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言葉

旅暮らしや、ミニマリスト、企業、旅や旅行を題材にしている本は、私がなりたいけどなりきれていないので、ついつい憧れてしまうし、刺激になる。

普通に生きていたら関わることがない、海外でのお仕事やファッション、結婚や夫婦、子育ては、誰かに移り変わって世界を見ているような気分になる。同じ経験をした人でも、感じることが違うように、綴られる言葉も違う。それは人柄の違い。ものごとの見方を、この人はこうやって見るんだな、と思ったりする。エッセイはそれらがぎゅーっとつまっている。エッセイは事実だけではなく、情が横並びしている。ただの記録じゃない。それが好き。

最近読んだエッセイは、女優の杏さん著書
「杏のふむふむ」


この本を通して、モデルの奥深さを知る。

“ファッション業界は一期一会という言葉がぴったりと似合う。溜まっているところが一つも無いのだ。常に何かが動いているなかで、一瞬かも、一生かもしれない出会いを次々となぞった日々。
一瞬、一瞬を切り取るこの仕事に出会えて、本当に良かった。世界のどこかで、それぞれの時間を生きている、かつて仕事で出会った人たち。また一緒に仕事をするかもしれないし、もう会うことはないのかもしれない。そのくらい世界は狭くて、また広いのだろう。”

なるほど。この言葉に出会わなければ知らなかったモデルの世界観。写真を見る目が変わった。



毎週のドラマを楽しみにするように、毎日の通勤でどきどきしている。電車に揺られる時間は、私は本の中にいて、隣にサラリーマンなどいない。私と物語の世界ができあがる。あ〜と余韻に浸りながら改札を出ると、いつの間にかサラリーマンの世界に戻る。それが小説。一冊読み終えた頃は、彼らが今どうしているか気になる。恋に近い。いや保護者かもしれない。彼らが、嬉しいのなら私も嬉しいし、悲しいなら私も悲しい。

小川糸著「ツバキ文具店」「キラキラ共和国(左記作品続編)」


主人公・雨宮鳩子が結婚したときのとある日。
“「予約をしていたモリカゲです。」
緊張しながら、名前を告げる。今日から私は、雨宮鳩子ではなく、守景鳩子になった。QPちゃんとミツローさんのチームに自分も仲間入りできたようで、嬉しくもあり、照れ臭くもある。まだ、守景鳩子という自分の名前には慣れないけれど、雨が森になったことで、鳩は喜んでいるような、そんな印象だ。”

鳩子、初々しいな。幸せになれよ..!!! 結婚式は鎌倉のお寺で挙げてください(見に行きます)

この本の個人的にぐっときた言葉と文。

“寿命だったと思うことにした、と真生君のおとうさんは言っていた。だとすれば、真生君はよっぽどおとうさんとおかあさんに会いたかったのだろう。会えたから、満足してしまったのかもしれない。”

若いご夫婦は、赤ちゃんの真生くんを乳幼児突然死症候群で亡くした。ご両親の気持ちを思うといたたまれなくなるが、前を向いているおとうさんの言葉に涙する。きっと今頃真生くんは、お父さんとお母さんに見守られ、ランドセルを背負っているのかな。3人の幸せを願わずにはいられない。

人の死は、必然といえど悲しみに暮れる。この言葉のおかげで少し前を向くことができた。

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本は私を知らない世界へ連れていってくれる。そして言葉は私の背中を押してくれるし、物知りにしてくれる。アイドルを推すように、本のなかにも推しができるし、そもそも文字を残してきたみんな推せる。それを最初にした人、一番推せる。ありがとう。

言葉は時には人を苦しめたり、傷つけるけど、それを癒すのも言葉だと思うので、私はずっと言葉を大切にして生きていきたい。読める書けるうちは、私は言葉を楽しみたい。

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