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#019 骨つぼが後ろに並ぶ教室で

#日経COMEMO #NIKKEI  2023年12月3日 朝刊 春秋
約560字

<すぎ>
1945年8月15日、広島市に 原爆が 落ちました。
高橋さんは その日 用事があって 広島市に いませんでしたが、
友だちが たくさん 死にました。
高橋さんは たくさんの 友だちが 死んで
自分だけが 生きていることを とても 悲しいと 思いました。
高橋さんは 90歳になって その悲しい 気持ちを 俳句にしました。

戦わぬ 人間の佇つ 爆心地
たたかわぬ にんげんの たつ ばくしんち

原爆のあと 生きている 生徒たちは 
陸軍被服支廠(りくぐん ひふく ししょう) という 建物で 勉強しました。
そこは 原爆で ケガをした人の 病院だったので
たくさんの 人が 死にました。
誰かわからない人も たくさん いたので
教室の うしろには たくさんの 骨つぼが 置いてあったそうです。

その 陸軍被服支廠(りくぐん ひふく ししょう) という 建物が
国の 重要文化財になりました。
高橋さんも このことを 喜びました。
この建物が これからも 大切にされて、そこで 何があったか
たくさんの 人が 知ったり 考えたりする 場所に なってほしいです。

<ことば>
手前味噌(てまえみそ):元は、自分で作った味噌(みそ)の味を自慢すること。自分のことを自慢すること
恐縮(きょうしゅく)する:少し恥ずかしいと思う
読者投稿欄(どくしゃ とうこう らん):新聞や雑誌になどの、読者が考えや思ったことを文章にして送り、載せる部分
市井の人びと(しせいの ひとびと):ふつうの人々 特別な地位や財産がない人
喜怒哀楽(きどあいらく):喜び、怒り、悲しみ、楽しみなど、人のいろいろな気持ち
世相(せそう):社会のようす、
真っ先に(まっさきに):一番最初に。どれよりも先に
目を通す(めを とおす):読む
佇つ(たつ):しばらくの間、その場所に立つこと
爆心地(ばくしんち):原爆が落ちた場所
節目(ふしめ):10年ごとの記念になる年
吟じる(ぎんじる):詩や俳句などを作ったり、声を出してそれを読むこと
没する(ぼっする):死ぬこと
投句(とうく):俳句を作って(新聞や雑誌に)送ること
記者(きしゃ):ここでは、「記者である私が」という意味
高等女学校の1年生(こうとう じょがっこうの いちねんせい):今の中学校の1年生、12才
建物の延焼を防ぐ作業(たてものの えんしょうを ふせぐ さぎょう):空襲で火事になり、火が他の建物に広がらないように、空襲の前に家々をこわしておく仕事
天に召される(てんに めされる):死ぬこと
所用(しょよう):用事があって
勤労奉仕(きんろう ほうし):戦争中は勉強することより、戦争の役に立つ仕事を、自分から、喜んですることが大切だった
銃後の「戦い」(じゅうごの たたかい):直接、敵と戦うのではないけれど、戦っている人に役立つような仕事をすることで、間接的に戦うこと。
難を逃れる(なんを のがれる):被害にあわないこと 助かること
負い目(おいめ):申し訳ない、ごめんなさいと思うこと
被爆建物(ひばく たてもの):原爆の被害を受けた建物
旧陸軍被服支廠(きゅう りくぐん ひふく ししょう):戦時中は陸軍の軍服などを作っていた建物
救護所(きゅうごしょ):臨時の病院
身元不明(みもと ふめい):どこの誰だかわからない
亡きがらを納めた骨つぼ(なきがらを おさめた こつつぼ):亡くなった人を火葬し、その骨を入れたつぼ
記憶伝承(きおく でんしょう):記憶や記録を残して将来に伝えること


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