プロジェクトの混乱をポジティブに捉えてみる(阿部)
プロジェクトのトラブルを仕組みで減らす取り組み
Webサイト構築では自社とクライアントの双方からメンバーが集い、ひとつのプロジェクトチームを立ち上げます。
プロジェクトが進行すると想定外が発生し、大小さまざまなトラブルが発生します。このトラブルを事前に察知し、大きな障害を生む前に手を打つところにディレクターの手腕が問われます。
JBNではWebサイト構築のワークフローをつくり、個々のディレクターの知見を共有することで、トラブルを仕組みで減らせるように取り組んでいます。
基本的なところでは
アジェンダを事前に共有し、会議の目的やゴールを明記する
デザインの提案時はコンセプトシートともに言語化した資料を用意する
公開前のサイト品質に関するチェックシートを作成する
など、JBNに限らず多くの企業でもさまざまな工夫がされているかと思います。
仕組みで防ぐのが難しいトラブル
ところが、仕組み化で防ぐのが難しいパターンがあります。
それはプロジェクトメンバーの仕事観やポリシーが大きく異なっていた場合です。
プロジェクト初期では表面化しないのですが、プロジェクトが進む中で不満や違和感が蓄積し、あるタイミングでトラブルが噴出するということがあります。人との考え方の違いに起因するコミュニケーションによる摩擦です。
一度、関係性に不和が生じると、『何をやっても気に入らない』モードに入ってしまいプロジェクト進まなくなってしまいます。ディレクターとしては一番避けたい状況です。
しかし、根本的には個人の気持ちやこれまでの経験に由来するので、自分たちコントロールがしづらいのが辛いところです。
そこでトライしたいのが、「コントロールできないのなら自分の認知の仕方でトラブルをポジティブに捉えられるのではないか」です。
組織の成長を示すタックマンモデル
先日、タックマンモデルというチームの成長を4段階に分けるフレームワークを知りました。
タックマンモデルは、1965年に心理学者のブルース・W・タックマンが提唱した、組織成長を段階的に説明したモデルです。
このモデルを自分なりの解釈で簡単に説明します。
1、 形成期(Form)
この時点では個人が集まった初期段階で、お互いのことをよく知りません。
相手の様子を見ている状況です。まだチームにはなれていません。
2、混乱期(Storm)
集まった個人がゴールに向かって進む中で、お互いのことがわかってきた段階です。コミュニケーションが進み、お互いのやり方やポリシーの違いが明確になり、不和が生じ、不満が表面化します。
まさに混乱状態です。
3、統一期(Norm)
混乱期を経験し、規律の必要性を感じ、チームの共通規範が生まれます。
それによりお互いのことを尊重し、思いやる気持ちが生まれコミュニケーションが図れるようになります。
4、機能期(Perform)
チームの文化が醸成し、メンバーの能力が遺憾無く発揮される状態で、成果が生まれる段階
タックマンモデルからトラブルをポジティブに認知する
ここで注目したいのは、2段階目の混乱期(Storm)です。
チームが成長し、成果を生むようになるには混乱期を経験するというのです。つまり、チームには混乱する時期が必要だということです。
混乱期が訪れたときに、目の前で歪み合うメンバーを見て「どうしようか…」と絶望してしまいますが、逆にいえば、チームが成長しているときとも言えるのです。
長い視点で俯瞰的に見れば、必要な過程であるとポジティブに考えられます。(当事者であれば、絶対嫌な状況ですが苦笑)
確かにこれまでの経験でも、混乱期にいよいよ会話がうまくいかなくなったときに、腹を割って話すことでその後のコミュニケーションが円滑になり、以前よりも強い関係で結ばれるということはありました。
コミュニケーション摩擦が起きて、混乱期の気配を感じたら「よし、成長中。必要な工程だ」と余裕を持ってポジティブに捉えていけるのでは。この認知ができるようになるには、相当の訓練が必要そうです。
コミュニケーションの問題がダイレクトに影響するディレクターはいつでもメンタルを削られています。
ポジティブな認知をすることで、少しでもメンタルの疲弊を軽減できたらと思います。
まとめ
人との関係性の中でプロジェクトは進むので、混乱期をいかに乗り越えるかがこれからも大きなポイントですね。
テレビ会議ではなく、リアルな会議や交渉を多く経験してきた、ベテランのプロマネやディレクターは一連のトラブルに強いと思っています。その場の空気を敏感に察知して、手を打つのが早い。しかも、会議の場以外でうまくコミュニケーションをとって不満や本音をさらりと聞けたりします。
これは、リモート環境での仕事やワークフローにのっとった仕事に慣れている場合、気がつきにくい点です。
プロジェクトを見るだけでなく、人の気持ちにも気を配れるディレクターでとして、さらにレベルアップしていきたいところです。
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