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『ゲームゼミ』ゲームを本気で語ろう

3000万回読まれたゲームブログ管理人による、日本初のペイウォール型ゲームメディア。「20年代のビデオゲーム文化」を語るべく、社会、文化、哲学などを縦断的に論ずる、ビデオゲームを…
3000万回読まれたゲームブログ管理人による、日本初のペイウォール型ゲームメディア。「20年代のビ…
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記事一覧

「ゲームゼミ」はなぜ、インディーなゲームメディアになったのか

「インディーゲームとはなにか」みたいな議論がずっと続いている。そしてこの議論には唯一の答えがない。「あれはインディーだ」「これはインディーではない」と口々に言うが、どうしてもそこに納得できる理由がない。 とはいえ、このインディーゲームとはなにか、という議論にかんして自分でも思うところが多い。それは自分がインディーゲームを単に愛好するのみならず、今はWSS playgroundというインディーゲームのパブリッシャーと仕事をしている立場であり、なにより自分自身もまたインディであ

ついにgamescomに行ってきた

8月21日、我々はケルンにいた。今や世界最大のゲームショウとなったgamescomにぶらりと立ち寄ったドイツのインディーゲームのクリエイターたちに(アポを取ったうえで)取材するクレバーな作戦のためだ。この取材にかんしては後々、記事として公開する予定なので楽しみに待っていてほしい。 とはいえ、gamescomである。以前から筆者はgamescomに興味があった。何故なら、gamescomに訪れた者はみな「gamescomは今もっとも面白いゲームショウだ。ぜひ行くべきだ」という

ゲームクリエイターと任天堂ファン必読「任天堂を復活させた男レジー」書評

2024年5月に発売された書籍、レジナルド・フィサメィ著「崖っぷちだったアメリカ任天堂を復活させた男」(以下、レジー本)を2度読んだ。 ずばり、これは任天堂ファン、業界関係者であれば必ず読んでおくべき、とても貴重な本だ。 ただし、この本を一冊の本として考えると駄作である。休日に読書を楽しむ意図なら、別の本にするとよい。なぜなら、(これはどんな経営者や資本家の自伝もそうだが)本著はレジーの主観的かつ利己的なセルフ・ブランディングが多分に含まれており、ノイズやミスリードが多す

今の任天堂は「子ども」に向き合えているのか 現代エンタメの「子ども」の居場所

先日配信された「Nintendo Direct 2024.6.18」を見た。「ニンダイ」ことNintendo Directは恒例となっている任天堂独自の放送だが、今回も非常に盛況な結果となったようだ。ソーシャルメディアには数多の好意的な感想が寄せられ、メディアも嬉々として取り上げた。Nintendo Switchの成功以降、ゲームカルチャーを7年に渡ってドミネートし続けた任天堂の権威は、未だ揺らぐ気配がない。 筆者もまた、リアルタイムでこのニンダイを見て、そしてゲーム仲間と

ドラマ「フォールアウト」の真実 いかに原作ゲームを最高のドラマに昇華したか

ドラマ版『フォールアウト』が素晴らしい。ここ数年、ゲーム原作を映像化する試みはいくつかあったが、『フォールアウト』はその中でもかなり「当たり」の部類と言えるほど、優れた作品である。 では本作の一体何が優れているのか。それは原作の「ゲームならでは」の魅力を踏襲しながら、同時に「ドラマならでは」の魅力を模索し、両立させている点である。これは他の優れた映像化作品、例えば『Arcane』や『サイバーパンク・エッジランナーズ』もそうだったが、『フォールアウト』はこれらと比べても遜色な

大人になるとゲームを辞める理由

筆者がビデオゲームを「本気で楽しみ、批評するため」のコミュニティとして、メンバーシップ「ゲームゼミ」を始めて早くも2ヶ月が過ぎようとしている。メンバーシップは想定を大きく上回る勢いで会員に恵まれ、幸いなことにメンバーシップ「ゲームゼミ」は一定の軌道に乗った。 ところで「ゲームゼミ」には掲示板という、ゼミ生同士で議論するための場所がある。これはまるきり2000年代のテキストサイトに設置されていたBBSと同じ類のもので、通常のSNSやDiscordと比べるとスピード感は遅いもの

突如大ヒットした『HELLDIVERS 2』の魅力は「味方を殺せること」

今年2月8日に、Arrowhead Game Studiosから発売された『HELLDIVERS 2』が、話題を呼んでいる。中小規模のインディースタジオにも関わらず、販売して一週間わずかで100万本を達成、あまりの人気でサーバーがダウンし、その人気で更に人気を呼んでいるという好循環だ。 では『HELLDIVERS 2』とは一体どのようなゲームなのか。内容は非常にシンプルである。舞台ははるか未来の宇宙。宇宙進出に果たした人類は、各惑星を植民地化して資源を吸い上げることに成功し

100本以上ゲームを遊んだJiniが選ぶ、2023年のゲームランキングTop10

2023年は21世紀のゲーム史においても2004年、2007年、2017年に匹敵する豊作の一年であったことは記憶に新しい。数々の話題作が発売され、一本がソーシャルメディアでバズっては、また別のゲームがその話題を塗り替え、そして忘れられていくサイクルを何度も目にした。 そうした一年の中で、私はのべ100本以上のゲームをプレイした。そしてこれほど遊んでいると、その中には言葉に窮する平凡な作品も多々あったのだが、ごく一部、こうした「バズ」の如何に関わらず、純粋に今も記憶に留まるゲ

【重要】「ゲームゼミ」メンバーシップ移行のお願い

いつも「ゲームゼミ」のご購読、および活動のご支援をいただきありがとうございます。「ゲームゼミ」主宰のJiniです。 この度、2月1日より「ゲームゼミ」メンバーシップを開始することになりました。詳細については2月1日に記事にて公開しますが、これまでの「ゲームゼミ」の文章による批評をそのままに、同時に新しい記事や専用のコミュニティなど、上位互換として新しい「ゲームゼミ」を構築する予定です。 そしてメンバーシップ開始を記念し、2月は怒涛の勢いで記事更新が始まります。去年からコツ

2023年、Jiniが選ぶ「現代を生き残るために見たい映画」ランキングTop10

2023年、我々の文明は、降下(fall)している。それも日本だけではなく、世界的にみて衰退、鈍化、逓減、そういう何かネガティブな方向へ、滝壺から身を投じるように落ちている。これは様々な観点で、網羅しきれない根拠から、誰もが薄っすらと感じていることだと思う。 だから娯楽を楽しんでいるとき、誰もが「果たして今こんなことをしている場合なのか」という罪悪感に、ほんの薄っすらとでも囚われていると思う。単なる「自粛」への同調圧力ではなく、いずれ始まる(既に始まっている)資源の争奪に挑

2023年のゲームゼミ総括と、2024年の目標

ゲーマー諸兄、ごきげんよう。 昨年も記事をご購読いただきありがとうございました。今回は振り返りもかねて、ちょっと気楽に2023年何を達成して、2024年には何を目標とするのか、思っていることをつらつらと書いていきたいと思います。気楽なので文体はがらっと変わりますが気にしないように。 2023年の達成・ゲームゼミ購読者1500人突破 というわけでいきなりですが、なんとゲームゼミの購読者が1500人を突破しました! 2021年に購読者が1000人を突破したのですが、この勢

【感想】君たちはどう生きるか この作品を批評できない理由

※言わずもがな、ネタバレだらけです ※批評ではなく雑感です 理由は以下の通り 批評的アニメというより、批評アニメ『君たちはどう生きるか』を見た。純粋にアニメーションとしては間違いなく邦画の粋であり、単にそれらを見ているだけで十分に満足できる作品だったのは間違いない。しかし、いざ観終わって批評を書きたいか、いや作品について考えたいかと言われると、まったくそうはならなかった。 何故か。『君たちはどう生きるか』は端から批評させることを目的とした作品なのである。 いうに及ばず

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【2023年版】初心者でもわかるゲーミングPCの選び方とおすすめ構成【アフィなし】

「ゲーミングPCって何を買えばいいの?」 ゲーマー知人・友人からこのような質問を聞くようになった。日本でもPCでゲームを遊ぶ文化が根付いて久しい昨今、懐も温かいし、そろそろゲーミングPCを買っちゃおうかなというゲーマーが増えている。それ自体は実にめでたいことなのだが、「ゲーミングPC おすすめ」などと調べたところ、アフィリエイトリンクに誘導する個人ブログか自分のコラボPCを紹介するインフルエンサーの記事・動画が多数であり、今「ググる」ことの限界を改めて知ることとなった。

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ゲームを1年で120本遊んだJiniの考える、2022年ゲームランキング

長くおまたせしてしまったが、ようやく2022年の最良のゲーム……ゲーム・オブ・ザ・イヤー(GoTY)についての記事が仕上がった。2022年は比較的豊作だったと考えており、したがってGOTY記事の執筆には多大な時間を費やすことになったものの、それは大変に幸福な作業であったといえよう。 ところで、筆者はこのゲーム・オブ・ザ・イヤーの選定にあたり、自信がある。憚らず言うなら、自分こそ2022年のビデオゲームの美をもっとも理解し、それについて語るべき存在であると公言したくなるほどの

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