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大事な試合を”その日の不調”で台無しにしないために

動きの習得と自動化のプロセスについて、以前3つの記事を書いた。
▶︎自動化のプロセス
▶︎競技の動きと異なるトレーニングの動き
▶︎アスリートが地味とれを本気でやる理由
 
今回のテーマは、これらに関連する。

意識と無意識について。
 
スポーツのパフォーマンス向上を目的としたフィジカル系トレーニングというのは、大きく分けて二つのテーマがある。
一つは強化。もう一つは”身体の使い方”。私は様々な理由から身体操作と呼んでいる。
 
いずれにせよ、身体の動きが絡む以上、どちらにも身体操作が影響を及ぼし、それぞれ分けて行うべきではないと私は考えている。
参照▶︎ウェイトトレーニングについての僕の考え方
 
(いきなり話が本題から外れました笑)
 
意識と無意識。
身体操作においては意識的な動きと無意識的な動き。
 
出したい動きが、
意識的に出る。
無意識的に出る。
 
どちらがベターだろうか? 
 
スポーツに携わるほとんどの方が、そりゃ無意識的の方だろ!と思うのではないだろうか。
 
もちろん、試合では「このように動こう」なんて考えている余裕がないことが大半なので、この観点では無意識の方が圧倒的にベター。無意識的に良い動きが出せたら最高だ。
 
しかし、無意識は意識的にコントロールできないという言い方もできる。
 
無意識の動き、でうまくいかない場合は?
無意識の動きが、いつもと違う場合は?
 
その問題にぶつかってしまった場合、選手には「動きの修正」が求められる。
試合中であれば試合をしながらの修正が求められる。

身体は日々必ず変化する。
意図するしない、本人が感じ取れる感じ取れないに関わらず、必ず大小の変化を起こしている。
小さな変化は、明日の試合にはあまり大きな影響を及ぼさないかもしれない。
しかし、小さな変化の積み重ねは、知らず知らずのうちにパフォーマンスの土台を変えてしまう。
 
例えば加齢による背骨の柔軟性のわずかな変化。
加齢によって背骨の柔軟性は少しずつ低下する。
 
これは必ず誰にでも起こる。
 
昨日よりもほんの少し硬くなっていてもあんまり影響はないかもしれない。
しかしそれを放置すると、その変化に対応できる修正能力(身体操作)を身につけていなければ、「なぜ調子が上がらないかがわからない」という”感覚のズレ”状態になることも。
 
自然に硬くなっていく、という前提を持ってそれを防止する、それに対応するための様々なトレーニングに取り組むべきことを意味する。
 
無意識の動きでうまくいっている時は、「この感じ」という感覚を指標としてパフォーマンスが発揮できる。
ただ、その感覚のみに頼る状態を作り、無意識の動きに依存しすぎると「この感じ」という感覚そのものがずれてしまったときに非常に厄介なことになる。
 
無意識的な動きでパフォーマンスが上手くいく場合は、日々の小さな変動と加齢などによる自然変化を身体の各感覚器が感じ取り、それをベースに自動的に動きを微調整できている時だ。
 
無意識がベターというのは条件付き。
無意識の動きが絶対的な正義ではないのだ。
 
***

ここで重要になるのが意識的な動き。
「ここを意識すればこうなる」というキーポイントを自分で持っておくこと。
感覚と論理の両方で、というのが重要である。
 
感覚は上述の通り、変化するものだ。
論理は、(物理学に基づくものであれば)基本的には変わらない。
 
サッカーのシュートが、いつもの感覚で蹴っているのにコントロールがつかない場合。「いつもの感覚」だけで蹴っていると、感覚が戻ってくるまでひたすら蹴り続ける、という対応を取らざるをえない。
しかし、シュートをコントロールするための論理(チェックポイント)を持っていれば、動きをそれぞれ分解することができる。
 
これは、シュートモーションのどの時点でズレが出ているのかを判別できることを意味する。
踏み込みで膝がずれてしまっている、そして膝がずれるのを防ぐためのポイントを知っていれば、より早く「いつもの感覚」を取り戻すことにつながる。
 
感覚と論理を使い、「こうすれば自分の動きはこうなる」という身体操作的な知識を持つことで、修正能力は高まる。「能力」だから、トレーニングで必ず高めることができる、というのが私の考えだ。
 
なぜだか分からない不調が出た時こそ修正能力を鍛えるチャンス。
 
試合で出てしまう前に、普段からその視点で自分のパフォーマンスに注目してみてほしい。なるべく早く、自分のチェックポイントを見つけておこう。
*早く見つけるにはJARTAトレーナーのサポートを受けるのがおすすめ。
 https://jarta.jp/offer/support/
 
修正能力という視点で意識的と無意識的に向き合う。
 
これを繰り返せば、結果として自動化、つまり無意識の動きの精度が上がる。
そして修正能力ももちろん上がる。
 
長く活躍するために。
大事な試合を”その日の不調”で台無しにしないために。

無意識のメリットと弱点、そして「意識的」の扱い方。
二者択一ではなく意識化⇄無意識(自動化)をいかに行き来できるかがパフォーマンスアップのキーファクターだ。
 
◎12月17日(土)に大阪と東京でJARTAベーシックセミナーを開催します。
クリスマス特別価格となっていますので、ご興味のある方はぜひこの機会に。
*中野崇は東京の講師を担当
https://jarta.jp/j-license/license-seminar/


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