ゲームボーイのロゴのバグを調べると、任天堂の不正カセット対策に辿り着いた
始まりは1件のバズツイート
先日、こちらのツイートを見かけました。
これはゲームボーイの起動時に、カセットがきれいに差さっていないとよく表示されるバグったロゴ。
ゲームボーイ世代の方にはお馴染みの現象です。
参考動画: https://www.youtube.com/watch?v=tc3vYosDTRo
(こちらはソフトを差していないようで、ロゴが真っ黒になっています)
私自身懐かしいなと思ったのですが、ふと疑問に思うことがありました。
なぜ、このようなバグったロゴを表示する機能があるのだろう?
ゲームボーイより前に発売されたファミリーコンピューターでは、このような機能はなく、カセットが上手く差さっていないとゲームがそもそも起動しません。
上手く差さっていないことを遊ぶ人に伝えるだけであれば、わざわざバグったロゴを表示しなくとも、それが分かる表示をすれば済む話です。
前述のツイートのように、多種多様なバグったロゴは必要ないはずです。
「これは何か理由があるぞ」
そう思った私は少し調べてみました。
バグったロゴが表示される仕組み
まず初めに、バグったロゴが表示される仕組みについて解説します。
ネットで調べると、ゲームボーイを解析した情報を集めている wiki を見つけました。こちらはその中のゲームボーイの起動時の処理が書かれたページです。
プログラマー以外の方には難しい内容ですので、簡単に要約します。
1. カセットの中に保存されている、任天堂(Nintendo)ロゴ画像を表示する
2. 表示したロゴ画像のデータが、ゲームボーイ内部に保存されているロゴのデータと一致しているかどうかを判断する
3. 一致していれば、ゲームを起動する
つまりゲームボーイの最初のロゴは、カセットの中に保存してあるデータを表示しているわけです。
なので、カセットが上手く差さっていないと、カセットのデータをうまく読み込めず、バグったロゴが表示されてしまうわけです。
そしてその場合、正しいロゴデータでは無いという判断がされ、ゲームが起動しません。
これでバグったロゴが表示される仕組みが分かりました。
では一体なぜこのような仕組みをゲームボーイに入れる必要があったのでしょうか?
バグったロゴは不正ソフトを摘発するためだった!?
さらにネットを調べると、あるツイートを見つけました。
こちらのツイートによると、不正カセットが販売された際にそれを摘発するための仕組みとのことです。
もう少し詳細に説明するとこういうことになります。
ゲームボーイは Nintendo というロゴのデータがカセットに入っていないと、ゲームが起動しないようになっている。
↓
不正に開発したカセットや、勝手にコピーしたカセットを販売しようとする人は、上記の理由からカセットの中に絶対 Nintendo ロゴを入れる必要がある
↓
これにより任天堂は、Nintendo のロゴの商標権の侵害で訴えることができる
とても工夫された作戦ですね。
それもそのはず、任天堂はゲームボーイより以前に発売されたディスクシステムでも、不正ソフトに悩まされていたようです。
こちらのサイトによると、同じ理屈で Nintendo の文字データを使って無断ライセンス表記を摘発しようとしたようですが、裁判所によって訴えが却下されてしまったようです。
そうした経験を踏まえて、商標を使って訴えられるように工夫を凝らしたのがゲームボーイだったわけです。
さすが法律に強いゲーム会社
あるバズツイートから、法律に強い会社として有名な任天堂の歴史を垣間見ることができました。
みなさんも再びゲームボーイで遊ぶ機会があれば、起動時に表示されるロゴにたくさんの知恵が詰まっていることを思い出してみてください。
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