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目の使い方を間違えると反応速度が落ちる

パフォーマンスを本気で上げようと思っている皆さん、目の能力を上げるトレーニングはしっかりやっていますか?

 もう少し具体的に言うと、目から得た情報に身体が反応するスピードを上げるトレーニングを十分にやっていますか?

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身体がいくら速く動かせても、「見る能力」が低ければ反応は遅れる。

 ここはものすごく重要な点なのだが、ひとことで見るといっても、実は大きく分けて2種類の見方がある。

-見るための視覚系(Ventral stream)
-動くための視覚系(Dorsal stream)

目にも使い方があるということだ。

見るための視覚系は、「見るための状態」を全身で作ってしまうため、視覚情報に対する身体の動きの反応スピードを抑制する。ものをよく見るためには、身体は動かない方が見やすいためだ。視力検査の状態だ。

これはターゲットにピントを合わせようとすることで発動する。
よく見ようとすることで、身体の動きや素早い反応は”抑えられる反応”が起こる。

多くの球技指導で見られるような「もっとボールをよく見ろ」というフレーズは、もしかしたら、見る視覚系の誘発につながってしまっているかもしれない。

 ボールや相手をよく見ようとしてピントを合わせることで、身体が動く反応が遅れるという”逆効果”を起こしているかもしれないのだ。

「動体視力トレーニングしっかりやってるぜ」というケースでも、そのトレーニングが、飛んでくるボールに描かれた数字に”ピントを合わせる”タイプの方法だったりすると、実は「見るための視覚系」を使う練習になっている可能性がある。
*瞬間視トレーニングなど有効なものもある

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それに対して「動くための視覚系」では、この経路を使うことによって身体の反応速度は上がり、腕の動きを対象とした実験では見るための視覚系よりも0.1秒程度も身体運動の反応が速くなることがわかっている。

例えば野球のピッチャーの球速が140km/hだとすると、投げてからキャッチャーミットに届くまで約0.47秒だから、この差による影響は甚大だ。

これは”目の使い方”によって身体の反応速度に差が生まれることを意味し、パフォーマンスに大きな影響を与えることは明確である。

見るための視覚系と動くための視覚系では目の使い方が異なる。

私は見るための視覚系を使うための目の使い方を「フォーカス」、動くための視覚系を使うための目の使い方を「ムービングアンフォーカス」と呼んでトレーニングも使い分けている。

一般的な動体視力トレーニングにおいて、この点を十分に理解せずに”見るための視覚系”を使う方向に進めてしまうと、逆に身体の反応速度を落とすことになる。

特に球技は、目の使い方を軽視するといくら身体が速く動くように鍛えても、「反応の遅れ」という形でパフォーマンスアップの邪魔になってしまうため、この点は確実に押さえておいた方が良いと考える。

この知識があることで、反応が遅れる選手に対して「もしかしたら目の使い方じゃないか」という引き出しを得られるので、知っていて損はない。

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