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本の世界から学んだ人生の冒険――私の成長と挑戦

桃田あおい / ライター
2021年4月入社。京都大学文学部卒。大学4年の春からJBA大阪本社でインターンを始め、ライターとして活躍。入社後1年でライターチームのリーダーとなり社内の組織改革の指揮をとる。取材、編集、執筆と何でもこなすが、最大の魅力は切れ味鋭いライティング。

本が友達、そして家族のような存在。
兄弟がおらず、一人で過ごす時間が長かった幼少期。最も心地よく感じる場所は、本の世界だったため、ほとんどの時間を読書に費やしていた。通学時間も窓の外が流れる風景を眺めるよりも、本のページをめくる方が楽しかった。
私は小中高ともに国立校を卒業している。そこには優秀な仲間、優秀な教育が揃い、充実した環境があった。だが、それと同時に見ている世界には限りがあった。しかし、本の中には想像もしなかったような世界が広がっている。本の中に入れば、異なる時代や場所での人々の生活を疑似体験できる。読書を通じて、自分の人生を超えた冒険を楽しむことができた。新しい発見や感動が詰まっている本は、私にとってただの物語の塊ではなく、無限の可能性が詰まった扉だったのだ。
本の持つ世界に魅了された私は、文字を読まないと不安を感じるほどの活字中毒に陥っていた。いつどんなときでも、私の手は何かしらの文章を求めていた。例えば、ご飯を食べている最中でも、手に取った牛乳パックの成分表示を読みふける毎日。私にとって文字はただの情報だけでなく、心の支え。本が私の友達であり、教師であり、冒険の相棒だったのだ。

迷いに迷った就活、固定概念が取り払われた瞬間。
幼い頃から夢中だった本。その裏側にいる作り手。だからこそ出版社への就職を志願。強い憧れを自分のものにするため、就職活動に励んだ。しかし、夢を叶えるための道は険しいものだった。2020年、新型コロナウイルスの影響で世の中が大混乱に。ただでさえ難易度が高い出版社への就職。にもかかわらず、コロナの影響で採用人数は大幅に削減され、採用時期もあと倒し。
第五次面接を終えた次の日、届いたのは不採用通知。いわゆるお祈りメールだ。でもほとんどの出版社は採用プロセスを終了している時期。絶望のどん底にいた私の前に、新たな可能性が現れた。それがJBAだった。
考えたこともない業界と会社の規模。選択肢に挙がったこともない世界に戸惑いつつも、”コンサルティング×クリエイティブ”というワードに惹かれ、応募。悩む私を見かねた社長からの「まずはインターンをしてみろ」その言葉に希望を見出し、JBAにてインターン生としての経験を積むことになった。ビジネスはお金がすべてという偏見を持っていた当時、検討もしていない新たな世界での経験は自分の価値観を変える経験となったのだ。
出逢いは、データベース作成中。R社での新人時代の失敗経験を取り上げた企画だった。へこんで大きな成長を遂げた人を取り上げた企画に、私は大きな衝撃を受けた。ビジネスは、数字やシステムだけではなく、それを動かしている人々の存在によって成り立っているんだと知った。情熱と熱意をもって泥臭く仕事に向き合う人々がビジネスの根幹であるのだと。
まさに、固定概念が覆された瞬間だった。

優秀な同期、変わる環境。不安ばかりで迎えた4月。
私のインターン生活は、今まで出会ったことのない経験を共にする仲間たちとの時間で充実していた。彼らとの日々は新たな発見と成長の連続だった。しかし、その仲間たちも次々と卒業。ついに私がJBAの“社員”になる日が訪れたのだ。
インターン時代に大きな成果を残していた新卒同期。彼らは次々と大きなチャレンジを成し遂げ、組織内での存在感を示していた。彼らの活躍を見る度に、自分はこのままで大丈夫なのかという不安に襲われた。
新たな状況に適応しようと、自らに厳しく問いかけた。自分の能力や経験、そして未来に対する自信を再確認し、次のステップに向けて前進する決意を固めた。私は不安や疑問を抱えながらも、前向きな姿勢で未来に歩み出すことを決意したのだった。

これが「価値」か。やっとわかったあのときの言葉
私には忘れられない言葉がある。インターン生の頃に上司である武田さんから「あなたの仕事にはまだ十分な価値がない。与えられた仕事をこなすだけではなく、価値を提供するように」と言われたことだ。自分は仕事を真剣に向き合っているはず。それなのに、なぜそう言われなければならないのか。その言葉の意図がまったく掴めなかった。
入社して数か月が経ち、とある会社の案件で執筆の機会を得た。それまでその仕事を担当していたのはJBA内でトップのライターさん。なんとしてでも認められたい。成功しなければという強いプレッシャー。しかし、書いても書いても納得のいく文書はできない。
お客様は何を求めているのだろうか。何を伝えたいのだろうか。通勤時間も食事の時間もとにかくそのお客様のことだけを考えた。提出の前日、担当者からのある言葉を思い出した。「実は今、編集部分も悩んでいて」。たしかに、この編集では企画で伝えたいことを伝えることができていない。
トップライターの価値に一人で勝てないのなら、JBA全体で勝ちに行こう。一貫した代行ができる会社であることを活かし、急いで編集チームに相談。社内の協力もあり、執筆原稿とともに編集案を併せて提出した。
担当者は私の提案に喜び、高く評価してくれた。
その瞬間、武田さんが語った“価値”の意味が理解できた。それは「期待を超える」ということ。期待を超えることで、仕事が認められるのだと気付いた。この実体験が仕事に、自分だからこその付加価値を提供する“桃田スタイル”の確立のきっかけとなったのだ。

「桃田ブランド」の危機。自分のブランドは自分で創れ、自分で守れ。
仕事が増え始め、迎えた繁忙期。日々の業務に追われ、疲れ果てていた。キャパオーバーになり、パンクして、毎日ボロボロだった。そんな中提出した原稿。その原稿をチェックした先輩から厳しい言葉が飛んだ。「これ、考えてやってる?やっつけで提出しているでしょ」と。
正直忙殺され、良いものというよりも提出することが目的になっていた。先輩の言葉が心に深く突き刺さった。今後自分が選ばれなくなるのでは、仕事がもらえなくなるのではという危機感にかられた。自分の名前で原稿を出すという責任感が私を追い詰めた。
「桃田さんに書いてもらいたい」という直接の指名を、そしてお客様に「桃田さんでよかった」と思ってもらいたい。自分の商品“桃田ブランド”の品質は自ら築き上げ、自ら守らなくてはならない。常に期待を超え、常に最高の品質を提供する。これが私のスタイル。どんなに忙しくとも、どんな理由があろうとも自分の基準は絶対にぶらさない。そう誓ったのである。

1分間で100回手を叩け。1人ではできない、でも10人だったらできる。
現在、VIPクライアントを担当するまでに成長した。いくつかの案件と同時進行で、社内報に留まらない経営企画までを任せてもらっている。しかし、自分一人ではますますすべてをこなせなくなり、協働の必要性を感じ始めた。
周りと協力しないと成し遂げられない場面が増え、一人でやろうとしていたことも、共同作業によってより大きな成果に結びつくことに気づいた。私はもう"ライター"ではない。“ライター”は卒業しなくては。お客様を一番理解している“ディレクター”として、人を動かす立場にあるのだ。そしてこの役割が組織からも求められていることを自覚した。
組織を動かすことでお客様により良いものを提供でき、それがJBAという組織への還元にも繋がる。お客様はもちろん、JBAのためにもまずは自分自身が一段視座を高く持つ必要がある。さらなる自己成長を求めて、今日も私は自分自身のブランド“桃田ブランド”を築き上げるのだ。

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