マガジンのカバー画像

【随想】芥川龍之介

68
運営しているクリエイター

#読書感想文

【随想】芥川龍之介『続西方の人』

エンドロールを逆再生して興醒めした 人生の終わり方を知りながら生きるのは辛い いつか必ず来…

Junigatsu Yota
3か月前
6

【随想】芥川龍之介『西方の人』②

 誰よりも母を愛する者は、同時に誰よりも母を憎んでいる。母が魂の中から消えない限り、この…

Junigatsu Yota
3か月前
1

【随想】芥川龍之介『西方の人』①

 潜在意識の顕現たる原初の言葉から構成される世界、そんな常人には見ることさえ叶わぬ世界を…

Junigatsu Yota
3か月前
5

【随想】芥川龍之介『侏儒の言葉(遺稿)』

ありふれた惑星にありふれた歴史を繰り返す 瞬きより短い現象が発生と消滅を繰り返す 環境と反…

Junigatsu Yota
3か月前

【随想】芥川龍之介『侏儒の言葉』②

 孤独が最高の自由であることに疑いの余地は無い。しかし、人は自由を求め、自由に憧れながら…

Junigatsu Yota
3か月前
2

【随想】芥川龍之介『侏儒の言葉』①

 死は救いとなるか。自殺は一つの手段である。何の為の。勿論、救われる為である。何から救わ…

Junigatsu Yota
4か月前

【随想】芥川龍之介『歯車』②

ウロボロスは自分の尾を喰った 犭貪は自分を全部喰った サトゥルヌスは我が子さえ喰った 我が身可愛さに 我が身可愛さに、喰った 喰ってはいけないものを、喰った 阿呆だ阿呆だ 阿呆がいたんだ 誰にも憎まれていないのに 誰もを憎んでいた 傷など負っていないのに 傷だらけのふりをした 阿呆だ阿呆だ 阿呆がいたんだ 死ななくていいのに 死ななきゃいけないと思った 狂わなくていいのに 狂わなきゃいけないと思った この阿呆め この阿呆め こんな阿呆が 阿呆がいたんだ

【随想】芥川龍之介『歯車』①

 自身の精神が崩壊する過程を冷静に観察している自分を更に観察している自分も居て、そこに恐…

Junigatsu Yota
4か月前
1

【随想】芥川龍之介『或阿呆の一生』③

 膿んだ日常に取り残されるように旅路に就いた。狭い海峡に架かる巨大な吊り橋を渡り、そこは…

Junigatsu Yota
4か月前
1

【随想】芥川龍之介『或阿呆の一生』②

 死ぬときは一人で死ぬ? いや一人では死ねないね。道連れにするんじゃないぜ。ただ、死ぬと…

Junigatsu Yota
4か月前
2

【随想】芥川龍之介『或阿呆の一生』①

 なに、簡単なことなんだ。要するに、生きている実感が欲しいのさ。しかしこれが中々どうして…

Junigatsu Yota
4か月前

【随想】芥川龍之介『河童』②

 生に執着せずにいられるのは賢者と狂者の特権なのかも知れない。生が死の対義とならないのも…

Junigatsu Yota
4か月前
3

【随想】芥川龍之介『河童』①

 狂人にはあの世が見えるらしい。それもはっきりと。それはそれは醜い世界で、目を焼くような…

Junigatsu Yota
4か月前
2

【随想】芥川龍之介『蜃気楼』

 夢を夢と断ずる現実を現実と断ずる者は、現実を現実の外から眺めることのできる者でなければならない。三次元が四次元を観測出来ないように、現実を正しく観測する為には現実を包摂する上位領域に居なければならないのだ。だがそんな領域を我々が想像するのは不可能であり、思考の対象で無い以上認識の対象ともなり得ない。そして認識不可能なものは結果的に存在しないのと同義である。つまり現実を正しく認識しようという行為は、無駄、というよりも寧ろ、虚空を掴むに等しいそもそも有り得ない行為である。だから