「団地物語」〜日常と非日常との狭間における友情の考察〜
こんにちは団土也です!団地の外周管理をしています
この団地の管理事務所にいる男性事務員はとても真面目そうな瘦せ型で、ズボンの裾がいつも短い印象です
そんな彼は明らかに頭部に被り物を付けているのですが、恐らくリーズナブな品物ゆえ、素人でも二度見してしまう程なのです!
さらに人の目線にも敏感で、いつも伏し目がち
他人との交わりを極力避ける様に「話しかけんなよ」オーラで身を強く包んで居る様な人なんです
もちろん私も挨拶程度で、親しく話す事など一度もありませんでしたが
ある昼下がり、少し大きめの地震が起きたのです。震度でいえば5強くらいでしょうか…
住民達も驚いて外へ出て来るほどで、私も作業を中断して暫く様子を見て居たのですが、管理事務からも事務員が慌てた様子で外へ飛び出してきました
団地内の道路には住民達が不安げにそして、少し興奮気味に集まって地震の行方を話し合っていました
何故かそう言う時って普段それ程親しくもないのに、ついつい盛り上がってしまいますよね!
なんと私の隣に居た男性事務員が「結構大きかったですねー!」と話しかけてきたのです
おや、珍し!と思いながら話すうちに、軽い冗談なども交えつつ軽やかトークを展開するではありませんか!
まだ余震が続く中、私は考えました
視線が大事だぞ!目を見て話すのは危ない!ふとした拍子に視線が上にずれた場合、今まで築き上げたフレンドリーな雰囲気は一瞬にして消え去ってしまうだろう!
私は横に並び視線を落とし彼の短い裾が風に揺れるのを見つめながら話しました
その一見、伏目がちで謙虚な態度に好感を抱いてくれたのか、彼は地元の話までしてくれて、かなり心が触れ合った感じでした
その後、住民達は部屋に戻り、私達もなんとなくハッピーな日差しに包まれて仕事に戻りました
翌日、団地内で男性事務員とすれ違った私は、ニコッと会釈をして話しかけようとしましたら
彼は以前と同じ様に伏目がちの厳しい表情で、通り過ぎてしまいました…
私は、まるで段差のない所で躓いた様に一人ズッコケながら
非日常の中で芽生えた友情を日常の中で持続させる事はとても困難なのだな〜!
と思った次第です..
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