ハイパフォーマンス2つの条件
野球のトップカテゴリーであるプロ野球のピッチャーたちは、個性豊かな投げ方をしている。
そして口を揃えて言う。
「自分に合った投げ方がある」
もちろんこれは非常に重要なことであり、身体が違う以上それぞれが違う投げ方になって当然である。
実際、私が普段サポートしているプロ野球投手たちもそれぞれフォームは大きく異なる。
しかし、だからと言ってどんな投げ方でも良いわけではない。
思った場所に投げる。
球速を上げる。
ボールに”キレ”を出す。
何度もそれを再現する。
バッターに球速を実際以上に速く感じさせる。
肩や肘など一定の場所に負担が集中しないようにして怪我を防ぐ。
”違う投げ方”ではあっても、抽象度を少し上げれば「共通項」はこんなにもある。
骨格や筋肉など同一の構造を持つ人体が、重力下という同一の条件で、野球のボールという同一の物体を、常に同じ18.44m先のターゲットまで高速かつ正確に投げるタスクを実現しようとする以上、怪我を起こさずにハイパフォーマンスを実現しようとする投手には『絶対に押さえておくべき必須共通モーション』がある。
”投げ方は自由”だが、ハイレベルになると一定の範囲に身体操作が集約していく。
この『ハイレベル』の考え方は様々な考え方があるが、ここでは以下の2つ両方を満たすものを指す。
①の力の伝達効率が良いこととは、裏を返すといわゆる”力み”がないことである。
ピッチャーに限らず、どのスポーツでもいるはず。
力感がないのに大きなパワーが出せる選手。
細身なのにつまり大きな筋肉がないのに大きなパワーが出せる選手。
こういう選手は部分的な筋肉への依存度が低く、反力や位置エネルギーや力の伝達など筋力以外の力をうまく動員させているケースが多い。
裏を返すと伝達効率が良くないすなわち下半身からの力が十分に腕に伝わらないケースでは”力み”を使ってバランスやパワーを補助する。
(もちろんゴツい選手が全員伝達効率が悪いことを意味するわけではない)
「ここからは効率が良い、悪い」という基準を設けることが難しいが、人間の構造上、投球動作においてここで力が逃げやすいというポイントは存在する。
ピッチングでの身体操作において重要視する部分の一つである。
②の怪我をしにくい点に関しては、①を徹底して追求すれば満たされることが多い。ピッチングメカニクス的に合理的(伝達効率が良い)であることは、負荷が集まりやすい部位(怪我しやすい部位;肩や肘)への負荷を分散させることとほぼ同義だからだ。
連投やシーズン後半など、下半身に疲労が蓄積しメカニクスが崩れるとパフォーマンスが落ちたり怪我が生じるのはこのことと深く関係がある。
冒頭に述べた『絶対に押さえておくべき必須共通モーション』はハイレベルなピッチング(①②両方満たす)を実現するために必要なものである。
必須共通モーションを学習・習得するためには、ピッチングにおける力の伝達を中心としたメカニズム(運動構造)を理解し、それらを基にした身体操作トレーニングの実施が効率的かつ重要である。
ピッチング身体操作トレーニングは、部分的な筋肉や関節の作用だけでなく、動きの組み合わせや連動タイミングなど、ピッチングでの力の伝達および発揮を有効化するメカニズムを習得することを重視する。
筋力や柔軟性を向上してもなかなかパフォーマンスが上がらないケースなどで非常に重要なポイントとなる。
ピッチング身体操作
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※ピッチングでの身体操作の精錬という土台の上に、それぞれの投手の特徴(身体の大きさや柔軟性、筋力、動作パターンなど)が乗り、それが「自分の投げ方」として定着することを重視するため、『投げ方の改善』はフォーム指導によるものではなく、身体操作の土台が向上した「結果」として変化するものと位置付けています。
全てはパフォーマンスアップのために。
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中野 崇
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