」(本日4軒目、通算21軒目)です。ついうっかり2日続いてジンのバーにまた来ます。やっぱり自分はジンが好きなのです。今回はスペインのジンをただきます。そして、この酒場、妙に落ち着きます。前夜とほぼ同じ席に座ったみたいです。このあたりから、写真の大半がブレブレです。

唯一、ぶれていなかった写真

このあと、さっきのワインバーで教えてもらったワインバーに行ってみたけど、ほぼ満席だったので断念しました。次回は行かないとと思います。で、その近くの角地にあるいったい何屋かわからない外観の酒場に引き込まれます。「尾野たばこ店」という看板もある「立ち飲みパドック」(本日5軒目、通算22軒目)です。この外観、惹かれますよね。他にも入りたい外観の酒場がいくつかあったのですが、結構、混んでるで断念しました。ここはありがたいことに混んでませんでした。何屋でしょうか。さすがに煙草屋ではないはずです。馬肉でしょうか。それもないよな。

まつたく何屋かわからないけど、立ち吞みであることは間違いない

で、驚くことに立ちのお好み焼き屋でした。満腹なような気もしましたが、広島焼き行きます。もはや、大好きなのです。でも、この外観と店名でこの鉄板は想像しませんよね。奥深過ぎます。

4食目の広島焼き、もといお好み焼き

それにしても、エキニシ、沼のようなエリアです。でも、人が引けるのは結構早い感じです。さすがにお好み焼きで満腹になりました。食べることで酔いも回ったような気がします。たぶん、これでお開きにしたはずです。外部記憶にも何も残っていません。朝、無事にホテルで目覚めます。

最終日です。帰宅してからやることができたので、早お昼だけたべて新幹線に乗ることにします。また、お好み焼きかなぁと思ったのですが、汁なし担々麺をまだ食べていないと思い、昨日、見つけたよさげな店に入ります。夜は完全に酒場のようです。「デリカセロリ」(本日1軒目、通算23軒目)、爽やかなほど業態と無関係な店名です。そして、ロゴがまたいい感じ。

ロゴがかわいいのです

セロリがたくさん乗ってくるのかなと思ったのですが、そんなこともありません。すぐ近くに、くにまつ、キング軒と汁なし担々麺の店のある激戦区です。フライングして開店15分前に着いちゃいました。外から覗いていたら、お店の方が親切に出てきてくださり、暑いからねといって、冷房の効いた中で待たせてくださいます。泣けてきます。

ネギまみれ

汁なしカレー担々麺に温玉、ごはんでいきます。汁なし「カレー」担々麺ってありそうであまりみないです。そして、温玉は欠かせません。BGMは「冬のオペラグラス」がかかり、懐かしのレコードジャケットが壁中を彩ります。担々麺は、ねぎ増しでなくてもねぎまみれです。それにしても、「冬のオペラグラス」は、21世紀になって初めて聞いたような気がします。

壁中、こんな感じの素敵な空間

ということで、新幹線に乗り、東京に戻ります。広島駅の近くで昼のみができる有名な酒場があると聞きましたが、立ち寄れずでした。広島と広島焼きがとても好きになりました。まだまだ行きたい酒場がたくさんあります。意外と燗酒呑まなかったので、次は燗酒中心にしようかなとも思います。ホルモンもまだまだ食べたいです。そして「山椒魚」もいかないと。できれば、エキニシで寝泊まりしたい。あれこれ妄想が残る広島でした。そして、もっといろいろな街で住むように呑みたいです。取り敢えず、また博多に行こうかと思います。

住むように呑む:熊本編(前篇)
住むように呑む:熊本編(中編)
住むように呑む熊本編(後編)
住むように呑む:高知編(前篇)
住むように呑む:高知編(後編)
住むように呑む広島編(前編)


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