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東南アジア、半島を縦断せよ

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2024年10月、シンガポールからベトナムのハノイまで陸路で縦断した旅の記録。 2024年11月現在更新中です。
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クアラルンプールの下町

クアラルンプールの下町

クアラルンプールは、ゴンバッ川とクラン川という二つの川が街の中心で合流している。
そのため、Y字に流れる川に隔てられて、東・西・北の3区画に分かれている。

二つの川に囲まれた北の区画は下町とでも言えるような雰囲気があり、観光やビジネスの街としてではない、庶民の街としてのクアラルンプールが見える。

北の区画のメインストリートは、南北を貫くトゥアンク・アブドゥル・ラフマン通りだ。
北から南まで賑や

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大都会クアラルンプール

大都会クアラルンプール

クアラルンプール①小さいながらに風格を保つ街マラッカを抜け、相変わらずのプランテーションをバスは進む。
といっても、ジョホールバル→マラッカ間よりは、田畑や他の樹木、町が見えるから、風景は少し違う。

クアラルンプールにはいくつかのバスターミナルがあるが、私がたどり着いたのはTBSというテレビ局のような名前のターミナルだった。
TBS、こと、Terminal Bersepadu Selatanはク

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生き残る街マラッカ

生き残る街マラッカ

マラッカ③二つの顔を持つ街

マラッカは首都クアラルンプールからバスで2時間ほどの距離にある。
ちなみに、列車は通っていないというか、現実的ではない。
最寄りの「バタン・ムラカ」駅はマラッカ中心部まで車で1時間ほどの距離にあるからだ。
そういう意味では、マレー半島を列車で縦断するという私の計画はここで早くも破綻したわけだ。

さて、何が言いたかったかというと、クアラルンプールから見れば、マラッカと

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斜陽と源流のマラッカ

斜陽と源流のマラッカ

マラッカ②交易都市マラッカ大きく分けて東西二つの区画がある。
街の真ん中を流れるマラッカ川の東側は「マラッカの丘(ブギッ・ムラカ)」を中心とする歴史地区。
一方の西側はジョンカー・ストリートをメインストリートとする華人街。

歴史の凝集点マラッカの丘

マラッカの丘の西側にはスタダイス(スタッド・ハユス)と呼ばれる旧オランダ総督府があり、目の前にあるオランダ広場を中心に観光客で賑わっている。
丘に

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マラッカの夕陽はとてつもなく大きいらしい

マラッカの夕陽はとてつもなく大きいらしい

マラッカ①マラッカに着いたのは16時半を回った頃だった。
事前に得た情報で、「ドメスティックバス」を使えばバスターミナルから市内まで2リンギッ(80円ほど)で移動できると知っていたので、とにかく表示を探した。
ドメスティックというと、国内線のような響きだが、この場合はマラッカ市内バスを指す。

目が合ったバスの運転手に、宿が近い「オランダ広場」に行くか?と聞くと、隣のバスだという。
おかげさまで、

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ジョホールバルの街

ジョホールバルの街

ジョホールバルの村と街②街へ

村の朝は静かである。
昨日までのシンガポールの都会とは違う風情がある。
散歩がてら、私は街のある南の方へと歩き始めた。

道は街の外れを通り、海へと向かう。
左手には刑務所がある。
右手には巨大な自然、娑婆の空気はうまい。

刑務所の二件ほど隣は高校だ。
あまりに変な取り合わせに思えるが、哲学者のフーコーからしたら同じなのかもしれない。
町外れらしい、だだっ広い空間

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ジョホールバルの村

ジョホールバルの村

ジョホールバルの村と街①国境越え

シンガポールの市街地から、国境地帯であるウッドランズまでは地下鉄で行ける。
45分ほどかかるが、ヴァチカン市国を除けば世界一アクセスのいい国境だと思う。

とはいえ、実際に地下鉄に乗ると、ウッドランズサウス、ウッドランズ、ウッドランズノース、という3つの駅があり、少々混乱する。
実際、ウッドランズ駅で降りたはいいが、駅表示がなかったため、より国境に近いノースに移

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アジアの南端

アジアの南端

シンガポールのミナミ(番外編)セントーサ島という明らかに私の柄に合わない場所に行った理由は、かなりミーハーなものだった。
なんてことはない、セントーサ島の南にあるパラワンビーチが、コロナ禍以降好きになったアーティストの新曲のMVのロケ地だったのだ。
しかも、シンガポール行きを心に決めた後で発表されたのだから、誰だって運命を感じるだろう。

セントーサ島までは、チャイナタウン駅から地下鉄でハーバーフ

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シンガポールにあるインド

シンガポールにあるインド

シンガポールのキタ②リトルインディアの二つの顔

アラブストリートの界隈から西に進み、ローチャー運河を越えると、そこはリトルインディアと呼ばれる区画である。
メインストリートは南北を貫くセラングーン通りで、訪れた時はインドの新年を祝うディワリ(ディーパワリー)の飾りがついていた。
至る所でセールが開催され、至る所で、ディワリ飾りを売る臨時の屋台が立っている。

リトルインディアは、インドがそうであ

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シンガポールの猥雑さ

シンガポールの猥雑さ

シンガポールのキタ①シンガポールのニシ

大阪の臨海部を「ニシ」と呼ぶ向きがあるらしい。
伝統的なものではなく、万博開催に関わる思惑もありそうだから、長続きはしないように思う。
だが、シンガポールには、ニシも存在する。

シンガポールの伝統的な街区は島の南東に集中する。
それはひとえに、その場所に英国が港を建設したからである。
一方、島の中軸寄り、つまり、市街地からは西にあたる部分には、かつて果樹

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シンガポールの生活感

シンガポールの生活感

シンガポールのミナミ③シンガポールの、特にミナミを歩いていて気づくのは、生活感のなさである。

ショップハウスの建築は確かに美しい。
商店に溢れる骨董や、なんだかわからない商品も見ていて楽しい。
多様な宗教施設も興味深い。
だが、ここの人たちはどこで何を食べているのか。それが見えない。

洒落たレストランはあっても、東南アジアや中華圏では至る所にあった食堂の類が見当たらないのである。
興味関心だけ

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シンガポールの華人街

シンガポールの華人街

シンガポールのミナミ②軽やかな街

私の宿がある河岸エリアから、シンガポールの御堂筋とも言えるサウスブリッジロードを南に下っていくと、高層ビル群が現れる。
あくまで大阪に例えるなら、そこはシンガポールの心斎橋だ。

高層ビル群ではビジネスマンたちが忙しなく歩いている…と思いきや、比較的穏やかに談笑する姿をよく見る。
シンガポールの人々の気質を表しているようだ。

シンガポールはとにかく感じの良い国

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シンガポールの顔

シンガポールの顔

シンガポールのミナミ①日本随一の経済都市大阪は、伝統的にキタとミナミの二つの顔をもっている。
同じように、東南アジア随一の経済都市シンガポールにも、キタとミナミがある。

シンガポール中心部を横切るように流れるシンガポール川から南は華人街と高層ビル群からなる。
一方、北側にはインド人街を中心に、猥雑なブギスの界隈とスルタンモスクが鎮座するアラブストリートがある。
大阪のキタが比較的都市的で、ミナミ

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マレー半島縦断事始

マレー半島縦断事始

シンガポールからチェンマイまで陸路で縦断する。
赤道からスタートして、緯線を18.77度越える旅路である。私は今、そんな旅の最中にある。

発端

これは人生を取り返すための旅である。
大学を卒業してから、社会というものとうまくやろうとしてきた。
やってみれば好きになるかもしれないと、大学院での研究も、その後は仕事も始めた。

だが、それを続けていくうちに、自分自身を見失うようになった。
大きな挫

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