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邦ロックとあたし。
音楽について、関心がある人には2つのパターンがあると思っている。
ひとつは特定の“推し”を作らず浅く広く、その曲自体を愛する者。もうひとつは“推し”をつくり、徹底的にそのアーティストを、曲を、好きになる者。
私は高校2年生まで前者だった。
大抵前者は、後者ほどの音楽熱を持っていない。それが良いとも悪いとも思わないが、私は後者になれて良かったと、心から言える。
私は邦ロックにハマった。完全に沼だった。
きっかけは受験期。私が逃げ場を求めた時だった。
打ち込んでいた部活の引退、保険のための入塾、グダグダと続く彼氏との関係、陰口を叩く同期、圧倒的な勉強時間
その全てから逃げたかった。
部活の集大成くらいまで、私の心は彼氏が支えてくれた。一緒に帰ろうとなればトイレに駆け込みリップを塗り直したし、最後の試合も応援に行った。私は彼がとても好きだった。
彼は変わり者だったから、LINEの返事は短いし、SNSはしない。男友達とふざけ合う時間や、1人で家にいること、その時間が好きだった。
私達はすれ違った。
はっきり言って、疲れた。6年間好きだった彼に疲れる日が来るとは、と、一人で苦笑した記憶はかなり鮮明だ。
それから部活が無くなり、下校時間は一刻も早く塾に行くため、ひとりが多くなった。その沈みかけた夕日に向かって自転車を走らせる時間、私は音楽を欲した。
その時出逢ったのが「邦ロック」だった。
私が最初に染まったのは【My Hair is Bad】だった。初めての夜、元彼の話、彼女が好きすぎる彼氏の話、、My Hair is Badの紡ぐ詞は果てしなく私の心に染みた。
陰口叩く友達以下の同期と、無理につるむ必要は無い。元彼のことが忘れられないならそれでいい。彼等はストレートな歌詞と軽快なメロディで私を潤した。
全ての人は、何処かに荒んだ心を持っている。
そしてそれを人前に出すまいと、必死に日常をこなしている。
そんな私たち一人ひとりに合った【音楽】は必ず存在する。
私にはそれが、邦ロックだった。
邦ロックに出逢えたこと、一生忘れたくない。
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