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30年日本史00073【神代】天の岩戸 アマテラスの帰還

 岩戸の前で繰り広げられるどんちゃん騒ぎを聞いて、洞窟の中にいるアマテラスは気になって、岩戸を少し開いて外を覗き、
「神々がみな笑っているのはどういうことなのでしょう」
とつぶやきました。
 アメノウズメは踊りながら、
「あなた様より尊い神がいらっしゃるので、我々はみな笑って喜んでいるのです」
と答えます。
 アマテラスはさらに岩戸を大きく開いて外を眺めます。このとき、アメノコヤネがすかさず八咫の鏡をアマテラスに向けました。このアメノコヤネこそが、後の藤原氏の祖先とされています。後付けの可能性が高いですが。
 アマテラスが外を眺めると、外に太陽のように神々しく輝く神が見えるではありませんか。「まさか自分の他に太陽神がいるなんて」と驚いていると、力の神であるアメノタヂカラオ(天手力男)が手を引いてアマテラスを引きずり出しました。外に太陽神がいるように見えたのは、八咫の鏡に映るアマテラス自身の姿だったのです。
 こうして見ると、日本神話における最高神アマテラスは全知全能でも何でもなく、別の神によって騙されることもある不完全な神なのですね。その方が日本神話らしい気がします。
 さて、アマテラスが隠れた天の岩戸とはどこにあるのでしょうか。宮崎県高千穂町には、「これこそが天の岩戸だ」という岩窟があり、その岩窟をご神体とする「天岩戸神社」があります。そこでは、今もアマテラスを引き出すために踊ったというアメノウズメの踊りが行われています。さすがに胸や陰部はあらわにしないそうですが。
 天岩戸神社では、神職さんにお願いすると、拝殿の裏から「天岩戸」を見ることができるのだそうです。ただ、境内にそういった案内は一切なく、そのまま帰ってしまう参拝客が多いそうです。
 天岩戸は撮影禁止の上、神職でさえも一切近づいてはならないそうです。また、どこまで本当か分かりませんが、入ろうとした者が2人原因不明の死を遂げているのだとか。奥は一体どうなっているのか気になりますね。
 ちなみに天の岩戸神話は最も人気のあるエピソードなので、高千穂以外にも、全国各地に「ここが天の岩戸だ」と呼ばれている場所があるようです。
 話を戻します。
 オモイカネの目論見通り、アマテラスが出てきて一件落着といったところで、アメノタヂカラオはアマテラスが再び洞窟に隠れてしまわないように、岩戸を遠くへ投げ飛ばします。それが落ちた場所が長野県長野市の戸隠山(とがくしやま)になったという伝説があります。
 岩戸がそのまま山になったということは、相当なサイズの岩戸ですね。アマテラスを含めた神話に登場する神々は、みんな身長数百メートルくらいのサイズなのでしょうか。

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