【随想】芥川龍之介『蜃気楼』
夢を夢と断ずる現実を現実と断ずる者は、現実を現実の外から眺めることのできる者でなければならない。三次元が四次元を観測出来ないように、現実を正しく観測する為には現実を包摂する上位領域に居なければならないのだ。だがそんな領域を我々が想像するのは不可能であり、思考の対象で無い以上認識の対象ともなり得ない。そして認識不可能なものは結果的に存在しないのと同義である。つまり現実を正しく認識しようという行為は、無駄、というよりも寧ろ、虚空を掴むに等しいそもそも有り得ない行為である。だから