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うるしかぶれと皮膚

たまたま購入した本に漆かぶれのことが載っていました。

漆の主成分であるウルシオールは液体状態では低分子なので、表皮の角層の下にある、細胞と細胞の間にある関所のような「タイトジャンクション」というバリアをすり抜けて免疫反応が起き、かぶれ(炎症)に繋がるとのこと。高分子はこのタイトジャンクションを通過できない仕組みらしいです。

よく「漆は高分子」と紹介されることが多いのですが、もともとは低分子で、ラッカーゼが働くことでウルシオール同士が結合して高分子化し固体に変化するのです。漆器の塗膜がそれです。

もしウルシオールが最初から高分子で存在していたらかぶれはそれほどひどくなかったかもしれません。それはウルシの策略というか、木に傷をつけたりしたらその相手にかぶれというダメージを与えるためウルシオールを低分子として存在させておき、自らは素早く高分子化して傷跡を修復しようということなのではと推測します。

この架橋反応の速さは天然物としては見事なほどです。

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