銀行は過去しか見ないし、証券は未来しか見ない。
アカウンティングとファイナンスで一番違う部分は、時間という概念をどう受け止めているかだと思っている。
私自身は以前、銀行と証券、そして今の今は投資事業をやっているが、各業界でその発行体の見方のスタンスが全然違う。
銀行はほとんど過去しか見ない。
いわゆるアカウンティングの考え方だ。
ほとんどが純資産ベースで、過去からの蓄積が全て。
ここでは過去からの延長が今に繋がっている。
いわゆる過去からの決算書の内容を精査して、
融資ができるかどうか判断するものだ。
未来については、
半年くらい、若しくはせいぜい今期の計画くらいしか見ない。
銀行では決算書が正義だ。
一方で証券は未来しか見ない。
これは現在は未来から降りて来るという考え方。
未来を現在価値に割り引いているわけだ。
過去がどうだったかなど、どうでも良い話で、
今後3年間の事業計画の利益の蓋然性を精査し、
上場できると思えば、主幹事を引き受けることになる。
証券は事業計画が正義。
最後に、
投資事業、特にPEは過去のBS、PLをきれいにして、
未来の事業計画をTangibleに行っていくということになる。
どれが良いとか悪いとかではないが、
上場を目指さない限り、証券会社がかかわることはなく、
必然的に銀行の融資スタンスに対して、
どう対応すればいいかということになり、
将来的なことよりも当面1年さえ乗り切れれば、
銀行は融資を継続してくれるということで、
極めて短視眼的な経営になりがちになる。
まあ、しょうがないことだが。
結局、世間的には物事は、
圧倒的に過去を見つめることが多く、
そこに未来からの時間軸を意識することがないため、
ファイナンスを上手く理解出来ない人が
多いのかもしれない。
金融の人材というのは、
基本的に銀行がそのほとんどを輩出していると考えて良い。
その歴史、産業に対する役割、組織としての成熟度や研修制度含めて、段違いである。
ここで、金融としての厚い人材が育っていく。
全ては決算書を読む力から始まり、銀行では飽き足らない人間が、
銀行(負債)から証券(資本)、最後は投資事業(ファンド)へ動いていく。
そういった意味では、やはり最後は過去から未来へのストーリーを描きたい、
発行体とともに成長したい人間が、金融に馴染むのかもしれない。
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