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日本ブラインドサッカー協会がマッチングサービスを開発!? 同行援護事業を開始

視覚障がい者とガイドヘルパーをつなぐミートミークス

皆さんは「同行援護」というサービスをご存知でしょうか?

「同行援護」は、2006年より制度化された障害福祉サービスの1つで、「視覚障害により、移動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護その他の厚生労働省令で定める便宜を供与すること」(障害者自立支援法第5条第4項)として規定されています。

つまり、視覚障がい者の外出をガイドヘルパー(同行援護従業者)がサポートする福祉サービスです。主に買い物や余暇活動などの外出時に使用されます。ガイドヘルパーは視覚障がい者に同行して、必要な情報を提供しながら移動を支援します。

ガイドヘルパーは、安全な歩行のための手引きをしながら道沿いの様子を伝えたり、店内の商品棚にはどんな商品があるのかを伝えたり、書類の代筆・代読したりします。

移動の援護をするガイドヘルパーは、同行援護従業者養成研修を受けることが法律で義務づけられています。そのガイドヘルパーは、視覚障がい者の需要に対して供給が追いついていない状態といわれています。

視覚障がい者と関わることが多いJBFAにとって「同行援護」は非常に身近な障害福祉サービスです。同行援護活動の拡大は、障がい者の社会参加を後押しして混ざり合う社会の実現につながります。そして、視覚障がい者とガイドヘルパーが隣で歩きコミュニケーションを取る同行援護は、視覚障がい者と健常者が協力し合って同じゴールを目指すブラインドサッカーと重なるところがあると感じています。

そこでJBFAは、
①同行援護の事業所登録を行うとともに、
②サービスを手軽に利用出きるように新たなアプリを開発しました。

※同行援護についての詳細はこちら(『6 同行援護について』厚生労働省PDF資料)をご覧ください

①同行援護の事業所登録について

JBFAは、2021年4月に同行援護事業の事業所として登録し、それ以降一部のJBFA職員が「同行援護従業者」となり、限定的に同行援護の活動を開始しました。そして、2022年6月に同行援護事業を本格稼働し、多くのニーズに応えていくことを目指しています。

また、ガイドヘルパーの資格取得に向けた、同行援護従業者養成研修もJBFAが開催しています。合計20時間の研修で、講義と実技を織り交ぜたプログラムです。

同行援護研修の様子。上り階段を手引きしている男性。

ある回の実技研修では、新宿の街中をアイマスクをつけて歩行体験をしたり、手引きの練習をしたり・・・! 楽しみながら同行援護について学べる内容となっています。

②新たなアプリの開発について

JBFAは同行援護の活動をしていくなかで、ガイドヘルパーへのニーズの高さを実感する一方、サービス利用の申込みの煩雑さという課題があることも学びました。

まず利用者から事業所に電話で申し込み。その後、事業所はガイドヘルパーと日程調整をする。そのため、サービス利用可否の回答を利用者が得るまでに時間がかかる。

従来の同行援護サービスの申込みには、同行援護サービス利用者とガイドヘルパーのあいだに事業所が入って、日程などの調整が行われています。そのため、サービス利用のための時間や手間がかかります。

そこでJBFAは、同行援護事業を開始するだけでなく、利用者の方が手軽に申込むことができるサービスも開発しました。

同行援護サービス「ミートミークス」はじめました。スマホアプリで簡単に同行援護サービスを利用してみませんか?

アプリの名前は「ミートミークス」。名称とロゴには、人と人が交わることで「目」が生まれて、人と人がつながることで「笑顔」が生まれるという願いを込めています。

◉ミートミークスの特徴
・視覚障がい者とガイドヘルパーをアプリを通じてマッチング
・チャット機能で待ち合わせ場所等の連絡が可能
・弱視の方でも見やすく、音声読み上げ操作も対応

アプリ画面①。TOPページの画面。リクエスト一覧/立候補中/成立済み
アプリ画面②。リクエスト詳細画面。利用者氏名/日時/概要

ミートミークスの普及により、手軽に同行援護のサービスを使用できるようにし、視覚障がい者が外出しやすくなること、それによってQOLの向上につながることを期待しています。


今回紹介したJBFAによる同行援護では、ブラインドサッカーのクラブチームへの支援につながる仕組みを作っています。

同行援護サービス利用者が、寄付先として応援したいクラブチームを選んで、サービス利用時間に応じた金額をJBFAを通じてクラブチームに寄付することができます。寄付されたお金は、各地で活動するブラインドサッカーのクラブチーム運営に活用されます。

JBFAでは同行援護事業を拡大していくことで、視覚障がい者が選手がより練習に参加しやすい、ブラサカを始めやすい環境作りや、視覚障がい者のQOL向上から混ざり合う社会を推進すること。そしてブラサカ・視覚障がい者・社会全体の未来を作っていくことを目指していきます。

JBFAが福祉事業を運営する理由

2020年のコロナ禍初期、生活様式・社会のあり方の急速な変化に取り残されて困りごとを抱えた視覚障がい者に向けて「おたすけ電話相談窓口」を開設し、福祉事業を開始しました。

緊急事態宣言が解除されて以降も、日常の困りごとを抱える当事者に向けて、おたすけ電話相談窓口は継続しています。

そして今回、同行援護事業をおたすけ電話相談窓口に続く福祉事業として立ち上げました。

どうして競技団体である「日本ブラインドサッカー協会」が、こんなことをするの? と疑問を感じる方がいらっしゃるかもしれません。

その答えは、視覚障がい者を取り巻くあらゆる課題の解決に取り組むことは、JBFAの大切な活動の一つだからです。

わたしたちは、「ブラインドサッカーを通じて、視覚障がい者と健常者が当たり前に混ざり合う社会を実現すること」というビジョンを掲げています。一競技団体であると同時に、ブラサカの特性や発信力をベースに健常者の意識変革を促す活動を展開し、社会的な課題解決にも取り組む。その両輪を動かすことで、目指す社会に近づけると考えているのです。

ブラインドサッカーに関わる人たちによって作られる輪が、視覚障がい者が抱える生きづらさや、同行援護などの福祉サービス制度の課題の解決に寄与することができる。そう考えて、私たちは福祉事業を運営しています。

おたすけ電話相談窓口・同行援護などの福祉事業は、ブラサカみらいパートナーの皆さまの支えによって成り立っています。毎月1,000円の寄付で、誰もが生きやすい社会をともに作っていきませんか?

▼詳細はこちら▼



◉ミートミークスのご利用を希望される利用者(視覚障がい者)の方

◉ミートミークスについてのお問い合わせ
・WEBフォームからのお問い合わせはこちら
電話番号:050-3627-5015(おたすけ電話相談窓口専用回線)
※対応時間:10:00〜12:00/17:00〜19:00(平日・土日 ※祝日は除く)

◉利用の手順

①自治体より受給者証を取得
②JBFAにサービス利用申請
・WEBフォームからのお問い合わせはこちら
・電話番号:050-3627-5015(おたすけ電話相談窓口専用回線)
※対応時間:10:00〜12:00/17:00〜19:00(平日・土日 ※祝日は除く)
③アプリをダウンロードして、利用日や行先などをリクエスト
④アプリ上でリクエストに応じたヘルパーとチャットで打合せした後に外出
⑤同行援護終了後、ガイドヘルパーからの報告内容をアプリで確認

◉ミートミークスのご利用を希望されるガイドヘルパーの方
※既に同行援護従業者の資格をお持ちの方

JBFAとの契約に際して、契約説明会へのご参加・面接・JBFA研修への参加が必要となります。お問い合わせはこちらからお願いいたします。

◉ガイドヘルパーになりたい方

ガイドヘルパーになるには資格が必要です。JBFAでは資格取得に向けたガイドヘルパーの養成研修を開催しています。研修へのご参加をお待ちしております。
※研修日程はこちら

編集後記

最後までお読みいただき、ありがとうございます。ブラサカマガジン担当の貴戸です。私も何度かガイドヘルパーとして活動しています。「利用者」と「ガイドヘルパー」というと、「支援してもらう人」と「支援する人」というようなイメージがありますが、同行援護をするたびにガイドヘルパーである私にも発見があります。こういうふうに伝えるとわかりやすいのか、こういう情報も伝えると歩くのが楽しくなるのか、目が見えないなかでこの人はこんな工夫をしているのか・・・・・・など。

「同行援護活動の拡大は、障がい者の社会参加を後押しして混ざり合う社会の実現につながります」と記事で書きましたが、まさにその通りだと思います。同行援護に興味を持っていただいた方は、ぜひ研修への参加をご検討いただけますと幸いです!