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あの春、喉に刺さった棘が疼く時

中学生の時の話です

~静まり返った体育館での全校集会~

校長の長~い話の最中、襲い掛かる睡魔を紛らわすために首を左右に振ったり肩をぐりぐり回していました

更に腰も痛くなり、座っているパイプ椅子を何気なく少しずらした瞬間に何故だか

「ぷ~~」という音がしたのです!

ワックスで磨かれた体育館の床とパイプ椅子の足の部分とが奇跡的なすれ具合での「ぷ~~」だったのでしょう

まあ、まあ、別に大した事ではない…

しかしその時、隣に座っていた同じクラスの女子が「クスッ」と笑ったのです!

最初、咳払いかなと思ったのですが横目で見ると顔を真っ赤にして笑いをこらえていました…

私は今迄の眠気など一瞬で消え、心の中で叫んだのです

「チョッ、チョッ待てよ~!何、勘違いしてくれてんだよ~」

しかし、未だ校長先生の話は終わらず、静まり返った体育館であたふた弁解する訳にもいかず

教室へ帰ったら身の潔白を証明しようと思ったまま、再び襲ってきた睡魔に身をゆだねて熟睡してしまいました

やがて皆が立ち上がる音で目を覚まし体育館を出たのですが、同級生に話しかけられたり、やっと終わった~!という喜びも手伝い、彼女との懸案事項を忘れて帰ってしまったのです…

まあ、まあ、大したことではない…

次の日に言えばいい事だろう。たかだか「屁」一つのことだ!
いやいやいや!してねえし!俺、絶対にしてねえし!

明日は必ず言ってやろうと思っていました「俺の肛門はそんなに、ゆるくねえ!見くびってもらっちゃ困るぜ」って!

しっかし…次の日も言い忘れた。嗚呼~ああああ!

そして その後 タイミングを見失いました…

・・・・・・・やがて卒業した・・・・・・・

まさか卒業式の当日、体育館の裏に呼び出し「あん時、俺...屁~してねえかんな」とは言えないでしょう!流石に...ドラマっぽくないし!

あれから数十年を経て(屁じゃないよ!)オッサンになった俺にとって「屁」の一つや二つ別にど~ってことはない

しかし喉に刺さった棘の様に、季節の変わり目などに思い出します…だからいつか同窓会で会ったら言おうと思っています

しかし、その時が来てもどうせ酔っぱらって言い忘れてしまうのだう...

そして死ぬまで、時折疼く喉の骨を抱きしめながら移り変わる季節を眺めて生きて行くのだろう

誰だってそうさ、人間だもの......


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