中野 崇

戦術動作アプローチ/フィジカルコーチ/スポーツトレーナー/JARTA代表/HP: もっとみる

中野 崇

戦術動作アプローチ/フィジカルコーチ/スポーツトレーナー/JARTA代表/HP:http://jarta.jp/ YouTube+SNS:https://linktr.ee/jartanakano

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  • スポーツトレーナーの思考回路

  • 文化×身体操作

    あらゆるスポーツとそのパフォーマンスには発祥圏の文化的背景が影響を与える。違う文化圏の競技でパフォーマンスを上げていくには、そのことを理解してトレーニングを構築していく必要がある。

  • 戦術動作アプローチ

    サッカー戦術動作アプローチについて書いています。

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我々が『戦術動作』に目を向けるべき理由

ご存知の通り、近年トレーニングの方法は溢れかえっている。 トレーニングに関心のある方なら分かると思うが、SNSに少し目をやれば毎日膨大な数のトレーニング方法が投稿されている。 (中でも日本のメジャースポーツであるサッカーと野球は”発信者”が多い) 皆さんはこの状況をどのように感じているだろうか。 特に選手や指導者の方々。 「こうすれば〇〇ができるようになる」 「サッカー選手が身に着けるべき正しい走り方」 このようなタイトルのついたトレーニングで本当にそれが実現できただろう

    • バッティングで力まずに大きなパワーを発揮するメカニズム

      バッティングはとにかく受け身だ。 どんなに速いスイングができても、ピッチャーの緩い変化球でタイミングが狂わされればスイングの速さは発揮できずに終わる。 一方で、崩されにくいバッターや崩されても強烈なスイングができるバッターも存在する。彼らはどのようにしてそういう能力を持つことができているのだろうか。 同じスイングは二度とできない昔から野球界では「バッティングは水モノ」と言われてきた。 水物、つまり「当てにならないもの」という意味だ。 これは、バッティングの本質を結構表してい

      • 『練習の質』を上げると、強い相手には勝てない

        スポーツをやるほぼ全員が、“自分より強い相手”を追い抜く必要に迫られる。 いやいや自分はすでに最強だから、という人も少ないながらもいるかもしれない。 しかしそのカテゴリのチャンピオンでも、『その先』はある。 地区チャンピオンならば全国大会、日本チャンピオンであればアジア大会や世界大会。唯一、世界チャンピオンだけは自分より強い相手がいないと言えるだろう。 しかしそれは優勝したその時だけであり、その後も自分が最強という保証ではない。 すなわち、スポーツで勝利を追い求める行為とは、

        • 現象には、必ず理由がある

          現象には、必ず理由がある。 特にそのように考えるべきは自分にとってネガティブな現象が起きたときだ。 自分以外の全員が、「不運だった」「運が悪かった」と言ったとしても、そのように考えなければならない。 ”自分には問題がなかったという立場”をとることは簡単である。 ネガティブな出来事は全て「他の誰か/他の何か」のせいにできる。 「俺は悪くない、悪いのは全部、、」という表現をいろんな言い回しで使い続ける傾向を持つ思考スタイル。というか思考停止スタイルだ。 当然だが、自省の機会は現象

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        記事

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          怪我した部位は”被害者”

          例えば、靭帯損傷や肉離れなどの怪我。 これらを「不運/運が悪かった」扱いをした瞬間、”見えなくなるもの”が非常に多くなってしまう。 膝を例にとると、靭帯損傷や半月板損傷など膝の怪我の下部構造として存在しているのが動作時の『膝へのストレスの増大と蓄積』である。 膝にストレスが集まるということは、膝単体での出来事ではない。つまり全身が関係する。 膝の怪我は膝が悪いのではなく、膝が”被害者”である。 膝が怪我するシーンに深く関係するのが踏ん張って身体を支える動作。 膝の怪我の多く

          怪我した部位は”被害者”

          ハイパフォーマンス2つの条件

          野球のトップカテゴリーであるプロ野球のピッチャーたちは、個性豊かな投げ方をしている。 そして口を揃えて言う。 「自分に合った投げ方がある」 もちろんこれは非常に重要なことであり、身体が違う以上それぞれが違う投げ方になって当然である。 実際、私が普段サポートしているプロ野球投手たちもそれぞれフォームは大きく異なる。 しかし、だからと言ってどんな投げ方でも良いわけではない。 思った場所に投げる。 球速を上げる。 ボールに”キレ”を出す。 何度もそれを再現する。 バッターに

          ハイパフォーマンス2つの条件

          プロだからそうできるのか。そうしたからプロになれたのか。

          私が普段個人的にサポートしている選手はほぼ全員がプロ選手だ。 競技はサッカーや野球など複数にわたっている。 違う競技だから、同じメニューでも異なるタスクや制約を付加する。 トレーニングの良し悪しは身体、動き、そしてパフォーマンスの変化として現れる。 いずれにせよ、一定の頻度以上で継続しなければそれらは変化しない。 どの競技でも、どのレベルでも、これだけは確かだ。 私が指導しているトレーニングは身体操作トレーニングである。 身体操作はコモドドラゴンのようなダイナミックなものか

          プロだからそうできるのか。そうしたからプロになれたのか。

          トレーニングをどのように選ぶのかの考え方

          アスリートが身体を鍛える際の手段として、筋トレはもちろん重要な役割を担う。 このブログを読んでくださっている選手たちも、筋トレをしたことがない人はほぼいないだろう。(筋トレはウエイトも自重も全て含む) ではそういったトレーニングの際のターゲットはどのように決めているだろうか。 そしてそのターゲットを鍛える方法はどうやって決めているだろうか。 この部分、『トレーニングの選択』というフェーズに該当するが、一般的に考えられている以上に、非常に重要だ。 そしてもちろんのこと、難解で

          トレーニングをどのように選ぶのかの考え方

          間に合わなかったのは、なぜか。

          私はごく普通の中学生だった。中学校の野球部に所属し、プロ野球のピッチャーになることを目指して毎日の練習に夢中になるどこにでもいる中学生。 自宅で弟とゲームで遊ぶことも気に入っていたが、それよりも圧倒的に野球が楽しかった。少年野球をやっていなかったので、野球経験は学童保育所での”縦割り草野球”だけ。9人対9人が揃うことなんて皆無。常に変則ルール。なので中学校での入部時は同級生(少年野球出身が大半だった)よりも圧倒的に野球経験が足りなかった。もちろん野球エリートたちとは全く違う世

          間に合わなかったのは、なぜか。

          手段が増えたら重要度が増すのは『原理原則』

          世の中にはあらゆるトレーニング”手段”が溢れているが、使える手段が多くなった時に重要度が一気に増すのが「選び方」。 努力をするのは当たり前だと位置付ければ、「何をやるのか」が成果の差を生んでいくのは明白だ。   手段つまりトレーニング方法がyoutubeなどで簡単に手に入る今だから、 ”何をどう選ぶか”が勝負を分ける。   何を選ぶかを考えるとき、何を基準に選ぶのか?   テレビでやっていた。 トレーニング雑誌に載っていた。 有名選手がやっていた。 人気のyoutubeチャ

          手段が増えたら重要度が増すのは『原理原則』

          サッカー軸脚操作トレーニング

          サッカーは上半身が重要。 サッカーの上半身操作はパフォーマンスアップのカギである。 2017年にそのように主張して「サッカー上半身トレーニングセミナー」をスタートしてから、これまで多くの方々にその重要性とその理由を提示してきた。 漫画や雑誌でも「サッカーは上半身」というフレーズを見かけるようになった。  サッカーにおいて上半身操作は紛れもなく重要な要因であり、”外国の競技”であるサッカーを日本人選手がやるという構図においては、欧州選手における上半身操作よりもその重要度は

          サッカー軸脚操作トレーニング

          日本人がやるサッカーは西洋人力士の相撲

          私が前提条件を重視する理由は、「スタートラインの位置」を教えてくれるからだ。 それぞれの持つ前提の違いによって、スタートラインは変わる。 スタートラインがすでに相手より後ろにあるのに、相手と同じことをしていては勝てるわけがない。誰でもわかることなのに、前提に目を向けない限り、このことに気付きにくい。  *** さて改めて前提条件。 これは試合で本来のパフォーマンスを発揮したり、パフォーマンスを上げていくために非常に重要だ。これを外すもしくは軽視すると、せっかくの努力が

          日本人がやるサッカーは西洋人力士の相撲

          絶対スピードと対人スピード

          多くのスポーツにおいてスピードという要素は、ハイパフォーマンスの前提条件として不可欠なものだ。 これまで、一言でスピードといってもそこには構造があり、それをクリアにしておかないと”使えるスピード”にはならないことを指摘してきた。   今回はそれとはまた違った視点で、 「絶対スピードと対人スピード」について。 絶対スピードとはタイムなどで数値化できる種類のもの。 対人スピードとは「相手がどう感じるか」に基準が置かれ、「タイミングを支配するスピード」でもある。   スポーツにお

          絶対スピードと対人スピード

          怪我の下部構造

          選手にとって、怪我は非常に大きな問題だ。 せっかくレギュラーであっても怪我による離脱はそのままポジションを奪われたり、出場機会を失われるなどのリスクに繋がる。   復帰後も本来のパフォーマンスに戻らないケースも多くあり、靭帯損傷や肉離れなど重度な怪我はパフォーマンスにおいて直接かつ二次的に影響を与えうる。 捻挫などの一般的に軽度と捉えられるような怪我であっても、重大な問題にまで繋がることもあるため注意が必要だ。 例えばサッカーでの怪我は肉離れが非常に多く、膝の怪我も同様に

          怪我の下部構造

          バッティング身体操作論|2つの正解と3つの力

          バッティングは数あるスイング系のパフォーマンスの中でもかなり難易度が高い。   バッティングが難しい理由はいくつもあるのだが、ひとつ大きな要因になっているのが、「受け身」であるという点。   ”ピッチャーが投げたボール”がバッティングの世界では常に中心にくる。    どんなに速いスイングでも、どんな素晴らしい筋力を持っていても、”ピッチャーが投げたボール”に当てられなければそもそも話が始まらないのだ。   ピッチャーの投げたボールには、コースとタイミングという要素が同時に含ま

          バッティング身体操作論|2つの正解と3つの力

          大事な試合を”その日の不調”で台無しにしないために

          動きの習得と自動化のプロセスについて、以前3つの記事を書いた。 ▶︎自動化のプロセス ▶︎競技の動きと異なるトレーニングの動き ▶︎アスリートが地味とれを本気でやる理由   今回のテーマは、これらに関連する。 意識と無意識について。   スポーツのパフォーマンス向上を目的としたフィジカル系トレーニングというのは、大きく分けて二つのテーマがある。 一つは強化。もう一つは”身体の使い方”。私は様々な理由から身体操作と呼んでいる。   いずれにせよ、身体の動きが絡む以上、どちらに

          大事な試合を”その日の不調”で台無しにしないために