体系立てて学ぶことの大切さ
スポーツトレーナーまたはフィジカルコーチとして、身体のことや動きのことを勉強する機会はこの業界にいる人であればもう当たり前の行為だと思います。
講習会などを利用することも多いと思います。
いずれにせよ勉強の目的は、『選手への指導に活かすため』ですよね。
どんなに知識があっても、究極は選手のパフォーマンス向上の役に立たなければ無用の長物。どんなに物知りでも、どんなに論文を知っていても(書いていても)、”選手目線”で意味がなければ、(少なくとも私にとっては)無意味です。
”答え”を求める勉強スタイル
そうした前提で、勉強するという行為を深く考えていくと、重要なことは『体系立てて学ぶ』ことであるというポイントが見えてきます。
私たちはどうしても”欲しい情報”をとりにいくというスタイルになりがちで、つまりそれは”答え”を求めているとも言えます。
たとえば普段クライアントの膝の痛みがなかなかうまく解消できないことに困っている場合。
「膝の痛みを改善するための手法」をダイレクトに学びにいくことは、欲しい情報を手に入れるという意味では決して間違ってはいないけれど、、その”答え(手法)”に至った経緯や理由までを読み取る視点がどうしても不十分になりがちです。
欲しい情報に対して得られた”答えらしきもの”はやっぱり光って見えるから。
しかしそうして得られた答え(知識)は多くの場合『応用できる知恵』までは到達せず、結果的に自分の判断基準までは昇華しにくい。なぜなら”膝の問題”が起こる原因は非常に多様であり、結果として膝に現れているだけとも言えるから。
「いやいや、膝の問題は膝で起こってるんだから膝の解剖学や運動学や傷害を詳しく学んでいけばどんな問題でも必ず解決できるはずだ」
という意見を持たれるかもしれません。
しかし例えば頭の位置が少し前に出るだけで全身の重心位置は前方に偏位します。
その結果重心線の位置は前方に移動します。
このことがさまざまな動作において膝周囲の筋群や靱帯、膝関節に影響を与えることは明白。
そして頭の位置は、気分が落ち込んだ時も前にずれる。
緊張やプレッシャーが続くことで胸椎や胸骨が固まることでも前にずれる。
ということは、目の前のその選手の膝のトラブルには、もしかしたら選手の”人間関係のトラブル”まで関与している可能性だってある。
これはいわゆる東洋医学的な視点と言ってしまうのは簡単だが、人間の身体や動きとはこういうものであり、選手の問題を解決する時には実際こういう視点が欠かせなかったりする。
抽象度の低さが問題
常に答えを求める勉強スタイルは、『抽象度が低い』と言える。
膝関節の解剖という具体的(低い抽象度)な知識は、極端にいえば膝にしか使えず、膝に生じているアライメント異常を仮に改善できても根本的な問題の解決にならないことが多い(再発につながる)。
それに対して、抽象度の高い知識とは。
例えば、、
なぜ膝を含む人間の骨格構造がその形状になったのかという発生学そして力学の観点。
重心線がどこを通過するとこういうベクトル(膝へのストレス)が発生するといったこれまた力学の観点。
精神的な影響(自律神経含む)と身体の反応との関係。心身未分。
などなど、抽象度の高い観点は、直接的な”答え”にはならないけれど、判断能力を高めることには不可欠。
だから可能な限り体系立てて(高い抽象度で)学べる方法を選択するのが結果的に良い成果を生みやすい。並行して具体的な知識を学ぶとさらに効率的。
最近、トレーナーを目指したいという若い方々から「何を学べばいいのか」の質問が多いので、その回答でした。
思いっきり眉唾ですが、JARTAのトレーナーカレッジは抽象度の高さで評判ですので一度チェックしてみてください。特に私の講義『構造スキル』は抽象度的に超おすすめです。
トレーナーカレッジの詳細はこちらです。
https://jarta.jp/college/
全てはパフォーマンスアップのために。