大きく振りかぶって~”まっすぐ”の秘密~
阿部のこだわり
武蔵野第一高校戦を通して、今のままではだめだと感じた三橋は阿部の家にいきます。
ずばり、バックスピンのことについて阿部と相談するためですね。
阿部曰く、
・投げるときに腕をねじるためシュート回転するのが普通だから、完全なバックスピンを投げるひとはほとんどいない
・メジャーではきれいなバックスピンよりも”動く球”が多数派
・ストレートが投手にとって大事なのは「一番力を込めやすい球」だから
・「まっすぐ」はバックスピンではないけど、三橋にとってのストレート
・「まっすぐ」はボールの回転軸が平均から外れてるから、打ちにくい球になっている
・バックスピンに近づけたら打ちにくさがなくなるからマイナスにしか感じない
とのこと。
つまり、阿部は他の人と違う回転の球である「まっすぐ」にものすごくこだわりがあるというこです。球種を増やすつもりでバックスピンに近い球を練習するのはいいけど、決め球にはできないとはっきり言いきっていることからも、三橋にはバックスピンよりも「まっすぐ」を大切にしてほしいと感じているのでしょう。
三橋にバックスピンを投げろといった榛名に、その真意を聞くために阿部は電話をかけます。「バックスピンを勧めた意味は何なんすか」という阿部に対し、「力が分散してる。あいつもっと速い球を投げれるのに。130後半でたら面白い投手になると思っただけ」と榛名は答えます。
三橋のこだわり
三橋は、阿部から「投球理論」という物理の本を渡されて読んでみますが、全く内容がわかりません。その本を見ればバックスピンにこだわる意味がないとわかると阿部に言われた三橋ですが、書いてある内容がわからないのはだめなんじゃないかと思います。
学校に着いた三橋は
・「まっすぐ」がなんで変な回転なのか考える
・「まっすぐ」とバックスピンを両方投げられるように練習する
・「まっすぐ」はだめだと思ってるけど、阿部が大切にしてくれてるから大事にする
と阿部に言います。
対する阿部は「原因探して投げ分けできないようなら、バックスピンにこだわるのをやめる約束をしなきゃ協力できない」「あと二年しかないのに、バックスピンの練習で故障して高校野球を終わらせたくない」と言います。
それでも「ちゃんとストレート投げたいから練習するよ。でも故障しない」と三橋はバックスピンを投げることを譲りません。そんな三橋に「故障したくてするやつはいない!」と阿部は怒鳴ります。
しかし三橋は「俺の球で優勝できると思ってるのですか。俺は思わない。」と阿部の目をみてはっきりと言います。
「”まっすぐ”の特殊な回転」にこだわりをもつ阿部に対し、三橋は「”まっすぐ”では通用しないから、バックスピンのようなきちんとしたストレートを投げたい」という思いが強いようです。
三橋は一貫して、阿部のリードがすごいだけで自分の球は遅くてだめだという認識ですからね。どうしても速い球にこだわりがあるように見えます。
着地点
あまりの声量でいい争うので、周りに人が集まってきます。それを見かねた花井と水谷が仲裁に入り、そこで一度話が終わります。
「まっすぐ」をなぜ投げることができるのかわからない阿部は、投球指導をしてくれる人が欲しいと思い、モモカンに電話をします。阿部はこれまでの経緯を説明し、三橋にばれないように指導者に見てもらいたいとお願いします。
それに対してモモカンは「今の三橋君のままでは勝ち上がることは難しいと考えている」「いろいろなことを教われるチャンスなんだから三橋君に内緒にするなんて考えないで」と諭します。さらに「投球コーチは心当たりがあるから聞いてみる。三橋君の球にこだわりがあることも説明してお世話になりましょう」と言います。
その後、三橋と阿部は再度話し合いをします。
話し合いの結果、2人は以下のことを決めます。
・球速を上げる
・”まっすぐ”は捨てない
・バックスピンを習得するためにフォーム改造が必要なときは、モモカンか阿部の見ている前で練習する
2人とも「あと2年しかないのに故障をしてはいけない」「もっとずっと上に行くためには今の三橋では難しい」という認識があったからこその着地点であると思いました。
新コーチ登場
ここで、三橋の投球指導者兼コーチとして「百枝利昭」が登場します。
お察しの方もいらっしゃるかもしれませんね。
そう、モモカンのお父様です。東京の強豪私立校出身で甲子園に投手として出場経験のあるすごい人です。
そんな人いるならすぐに指導してくれたらよかったじゃん!と思った方もいるでしょう。
実は、お父様はモモカンが西浦高校野球部の監督をすることに猛反対していたんです。しかし、西浦高校野球部は夏の大会で埼玉ベスト16まで残り結果を残します。
その時点で正直指導したい気持ちはあったとは思いますが、「1年だけで5回戦までいけるなんて埼玉もレベルが下がったな」と言いモモカンを怒らせていたので顔を出しづらかったのかもしれないですね笑
しかし、今回の武蔵野第一高校との試合で、西浦高校がもっと上に行くためには三橋のピッチングを成長させる必要があることが明確になります。
さらに、三橋の”まっすぐ”に関して「投げ方はストレートであるにもかかわらず回転はバックスピンにならない理由」がずっとわかっていませんでした。
その謎を解くために投球指導者としてモモカンのお父様がとうとう出てきたということです。
ナチュラルスライダー
三橋はさっそくコーチに”まっすぐ”を見てもらうことになります。
コーチは三橋の球を打席で見るなり、”まっすぐ”と似たような球を投げる投手と対戦したことを思い出します。
そして、阿部の後ろにカメラを設置して色付きのボールを三橋に投げさせます。
カメラや色付きのボールを準備をしていることから、コーチは投球指導に対してかなりやる気満々だったご様子笑
結論から言うと、三橋のまっすぐは”スライダー回転”になっていることが判明します。コーチ曰く、「ピッチングの腰が横回転になっており、遠心力で手を頭の横にくっつけることができず遠回りした結果、手投げとなりスライダー回転がかかっている」とのこと。
何言ってんじゃと思った方はぜひ23巻を見てください。イラストでわかりやすく描かれています!
秋季県大会
西浦高校は秋季地区大会の3回戦を突破し、県大会へと進みます。
初戦の相手を決めるくじを引きに行った花井は、埼玉の2強である「千朶高校」を引き当ててしまいます。さすがのクジ運の悪さです。
クジ引きの帰りの電車の中で、花井は強豪校との対戦がきまったことで格上の相手の強さをリアルに感じてしまい弱気になります。そんな花井に対し栄口は「花井の”やればできることでもできなかった場合を考えて躊躇する性格”は、キャプテンをするときにいい時もあるけど見せちゃいけない時もあると思う」と言います。
栄口、優しいけど言うべきことはしっかり言うんですよね。本当に彼は副キャプテンとして頼りになります。
「千朶とやるのビビらないの?」と花井は栄口に聞きます。
それに対し「シニア時代にNo.1と当たることも多かったし、悪い意味で慣れはあるよ」「千朶はスタメン1軍じゃないだろうし、強打売りにしてるチームだからはじめのうちは三橋の球に合わないかもしれない」と栄口は答えます。
栄口はさらに「勝機はあるし、花井なら千朶のエースからだって打てると思う」と言います。
このセリフ、花井の目をまっすぐ見ながら言っているので、本心だろうなと思えて心温まります。
あと、対戦相手が千朶になったことを聞いたメンバーが唖然とする中、田島だけは「いいくじだ!花井けっこークジ運いいな!」と言っていたのが面白かったですね。どうしたらその強メンタルになれるのか教えてほしいです。
ステップ幅
体が柔らかいためオーバーステップ気味になっており、踏み出した足に体重移動がきちんとできていないことをコーチは三橋に指摘します。
コーチ曰く、めいっぱい踏み込んで投げるよりももっと楽に投げたほうが力も入るし球速も上がるとのこと。
そこで、ステップ幅を直そうという話になります。
もともと三橋は7足半で投げていましたが、コーチから三橋には6足半が合っていると指導を受けます。
しかし、千朶との試合も近く、ステップ幅の修正は時間がかかるため、大会が終わってから修正をする流れにまとまります。
それにも関わらず、帰宅後、三橋は「シャドウは投球じゃないから大丈夫だよね」と6足半のステップ幅の修正を勝手にしてしまうんです。不穏な感じしかないですが、ここ、千朶戦でかなり重要ポイントになってきます。
まとめ
今回は23巻の途中からの話をまとめました!
今回の記事のまとめは以下になります。
・三橋の課題は「球速を上げること」「”まっすぐ”は失わずにバックスピンを習得すること」「勝手にフォーム改造して故障をしないこと」
・モモカンのお父様がコーチとしてやってきた
・三橋の”まっすぐ”は"スライダー回転の球"
・次の対戦相手は強豪校「千朶高校」
次回
次回、強豪校である千朶高校と対決することになった西浦ナイン。
圧倒的な実力差のある強豪校と戦うってこういうことなんだなとヒシヒシ伝わる試合展開となっており、ジャイアントキリングを起こした桐青戦とはまた違った面白さを感じることができます。
おお振りのなかでもかなり好きな話なので、皆さんにはぜひ一度原作を読んでいただきたいっ…
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