プロだからそうできるのか。そうしたからプロになれたのか。
私が普段個人的にサポートしている選手はほぼ全員がプロ選手だ。
競技はサッカーや野球など複数にわたっている。
違う競技だから、同じメニューでも異なるタスクや制約を付加する。
トレーニングの良し悪しは身体、動き、そしてパフォーマンスの変化として現れる。
いずれにせよ、一定の頻度以上で継続しなければそれらは変化しない。
どの競技でも、どのレベルでも、これだけは確かだ。
私が指導しているトレーニングは身体操作トレーニングである。
身体操作はコモドドラゴンのようなダイナミックなものから、ひたすら力みを制御しながら小さな動きを正確に要求するような”地味な”ものまで多岐に渡る。
特にシーズン中のプロ選手に指導するようなトレーニングは、後者の比率は高い。
この点に関してはまた別の機会に掘り下げたいと思う。
地味トレの継続という能力
私がこれまでの経験の中で感じたことは、やはりトップレベルの選手、トップレベルになっていく選手は、地味なトレーニングの積み上げることが当たり前にできるという『共通項』を持っている。
地味なトレーニングを積み上げることの意味がよく理解している。(もしくは感覚的にわかっている)
『地味な』というのは、上述したようなトレーニング設定として細かい動きのものももちろん含むが、私は日常の動作も対象とすることが多い。
日常の動作パターンというものは、1日の割合から考えてもおそらく一般に考えられている以上に影響するからだ。
だから、多くの選手が些細なことと感じるような、もしかしたらバカにするような、非常に細かいところを追求するものも含む。
例えば食事。箸を使う際には非利き手を使うことを提案することが多く、その箸を使うときに肩の力が抜けているか&肘の向きなどをタスクとする。
このような、”競技動作とは無関係に見える”、普通はちょっとめんどくさくなってしまいそうなことでも、プロになるような選手たちは「当然」のものとして取り組む。
地味トレを継続することとは、単なる地味なトレーニングを続けることではない。
トレーニングと位置付ける範囲(つまりパフォーマンスに関係あると考える範囲)の拡大を含むのだ。
中野「めんどくさって思わないの?」
選手「上手くなることに繋がるなら、どんな細かい面倒なことでもやりますよ。
ずっとそうしてきましたよ笑」
食事の時など時折このような会話をするが、まず間違いなく「何を今さら感」を持って返答される。
上手くなることがどれだけたくさんの積み重ねが必要か、どれだけ難しいことなのかををよくわかっているからこその言葉だと思う。
派手なトレーニングやパフォーマンスに目を奪われがちだが、そういうことができるようになるまでのプロセスに本質があるのではなかろうか。
選手たちは、「昨日の自分より少しでも上手くなるために」、本当にひたむきな小さい積み上げを日々続けている。
これから上を目指す選手には、トップレベルがどんなトレーニングをやっているかだけでなく、そういう「パフォーマンスの位置付けや時間の使い方の部分」こそをしっかり真似してほしいなと思う。
プロだから生活のほとんどをそういう風に費やせるんでしょ。自分には学業や仕事があるから。。という言葉が思い浮かんでいるかもしれないが、それらは全て”できない理由の列挙”であり、世の中の大半の人が大得意な思考スタイルである。
上を目指していないのであれば問題ないと思う。
しかし上を目指しているのであれば、『多くの人はできないであろう状況でこそ実行できる行動スタイル』は不可欠である。
プロだから生活のほとんどを上手くなるために費やせるのか。
それともそうしたからプロまで行けたのか。
この問いにどう答えるかは読み手の目指す方向次第である。
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ピッチング身体操作
最後に新作オンラインセミナーのご案内です。
ピッチャーの競技動作の構造(力の組み合わせ)を紐解き、それに基づきピッチングに必要な身体操作トレーニングを実際にワークアウト形式で実施する流れです。
『トレーニング選択のプロセスを設計できる』ことは非常に重要である、という考え方に基づいています。
トレーニング方法も含めて私が実際にプロ野球のピッチャーたちに指導してきている内容なので、実際のトレーニング選択プロセスも見ていただけると思います。
全てはパフォーマンスアップのために。
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中野 崇
YouTube :Training Lounge|”上手くなる能力”を向上
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