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日本は法律より文化

飛鳥時代~平安時代:律令制

「日本とは何か。」今回は飛鳥時代〜平安時代の律令制について。この頃、超大国・超先進国:唐へのあこがれと、同時にその勢力が朝鮮半島を南下してくる事への恐怖があったため中国の律令制を参考にしようとした。

しかし、日本は中国の『科挙かきょ』のような試験に合格した者が国政を担当するというような制度を取り入れなかった。
(※中国では官職の世襲は許されず、全中国人に科挙の受験資格があり、合格した者のみが官職につける。)

|律令制《りつりょうせい 
中国を中心とする東アジア世界で行われた政治制度。 律は刑法、令はそれ以外の行政上必要な諸法規の集成で、この法体系を機軸に国家の諸制度が整えられ、政治支配の体制が形成されたので、その体制を律令制とよぶ。
コトバンク

大化の改新(西暦645年)

皇極天天皇の皇太子中大兄皇子なかのおおえのおおじは、中臣鎌足なかとみのかまたりと宮廷内クーデターを断行し、朝廷の実験を握る大豪族:蘇我入鹿そがのいるか・入鹿の父蝦夷えみしを滅ぼし、皇極天皇の弟:孝徳こうとく天皇を擁立して自らは皇太子となって実権を握り、新政府を組織して年号を大化と定めた。
翌年、「改新のみことのり」として四カ条の基本政策を公布した。


改新の詔

①氏族制の廃止、皇族・諸豪族の私有地・私有民は公地・公民とする。
②京師・国・郡・里など地方行政組織を置く。
③全国民の戸籍を編成し、班田収授はんでんしゅうじゅの法を実施する。
④新たによう調ちょうその他の統一的な税制を実施する。


・668年 中大兄皇子が天智天皇となる。

・671年 天智天皇が亡くなる。

・672年 壬申の乱。大海人皇子おおあまのおうじ大友皇子おおとものみこが帝権を争い、大海人皇子おおあまのおうじが天武天皇となる。

・701年 持統天皇が上皇となる。「大宝律令」が公布された。


従来の氏族制度における皇室と各豪族の個別的支配と品部ほんちべの管理機構を基とする朝廷の世襲的な職業組織を否定し、中国の律令制にならい、公地・公民制を基礎とする中央集権的・官僚制度な支配機構を打ち立てようとした。

しかし、公地公民制も、743年の墾田永年私財法こんでんえいねんしざいほうも上手くいかず、1100年代になると律令制が崩壊していく。

中国にならって律令制を行ったが、もともと中国文化の蓄積が足りなかったのと、当時の日本人はそれほど政治に情熱を持っていたと思えず、天皇以下、むしろ歌や文章を作る生活、「かな文化」を形成することに、熱意をもっていたと思われる。

当時の日本は歌道の二条・冷泉・飛鳥井、書道の持明院、音楽の綾小路・高辻、蹴鞠けまりの飛鳥井・難波、装束の高倉・山科といった世襲の「家元」が生じた。
彼らが求めたのは「政治権力」よりむしろ「美」であったろう。

一般人民は貧窮であったが、世襲貴族たちはあらゆる面で美を競い、しばしば華美禁止令が出ているが、それらは常に行われなかった。そしてこのようにして出来た平安文化とそれを支えるさまざまな家元、そしてその中の総家元が天皇家であったといえる。こういう文化の中から『源氏物語』が出てくる。

このような日本の「古典文化」に常に深い畏敬の念を持っていた。これが律令制が消えても日本文化の総家元のような形で天皇制が継続した理由の1つである。

日本の制度での「神祇じんぎ官・太政官の併存」。
これは日本独自の制度で唐の律令制にはなかった。歴史に至上の価値をおく中国人にとって、神祇などというのは、日本的に言えば太政官の下でもよかったわけである。
だが、日本では、太政官がすべての政務を実質的に代行できる最高議決機関のようになっており、天皇はそれに承認を与えるだけですべての執務が行える体制になっているが、太政官は神祇には関与ができない。
このことは、日本の場合、天皇の任務のなかで祭祀さいしが非常におおきな比重を占め、これだけは太政官がいかんともしがたい形になっていく。

太政官は時代が変わるにつれて、摂関制になったり、院制となったり幕府が代行したりと変化していくが、神祇官は関係ない。そして、それを統率するのは天皇家であって、これにはだれも関与できない。そしてこの祭儀権の周囲に伝統文化に「家元」がいるという体制になっていく。

このように祭儀権を法的に重く見ることは、おそらく『魏志倭人伝』に表れた卑弥呼の時にすでに始まっており、それ以前にさかのぼるものと思われる。

〔感想〕
中国に憧れて、様々な事を取り入れようとしてきた日本ですが、この頃は、真似したい中国の制度を取り入れる事が出来ないほど後進国だったようですね。
いま考えれば、発展してなかった事によって、法律より独自の文化、「かな」で遊んでいて、要するに、自分を表現することにハマっていたお金持ち達によって文化が花開いたって事なので、それで今なお続く漫画、アニメなどのエンタメの国につながっているのかなと思いました。
古代からのようですが、平和だったんだな…日本。

本文を抜粋させて頂いた本です📘

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