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9月 前も後ろも道ばかり。読んだ本の話。

今月もお疲れ様です。
資格試験の追い込み真っ只中のため、まとまったnote執筆の時間が取れていないのですが、月一更新だけは死守したいという気持ちで書いてます。

肌が受け取る風の心地が変わりましたね。
もう秋ですね。

9月頭ごろ、ついにコロナに罹ってしまいました。どれだけ陽性四面楚歌になってもびくともしなかったのに、なんでや。

ワクチンでもきちんと発熱するタイプだったこともあり、40℃近い熱が三日三晩しっかり続きました。手洗いうがいをちゃんとしよう。

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◾️前も後ろも道ばかり

何かのタイミングで耳にした『幸せになる覚悟』という言葉がしっくりきているので、それについて考えたことをつらつら書きます。たまにはこういうのもいいではないか。

仮に幸せを1つのゴールとした場合、「不幸」や「幸せではない」という感情は、ある意味で「発展途上」であることを意味します。

そしてその間は、幸せと感じられる対象を探すことを続けていられる。ゴールを目指す行動を取ることが出来る。苦しいように見えて、これは案外、楽なのではないか。

中身はともかく、「幸せになりたい」というゴールが明確なのだから。

発展途上であれば、可能性の世界で生きていられる。「もしかしたら」を夢見れる。

一方で「幸せだ」と感じてしまうこと、それを認めてしまうことは、自分の中の可能性を1つ完結させてしまうことになるのではないか。それが怖いから、「覚悟」という言葉がはまったのかもしれません。

なぜか。結局、人生「幸せ」だと思えたからといって、そこで終わりではないから。幸せはゴールではなかったんですね。道は続く。幸せを感じようが感じまいが、生きていく必要がある。

ひとまず「幸せになる」というゴールを立てることは出来ても、いざ幸せだと思ってしまった時、そこから先をどう想像したらいいかが分からない。

その先をどう歩めば良いかの答えがない。そういえば考えてこなかったとも思う。

後にも先にも、前も後ろも道ばかり。迷子なのかも正解なのかも分からん。これからどんな道を歩んでいくのかなぁ。どこかで覚悟する瞬間が来るのだろうか。そして、その先の景色はどんなだろう。

どこかで腑に落ちる瞬間が来るのだろうか…。

…いよいよ結婚式の招待が届き始めたので、やや潜ってみました。そういう時期ですか〜。

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【短文近況報告】

⚫︎インテリアコーディネーター試験まで残り16日。苦手科目はカーテン、得意科目は鉄筋コンクリートです。

⚫︎サンタール・エ・ボーテのキャンドル(white tea)を買いました。なかなか良いです。

⚫︎最近はコンビニで赤ワインを買って飲むのが自分の中で流行りなのですが、ファミマで買った「藍茜(あいあかね)」がうまかった。名前が良すぎる。


報告おわり。以下、今月読んだ本の感想。

◾️9月の読んだ本

我と汝 / マルティン・ブーバー

あらゆる生き物には「われとそれ」「われと汝(あなた)」という2種類の関係性を形作れる可能性があり、「あなたはどうしますか」と問うてくる本(ざっくり)

以前配信されていた、宮台真司さんによる講演動画をお供に読みました。カントのニ世界論をベースにすると理解が深まります。…が、それはそれとしてもめちゃくちゃ難しかったです。

本書によれば、「汝」はいつか必ず「それ」にまで降りてきてしまう。けど逆も然り。「それ」の境界を超えて「汝」へと乗り出すこともまた可能である。この可能性をちゃんと大事にしたいな〜と思いました。


なんとなく、クリスタル/田中康夫

時は1980年代。バブル真っ盛りの東京を生きる、大学生の交流を描いた小説です。ページの右半分が本文、左半分は膨大量の注釈(約420個)です。とにかく固有名詞や実在の地名、ブランドが出てくる。

小説の最後の頁では、日本の合計特殊出生率の予測が意味ありげに引用されて幕を閉じます。ここから何を読み取るか、何も読み取らないかは読者の自由ですが。

令和版があったら何が登場するだろうか。舞台は東京なのですが、自分の住んでいる地域ならどこが紹介されたいか、などを考えて読むのも面白いかも。当時も聖地巡礼とかあったのかもですね。

時代の流れもあり、自らの実存を確信できなくなった人間たちがアイデンティティの拠り所として記号と戯れる方向に流されてゆく(そういうものだと本人たちも納得している)様が、丁寧に描かれています。面白いです!

千駄木まで一枚の千代紙を買いに行く。その気力を大切にしたかった。クレージュの夏物セーターを、クレージュのマークのついた紙袋に入れてもらう。そのスノッバリーを大切にしたかった。甘いケーキにならエスプレッソもいいけれど、たまにはフランス流に白ワインで食べてみる。そのきどりを大切にしたかった。クラブのある日には、朝からフィラのテニス・ウェアを学校へ着ていってしまう。普段はハマトラやスポーティでも、パーティーにはグレースなワンピースを着て出てみる。その遊びを大切にしたかった。高輪へ行ったら東禅寺を訪れてみる。南麻布へ行ったら光林寺を訪れてみる。その余裕を大切にしたかった。(p.56-58)

放課後の音符/山田詠美

平成元年刊行。タイトル通り学校を舞台とした、8つの短編集からなる作品。主人公はみんな女子高生です。あとがきにて綴られる山田詠美さんの言葉がそのまま物語になったようでした。

登場人物たちはみな、日々を過ごす中で受け取る物事の「良い悪い」を嗅ぎ分ける感性に長けている。それらを持て余してしまうこと、隔離し切れないこと、白黒つけられないことにもがいている。

そして、そんなモヤモヤをまるで見守るかのように、情景描写が凄まじく美しいです。良い本だったな。

良い大人と悪い大人を、きちんと区別出来る目を養ってください。良い大人とは、言うまでもなく人生のいつくしみ方を知っている人たちです。悪い大人とは、時間、お金、感情、すべてにおいて、けちな人々のことです。若いということは、はっきり言って無駄なことの連続です。けれど、その無駄遣いをしないと良い大人にはならないのです。(p.213)

風にまいあがるビニールシート/森絵都

2006年初版、第135回直木賞受賞作。6つの物語から構成される森絵都さんの短編集です。ワイン飲みながら2時間で読みました。嗚咽した。おすすめは「犬の散歩」「ジェネレーションX」、そして表題作である「風にまいあがるビニールシート」です。天晴。

昔日の青臭かった自分との決別を図りつつ、望むと望まざるとにかかわらず失われていくその青臭さにどこかで焦がれている。リアルタイムで若き日を生きている世代といると居心地が悪いのはそのせいかもしれない。(p.252)

クリスマス・キャロル/ディケンズ

1843年初版。冬を先取りできる素敵な小説。あらすじが完全にネタバレを含んでおりましたが、この世には無いはずの世界の描き方が巧みで引き込まれます。あとはご飯のシーン!食料品店!おお、食料品店!今年のクリスマスは机いっぱいにご馳走を並べたくなりました。

紅茶とコーヒーの入り交じった良い香が鼻をよろこばせる。極上品の乾葡萄が多量にあり、アーモンドは真白で、シナモンスティックはじつに長くて真直だ。その他の香料も何とも言えずかぐわしい。砂糖漬の果物の砂糖がとけてまだら模様にかたまっているのを見たら、どんなに冷静な人でも興奮し、あげくに口に入れたくてたまらなくなるくらいだった。いちじくは汁が多くてやわらかく、フランス・プラムは華やかに飾ってある箱におさまって、つつましやかな酸味をたたえながら顔を赤らめていた。(p.93)

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【おまけ】
学生時代から続けている、購入した書籍名リストの総数が1000冊になりました。約6年(2017/9/3〜2023/9/18)ですね。この辺りの雑感も時間ある時にまとめてみます。

◾️最近よく聴く曲集

Dam Dariram

母がよくやっていたゲーム(ダンスダンスレボリューション)に収録されてた曲。アガる。

BOOM BOOM DOLLAR

こちらもおなじく。
通勤中に聴くと歩行速度がバグります。

Spooky,Scary Skeletons

ハロウィンの時期に突如としてユニバで流れ出す神曲。会社に同じくこの楽曲が好きな同期が居て笑った。

クダリ

Mrs.GREEN APPLEの4thアルバム『Attitude』収録曲。2019年リリース以降、この時期から年末まで聴き続けるモードに入ります。個人的にそういう曲です。月並みですが、人生にこの曲があって良かった。有り難い、という気持ちです。

どうやって生きていけばいいのだろう
結局は気遣いさせては
虚しさの海に落としてしまってどうしようか
背伸びが得意になり 繕うのなんかは朝飯前
でも心のどっかで見つけてほしいんだろうな

以上です。また更新します。

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