今月も必死に地雷を避ける僕。


仕事が終わり帰宅する僕。家の駐車場に着き、彼女の車の隣に駐車する。彼女の方が仕事が終わるのが早い為、基本的に僕が帰る時には先に家にいる場合がほとんどだ。

家は身体を休める場所。大切な人とならなおさらそうだと思う。

ただ僕の場合はそれだけではない。

どれだけ彼女の機嫌という名の『地雷』を踏まないで被害を最小に抑えるかの、命がけのミッションが始まるのだ。

ただ勘違いしないでもらいたいのは、毎日ミッションがあるわけでは無いと言う事だ。いわゆる『女の子の日』この期間限定のミッションだ。

このミッション期間の彼女は、常に爆発寸前の爆弾と同じだ。よくドラマや映画で、赤と青どちらかの線を切って爆発を止めるシーンがあるが、僕はその選択肢の連続という難易度超上級のミッションに挑戦している。

ミッションを成功させるにあたってまず必要な物は、何を言われても屈しない強靭なメンタルと貢物だ。

彼女は僕が少しでも選択肢を間違えると、彼氏に浴びせる言葉には到底思えない言葉を、容赦なく残酷に淡々と浴びせてくる。これに屈しない強靭なメンタルを手に入れる為には特殊な訓練が必要なので安易に出来ると思わないで頂きたい。

次に貢物だが、正直食べ物ならなんだっていい。食に関しては単純なので、ここは深く考える必要はない。ただし絶対に忘れてはいけない。貢物を忘れてしまうと、ミッションのレベルが五段階は跳ね上がる。

ミッション内容はシンプルだ。彼女の執事として尽力を尽くすのみ。どんな小さな要求も嫌な顔せず速やかに遂行しなければならない。この時に思う事がある。表情を隠さず、感情と心の声を隠せるようにした神様、ナイス!彼女に表情で悟られる分にはなんとでも言い訳が出来るが、心の声を聞かれた日には、、想像もしたくない。

彼女の要求は様々だ。喉乾いた。食器洗って。マッサージして。など小さな要求は正直苦じゃない。問題なのは、くすぐりたい。足の匂い嗅いで。お尻触らせてなど、常人には到底理解できない要求をしてくる。もちろん地雷を踏むわけにはいかないので、断らずにされるがままになるが、不思議な感情が未だに消え去らない。

約1週間が経つと、ミッション期間の終了がやってくる。今月もよくやったと自分に言い聞かせながら煙草を一本。

ミッション期間はとても大変だが嫌にはならない。

だって、ミッション期間が終わればご褒美のような幸せな時間がやってくるのだから、、、


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