備雲ジュラ

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備雲ジュラ

ホラーを中心に小説を書いています。 (Kindleでの著者名は旧名の「J◆B」) 現在、新作はエブリスタに投稿中。 【HP】http://club-black.do.ai/book/ 【X】@jb_novel 【Bluesky】@jura-b.bsky.social 北海道在住。

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    note創作大賞2024【ホラー小説部門】応募作品 「eaters」 血の匂いにあらがえないアペタイトホラー

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【ホラー小説】eaters 第1話

【あらすじ】【第1話】「あの……娘の病気を治す薬は、まだできないのでしょうか?」  沼澤小百合は中学生の娘、瀬奈を連れて病院に来ていた。  今、瀬奈は隣の処置室で、月に一度必要な免疫製剤を点滴している。  生まれつき免疫系に異常のある原発性免疫不全症候群。  毎年、一万人の赤ちゃんに対して一人程度がなる、といわれている。  免疫力が異常に低いせいで細菌やウイルスに感染しやすく、単なる風邪も肺炎にまで悪化してしまう。  ちょっとした傷でもすぐに化膿し、治りも遅い。

    • 「サザンカの涙」を修正しました

      エブリスタのコンテスト「執筆応援キャンペーン【とんでもホラー】」で、入賞した「サザンカの涙」を修正しました。 運営様からの選評で、二か所を追加修正しました。 アドバイスを受けた二か所は、どちらも「なるほど!」と納得の内容。 追加したり、修正したほうがよさそう。 noteで連載していた「eaters」も完結したので、さっそく追加修正に取り掛かりました。 ただ……投稿サイトの作品を追加修正するのは、ちょっと苦労も多い。 Kindle版を修正する時は、原稿の修正版をアップ

      • 【ホラー小説】eaters 第21話(最終話)

        ◆あらすじと各話は、こちらから  一週間後。  この日の午後、鮫島は製薬会社の研究所に来ていた。  週に二度、病院での勤務は午前のみとなっている。  研究所で鮫島は、今もスクアリーの改良にいそしんでいた。  帰り支度をして、パソコンの電源を落とそうとした時、スマホが振動を鳴らした。 「……そうですか。分かりました。引き続き、監視をお願いします」  電話は沼澤瀬奈の監視役からだった。  週に一度の定期連絡だ。  パソコンで被験者データのフォルダから、瀬奈の

        • 【ホラー小説】eaters 第20話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  洗面所で床に倒れていた良一と、その腹に顔をうずめていた瀬奈。  小百合が目にした光景は、あまりにも残酷なものだった。  瀬奈を止めようとして、噛み付かれた手の痛み。  そこから流れ出した血。  黒い瞳の視線の先は、血で赤く染まった手。  自分までもが我が子の餌食になってしまう、という恐怖。  そのあと訪れた、突然の痙攣。  気が付いた時、小百合のすぐ目の前にあったのは、瀬奈の顔だった。  おそるおそる見下ろした先には、腹部を

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        【ホラー小説】eaters 第1話

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          【ホラー小説】eaters 第19話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  翌朝。 「お父さん、まだ? 私、急いでるんだけど」  瀬奈が洗面所にやってくると、良一がまだ使っていた。 「あぁ、悪い、悪い。ちょっとやっちゃってな」  鏡越しに、父と目が合った瀬奈の顔色が変わっていく。  良一はティッシュで、何度もアゴを押さえていた。  洗面台に置かれていたのは、髭剃り用のカミソリ。  ゴミ箱へ捨てられたティッシュには、血がにじんでいる。 「……ったく、まいっちゃうよな」  ボヤキながら、

          【ホラー小説】eaters 第19話

          【ホラー小説】eaters 第18話

          ◆あらすじと各話は、こちらから 「あの水槽を見て」  小百合に言われ、瀬奈は水槽に目をやった。  大きな水槽にいるのは、一匹の金魚だけだ。 「あんなにいたのに、もしかして瀬奈が食べたの?」  小百合は穏やかな口調で訊いた。  何を聞いても、平常心でいなければならない。  抱えている疑問を解決するには、瀬奈の口から聞き出す必要がある。  ここで取り乱したり、怒りをぶつけたりしては、話も進まない。  小百合は静かに呼吸を整えながら、返事を待った。 「ごめ

          【ホラー小説】eaters 第18話

          【ホラー小説】eaters 第17話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  瀬奈が出ていったドアを見つめたまま、小百合はしばらくの間、玄関から動けずにいた。  深いため息を吐いたあと、食卓の席に戻り、テーブルに目をやる。  手付かずの自分の昼食。  向かいの席には、空になった皿。  小百合は一人寂しく冷めた料理を口にした。  食事の後片付けを終えて、トイレに向かう。  トイレから出てくると、再び深いため息がもれた。  いつもは遅れても一日、二日でやってくる生理が、六日経ってもやってこない。  今まで

          【ホラー小説】eaters 第17話

          【ホラー小説】eaters 第16話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  今日は終業式。  教室の中は、珍しく朝から静かだ。  明日から夏休みに入るというのに、うかれる生徒は一人もいなかった。  唯一の空席。  みんなの視線は、自然とそこへ集まっていた。  入学して以来、一度も休んだことのない真由子。  それが突然、一昨日から学校に来なくなった。 「どうしちゃったんだろう?」 「まさか、斉藤まで……」 「生きてる……よね?」 「始業式の日に、机に花が置かれてるってことは……ないよな」  ボソリ、ボ

          【ホラー小説】eaters 第16話

          【ホラー小説】eaters 第15話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  瀬奈と真由子は神社に向かっていた。 「どんな猫なの?」  鳥居をくぐりながら、真由子が訊いてきた。  猫と聞いて、興味津々の様子だ。 「白くて、ちっちゃくて、すごくカワイイよ」  瀬奈が言ったあと、社の裏辺りからカラスの騒がしい鳴き声が聞こえた。 「まさか、カラスに襲われてるんじゃ……」  心配で足を速める真由子に、瀬奈も続いていく。  社の横を通って裏側に来た時、真由子の足が止まった。  六羽のカラスが何かに群

          【ホラー小説】eaters 第15話

          【ホラー小説】eaters 第14話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  弁当事件があった翌日、真由子の友達は瀬奈に謝ってきた。  瀬奈にとっては、耐えがたい屈辱だ。  謝られたところで、なかったことにはならない。  黙っていると、真由子も一緒になって謝ってきた。 「本当にごめんね。もっと早くに私がとめていればよかったんだけど。みんなも反省してるから、許してくれる?」  真由子が大きな声で言った。  窓際の席から海斗も見ている。  瀬奈は許すよりほかなかった。  それからは休み時間でも瀬奈は、真由

          【ホラー小説】eaters 第14話

          エブリスタのコンテストで入賞しました!

          エブリスタのコンテスト「執筆応援キャンペーン【とんでもホラー】」で、「サザンカの涙」が入賞しました! 入賞作品はこちら。 エブリスタのコンテストで入賞したのは、これで二作品目。 実は今回、ちょっとした奇跡(?)が。 小説を書いている時とコンテストに応募する時は、いつも自信満々。 それが応募したあとになると、 本当にアレでよかったのかな? もっと、どうにかできたんじゃないかな? と、ちょっぴり不安になることがあります。 (創作あるあるかもしれない) あまり深く落

          エブリスタのコンテストで入賞しました!

          【ホラー小説】eaters 第13話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  数日経った頃、学校では二年生の女子生徒が行方不明という噂が流れ始めた。 「どうせ家出か何かでしょ」  真由子の友達が言った。  瀬奈の周りでは、誰一人として心配する者はいない。  その上級生は以前から、素行が悪いので有名だった。  学校の外でも、よく他校の不良生徒達と一緒にいるのを目撃されていた。  真由子と取り巻きの友達が、噂話に花を咲かせている。  それを瀬奈は黙って聞いていた。  四時限目が終わり、瀬奈は昼食の前に

          【ホラー小説】eaters 第13話

          【ホラー小説】eaters 第12話

          ◆あらすじと各話は、こちらから 「ただいま」 「おかえりなさい。お腹は空いてる?」 「食べてきたから、いらない」  小百合が出迎えると、瀬奈は胸の前で鞄を抱えたまま、部屋に入っていった。  少しして、部屋から出てきた瀬奈が洗面所に向かったようだ。  手洗いとうがいにしては、やけに長い。  心配した小百合は、洗面所に向かった。 「瀬奈?」  瀬奈は洗面台で、制服のブラウスを洗っていた。  洗剤の泡と一緒に流れていく水が、なぜか赤い。 「それ、制服の……ブラ

          【ホラー小説】eaters 第12話

          【ホラー小説】eaters 第11話

          ◆あらすじと各話は、こちらから  翌週。  小百合は良一と瀬奈を送り出したあと、家の掃除を始めた。    リビングにある水槽を拭いていた時、手が止まった。  透明なガラスの向こうに目を凝らしてみる。  一、二、三……。  小百合は金魚を数え始めた。  中にいたのは八匹。  金魚は十匹いたはずだった。  まさか……瀬奈が?  金魚を見つめていた瀬奈の顔がよぎる。  いや、あんなに可愛がっていた金魚を食べるわけがない。  前に一匹が死んでしまった時も、瀬奈は大泣

          【ホラー小説】eaters 第11話

          【ホラー小説】eaters 第10話

          ◆あらすじと各話は、こちらから 「……陽向?」  突然、目の前で陽向が消えた。  陽向に肩を触られた女子生徒が戸惑っていると、それを見ていたもう一人がやって来た。 「陽向は?」 「分かんない。急にいなくなっちゃって……」  一瞬の出来事で、何が起きたのか分からなかった。  溺れたのかと思ったが、辺りに陽向の姿はない。  そばで監視していた体育教師も、三人いたはずの女子生徒が一人足りないのに気付いた。  残った二人が辺りをキョロキョロと見回している。

          【ホラー小説】eaters 第10話

          【ホラー小説】eaters 第9話

          ◆あらすじと各話は、こちらから 「……ただいま」 「おかえりなさい」  家に着いた瀬奈は、すぐに洗面所へ向かった。 「瀬奈、お腹空いたでしょ? 今、何か用意……」 「いらない」  瀬奈は小百合に見向きもせず、手を洗っている。 「いらないって、学校で……何か食べてきたの?」  学校から帰ってくる頃、瀬奈はいつも腹を空かせていた。  唯一、生の肉や魚を食べられるのは、良一のいないこの時間だけだ。  それなのに……。  小百合の頭に不安がよぎる。 「……瀬

          【ホラー小説】eaters 第9話