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ブランディングのデザインは、意味から考える。

ブランディングにとって欠かせないデザインについて
プロの方法論について、ちょっと書いてみたいと思います。

デザイナーと聞くと、美大の出身、美術、センスがいい、
アーチスト、感覚派、などさまざまなイメージが浮かびます。
大まかに言えば、言葉=意味を定義する デザイン=イメージを決める
というような印象を持っている方が多いのではないでしょうか。

それは間違いではないのですが、ブランディングやビジネスに
おけるデザインは、むしろ「意味が大事」ではないかと思います。

1 デザインには、目的がある。

ブランディングにとって、ロゴのデザイン、ウェブサイトのデザインなど
その最終形でデザインが果たす役割が多いのですが、
では、何を基準にしてデザインを選び、決めていけばいいのでしょうか。

デザインは好き嫌いに影響される部分が多く、
とかく「この感じが好き」「これ、良さそう」のように
曖昧な基準によって決定されがちです。

アートや趣味であれば、それでいいのかもしれませんが
ブランディングのように、ビジネス、マーケティングに
関与するデザインの場合、もう少し考察を加えたいものです。

考えるためのヒントは、「何のために、このデザインがあるか」と
いうことを出発点にするといいと思います。

それは言い換えれば、デザインが果たすべき役割を
決めることになります。

たとえばロゴであれば、ブランドのどんなメッセージを具現化しようと
しているのか。
ブランドサイトであれば、ブランドステイトメントや
ビジョンなどが手掛かりになるでしょう。

大事なことは、その対象となるのは、自分でなく
不特定多数の人だということです。
発信活動をしていくわけですから、より多くの人に
瞬時にわかりやすく、伝えたいことが伝わる必要があります。


2 デザインより、言葉が先。

目的は、決まりました。
そうなると、実はデザインの前に、メッセージを
言葉で定義しておく必要があることに
お気づきだと思います。

言葉ですら伝えられないものを、デザインというイメージで
伝えるのは、そもそも無理がありますね。

デザインを考えること、決めることは、何かイメージを
判断するように思われがちですが、プロの現場では、
むしろ論理的に考えることがほとんどです。

ゴールは、どこか。伝えるメッセージは何か。
それは、どういう印象を与えることで、伝わるのか。

このように、言葉で定義されたものを「基準線」にしながら
デザイン表現の距離を丁寧に計算しながら決めていきます。

基準線があることで、個人の思い込みや好き嫌いでなく、
ブランドにとって最適なデザインを選ぶことができるようになります。

このように、客観的な視点をもつことで
正鵠を射たデザイン開発が可能になるのです。


3 好き嫌いは、最後に。

このような方法論を書くと、心配になる方も
いらっしゃると思います。

「論理的にデザインをつくったら、つまらないデザインに
なるのではないか」
「万人に受けるようなデザインより
個性的な方がいいのではないか」

デザインの目的を言葉で定義することは大事ですが
最終的にどのようなデザインで表現するのかは、
それこそデザイナーの力量に関わります。

プロのデザイナーの手にかかれば、上記のような
懸念が杞憂であることに、すぐ気づかれるでしょう。
しかし、力量がないデザイナーの場合には、
それこそ「ありふれたデザイン」ばかりが並ぶことに
なるかもしれません。

そして不思議なことに、力量があるデザイナーの仕事は
誰に目にもわかりやすく「良いもの」に見えます。
ブランドメッセージとほどよい距離感が保たれており、
複数案を考えてもらった場合、おそらく2案か3案が
「どちらもいいけど選べない」という状態になるでしょう。


好き嫌いや直感で判断してもいいのは、この最終工程です。

どのデザインであっても、目的は達成されています。
あとは、ブランドのオーナー、経営者、担当者が
自分たちの気持ちにあったデザインを選ぶことが
おそらく最適なチョイスになるはずです。

残念なことに、力量のないデザイナーの場合は
この段階でも「ピンとこない」と悩むことになります。
多くの場合、そのデザインは表現になっていない、説明的な
初歩段階のデザインだからではないか、と思われます。


ブランディングにとって、デザインの工程は楽しくもあり
迷いが多いものでもあります。
「いいデザイナーさんはいないだろうか」という声は
よく聞きますが、その前に、デザインで伝えるべき内容を
明確な言葉にすることから始めてはどうでしょうか。

目的が言葉になることで、どのようなデザイナーさんが
適任者か、ということも、見えてくるはずです。




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