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脱力スキル

@著書『最強の身体能力/プロが実践する脱力スキルの鍛え方』

著書『脱力スキル』の冒頭部分(はじめに)を全文公開

12月6日、私の初めての著書『最強の身体能力/プロが実践する脱力スキルの鍛え方』(かんき出版)が発売されます。 テーマは『脱力スキル』。単なる脱力ではなく脱力の『スキル』です。 脱力の、スキル。 そうです。脱力にはうまいヘタがあるのです。 例えば時間。ヨガマットの上で、力を抜くことに時間の制約は大してありませんが(時間がかかってもOK)、スポーツにおける脱力の時間的制約は甚大です。「『この瞬間』に力が抜けていなくては高いパフォーマンスにならない」、いくら強い筋力を持っていて

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『脱力スキル』執筆うらばなし

先日、『最強の身体能力/プロが実践する脱力スキルの鍛え方』が発売されました。 大変多くの方に注目していただいているとのことで、本当に光栄です。 せっかくの初著書なので、今回は「『脱力スキル』を書こうと思った動機」とか、「『脱力スキル』に込めたメッセージ」といった、裏側の部分を少し書こうと思います。 皆さんはトレーニングといえば、どんなトレーニングを思い浮かべますか? ベンチプレス? スクワット? コモドドラゴン? 人それぞれ、いろいろだと思いますが、それらはほとんどが『力

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『脱力スキル』に書かなかったこと

12月6日に私の著書『最強の身体能力/プロが実践する脱力スキルの鍛え方』が発売しました。 脱力の技術、つまり”力み”に悩むすべての人に届いてほしいと願っています。 この脱力スキル本は、どちらかというとスポーツ選手向けなので、身体の専門家の方には少しものたりないかもしれません。 特に「脱力に関する生理学的/解剖学的な部分」に関する詳細は泣く泣く削ったので、、。 なので今回は『その部分』で書かなかったことを少しだけ触れておきたいと思います。 目次で言うと『第1章/力みの弊害

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『構え』について

いろんなところで何度も書いてきたことだが、とても大切なことなのでしつこく書く。 「構え」について。 日本のスポーツでは、構えは非常に重要視される対象となっており、例えば野球だとバッティングの構えや守備の構えは特に指導が入りやすいところになっています。 野球をやっていた私自身も、構えについてはコーチや先輩から何度も指導を受けたタイプ。私はそれがとても嫌だった。 その時に感じていた違和感。それは「やたら外見ばっかり言うやん」でした。 肘の角度、脚の角度。腰の角度。角度角度角度。

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戦術動作アプローチ

サッカー戦術動作アプローチについて書いています。

キック動作のクセが強い問題

サッカー戦術動作アプローチでは、受講中の方に対して講義内容及び動作に関する質問を随時受け付けている。 多くの場合その内容は指導者または選手たちに共有すべきものとなるため、回答はこのnoteにて記載することとしている。 今回は以下のような質問をいただきました。 はじめまして。1月からサッカー戦術動作アプローチの講座を受講しております。現在高校のサッカー部でコーチをしており、#4の上半身操作構造に関して質問をさせていただけたらと思います。 自チームでクローズドスイングのトレ

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公式戦でだけ足が攣る問題

サッカー戦術動作アプローチでは、受講中の方に対して講義内容及び動作に関する質問を随時受け付けている。 多くの場合その内容は指導者または選手たちに共有すべきものとなるため、回答はこのnoteにて記載することとしている。 今回は足が攣るという問題について質問をいただいた。 一般的な対策に関しては今やネットでも取得できるが、フィジカルコーチがいるようなチームであれば多くの場合一般的な対策はなされていることが多く、”それでも”足が攣る問題が生じていることが今回の質問内容のポイント

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努力は選手の責任、努力の方向性は指導側の責任。

フィジカル。 サッカーに限らずスポーツ界でごく一般的に使われている言葉である。 そこには分野があり、そこには役割がある。 近年、多くの競技で”フィジカルの重要性”が説かれ、さまざまな方法論が開発されてきた。「世界との差はフィジカルの差」という表現も日本ではよく耳にしてきた人も多いと思う。 私自身もこれまで数多くのチームで”フィジカルコーチ”としての任を与えられてきた。時には日本代表のコーチとして”世界”で結果を残すことも要求されてきた。 初めて関わる競技のフィジカルコーチを任

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同じ戦術練習をやってるのに差が生じる理由

チーム内に必ずいるであろう、”戦術実行レベルが低い”選手。 チームとして同じ練習をしてきているのに、なぜ彼らは他の選手よりも戦術が十分に実行できないのだろうか。 戦術を理解できていない? 状況把握ができていない? 判断が遅い? そもそも技術が不足? 決してそれだけではないはずである。 戦術が実行できるか否に影響を与える要因は少なくとも大きく分けて『8つ』ある。 チームとしてその全ての要素と戦術実行レベルの関係を把握していなければ、”敗因分析”はいつまで経っても精度が上が

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体系立てて学ぶことの大切さ

スポーツトレーナーまたはフィジカルコーチとして、身体のことや動きのことを勉強する機会はこの業界にいる人であればもう当たり前の行為だと思います。 講習会などを利用することも多いと思います。 いずれにせよ勉強の目的は、『選手への指導に活かすため』ですよね。 どんなに知識があっても、究極は選手のパフォーマンス向上の役に立たなければ無用の長物。どんなに物知りでも、どんなに論文を知っていても(書いていても)、”選手目線”で意味がなければ、(少なくとも私にとっては)無意味です。 ”答え

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『構え』について

いろんなところで何度も書いてきたことだが、とても大切なことなのでしつこく書く。 「構え」について。 日本のスポーツでは、構えは非常に重要視される対象となっており、例えば野球だとバッティングの構えや守備の構えは特に指導が入りやすいところになっています。 野球をやっていた私自身も、構えについてはコーチや先輩から何度も指導を受けたタイプ。私はそれがとても嫌だった。 その時に感じていた違和感。それは「やたら外見ばっかり言うやん」でした。 肘の角度、脚の角度。腰の角度。角度角度角度。

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『練習の質』を上げると、強い相手には勝てない

スポーツをやるほぼ全員が、“自分より強い相手”を追い抜く必要に迫られる。 いやいや自分はすでに最強だから、という人も少ないながらもいるかもしれない。 しかしそのカテゴリのチャンピオンでも、『その先』はある。 地区チャンピオンならば全国大会、日本チャンピオンであればアジア大会や世界大会。唯一、世界チャンピオンだけは自分より強い相手がいないと言えるだろう。 しかしそれは優勝したその時だけであり、その後も自分が最強という保証ではない。 すなわち、スポーツで勝利を追い求める行為とは、

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怪我した部位は”被害者”

例えば、靭帯損傷や肉離れなどの怪我。 これらを「不運/運が悪かった」扱いをした瞬間、”見えなくなるもの”が非常に多くなってしまう。 膝を例にとると、靭帯損傷や半月板損傷など膝の怪我の下部構造として存在しているのが動作時の『膝へのストレスの増大と蓄積』である。 膝にストレスが集まるということは、膝単体での出来事ではない。つまり全身が関係する。 膝の怪我は膝が悪いのではなく、膝が”被害者”である。 膝が怪我するシーンに深く関係するのが踏ん張って身体を支える動作。 膝の怪我の多く

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『なぜ勉強しなければいけないのか問題』

■なぜ勉強しなければならないのか休校の期間、我が家の小学生と中学生は彼らの祖父が先生になってくれている。 祖父は元中学校の社会科教師。 今はもう隠居しているが、この非常時に一役買ってくれている。 祖父(私の父)の社会科の授業を聞いていて感じたこと。 それは「社会科を学ぶことは勉強をする理由を知ること」につながるのではということ。 社会科とは、学校レベルでは主に歴史・地理・公民で構成される学問。 分けられているように感じるかもしれないが、決して別部門ではなく、全て「現在の社会

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文化×身体操作

あらゆるスポーツとそのパフォーマンスには発祥圏の文化的背景が影響を与える。違う文化圏の競技でパフォーマンスを上げていくには、そのことを理解してトレーニングを構築していく必要がある。

日本人がやるサッカーは西洋人力士の相撲

私が前提条件を重視する理由は、「スタートラインの位置」を教えてくれるからだ。 それぞれの持つ前提の違いによって、スタートラインは変わる。 スタートラインがすでに相手より後ろにあるのに、相手と同じことをしていては勝てるわけがない。誰でもわかることなのに、前提に目を向けない限り、このことに気付きにくい。  *** さて改めて前提条件。 これは試合で本来のパフォーマンスを発揮したり、パフォーマンスを上げていくために非常に重要だ。これを外すもしくは軽視すると、せっかくの努力が

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『不変前提』

前回は変動前提がパフォーマンス上の課題に対して行うべきことの選択に大きな影響を及ぼすことを考察した。 ▶︎前提条件の影響 前提条件の違いは「やるべきことの優先順位」を完全に変えてしまう ▶︎変動前提 前提条件の中でも変化するものを指す 例)対戦相手、天候など Vol.1 ▼ 今回は、『不変前提』について考える。 不変前提は、その競技をやる上で”変わらない”前提条件である。 例えばサッカーならば、ボールを足で操る制約があること、など。 ■変わらない前提条件 不変前提

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パフォーマンスにかなり影響を与える『2つの前提条件』

Vol.1 大袈裟ではなく、前提条件の違いは「やるべきことの優先順位」を完全に変えてしまう。 同じ現象でも、前提条件の違いで見え方は完全に変わる。 それほど前提条件は影響が大きいものである。 ■シュートミスをした選手への対応 例えばシュートミスをした選手の問題を解決する手段を講じる際のお話。 問題=シュートミス 解決手段=シュートの成功率を上げるための方法 あなたならどんな方法でこの選手の問題を解決するだろうか? おそらく競技や指導経験のある方ならすぐにいくつか思い浮

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陸上短距離の走り方が”走りの基本”ではない理由。

陸上の短距離走の走りは、多くの場合"走りの基礎であり基本"だと捉えられてきた。 それゆえ他の競技で走りの基礎として陸上スプリントの走り方トレーニングなどが導入されるケースも多い。 しかし、身体操作の観点からみると決してそうとは言い切れない。 特に100m走など直線を駆け抜ける形式は、サッカーやラグビーなどの走り方とは根本的に異なる。 陸上短距離走の『走り方』トレーニングをしても、サッカーやラグビー、野球などのパフォーマンスの向上につながらないことも十分に考えられる。 今回はそ

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