151 バイリンガルになって、アメリカの名門大学に進学するには。
大学受験編も最後の記事になりました。
ここまで読んできてくださったみなさん、ありがとうございます!
締めくくりに、娘がアメリカの大学に合格する道のりを書いてきて改めて思うことをまとめてみようと思います。
あくまでも私の経験上ですが、これからアメリカの大学を目指す方や、子どもがバイリンガルになってほしいと考えてらっしゃる方に、これはぜひお伝えしたいなと思うことを3つ書いてみますね。
①日本語の柱を作ることを第一に。
まず、バイリンガルになりたい、子どもになってほしいと思う日本人の方にぜひ知っていただきたいのは、何より日本語の柱を作ることを重視した方がいいということです。
たとえば、日本人の子がほぼ英語オンリーのインターナショナルスクールに通う場合。
日本人だし、当然日本語はできているように見えて、親はむしろ
「早く英語をネイティブ並みに話せるようになってほしい。」
と思うかもしれません。
そして、子どもがある程度英語がしゃべれるようになると、
「うちの子はバイリンガルになった。」
と喜ぶかもしれません。
しかし、これは日本語も英語もあやふやな柱になりやすい状況で、後から伸び悩んだり、どちらも中途半端になったりしがちなのです。
バイリンガルが出来上がる仕組みを知って。
言語というのは、たとえて言えば家のようなもの。
見た目は立派な家に見えても、土台や柱をしっかり作らないと後から問題が出てきて、本人が苦労することになってしまいます。
実際、親に留学させてもらったり、英語教育にお金をかけてもらったりしたけど、それほど話せるようになっていないとか、今は使ってないので忘れてしまった、という人はいらっしゃるんじゃないでしょうか。
または、バイリンガルだけど、実はどちらも怪しいとか。
ただ英語に浸れば、土台や柱ができるというものではないからです。
反対に、大人になってから英語を勉強して、日本語も英語も完璧に操ってらっしゃる方は多いでしょう。
日本語の土台や柱がしっかりできていると、その上に和室でも洋室でも自由に作ることができます。
ただ、和風の土台や柱に洋室は難しい点があるように、「発音が」とか、「ネイティブっぽい言い回しが」とかどうしても苦労する点はあって、だからこそ子どものうちから英語を身につけた方がいいというわけですよね。
それなら、言語の土台の上に日本語の柱と英語の柱の両方をしっかり作ること。
それが本当のバイリンガル教育で、どうやって言語の土台や柱が作られるのか、その仕組みを知っていないとできません。
詳しくは以下の記事に書きましたので、バイリンガル教育について知りたい方、お子さんがちゃんとしたバイリンガルに育ってほしいと思う方は、ぜひお読みください。
まず、母国語の土台と柱をしっかり作ることがどれだけ大切かかがわかっていただけると思います。
②本人の力を育てる。
私は教える仕事をやってきて、これを痛感していました。
「本人のやる気が一番」。
親が「水泳は」「ピアノぐらい弾けたほうが」「いい中学に入れるように」などと習い事や塾に行かせても、本人のやる気がなければ伸びないし、練習がめんどくさいとか成績が上がらないとか、ストレスや劣等感につながることもあります。
それを見てきているので、私は子どもに何をさせようとかどうなってほしいとか、何もありませんでした。
勉強が好きな子は言わなくてもやるし、勉強が向いてないなら他に向いてることがある。
それが愛嬌だろうとユーモアだろうと、その子のいい部分を伸ばせば幸せに生きられると。
それより、親が身につけさせなきゃいけないのは、健康的な生活習慣や家事、自己管理、人との関わり方など、人としての基本じゃないでしょうか。
それらを身につけながら、普通に子どもらしく育つことが、本人のやる気やエネルギー、能力が育つことになると思うんです。
脳科学的には。
これは脳科学的にも証明されていることで、小学校に入る前は大脳辺縁系や脳幹などがある、脳の中心部(原始的な脳)を育てることが大事な時期だそう。
自然に触れたり好きな遊びをしたりしながら、友だちと関わって、健康的な生活習慣を身につけて。
体や運動能力はもちろん、五感や情動など人として大事な部分が発達していく。
そんな時に早期教育をしたりしてしまうと、一番土台となる脳の発達が中途半端になって、その後に発達する大脳新皮質や前頭葉など他の部分がうまく機能せず、後からいろいろな形で弊害が出てくることがあるそうなのです。
子どもは遊ぶのが仕事、というのは本当。
表面だけ見ると無駄な時間を過ごしてるように思えるかもしれませんが、脳や体、心など人としての土台や柱ができていく時期です。
英語教材を熱心に与えるよりは、子どもと一緒に遊んで、遊びの延長で生活習慣や料理・洗濯・掃除片づけなど身の回りのことを、楽しく身につけさせた方がいいんじゃないでしょうか。
障害やグレーゾーンかもしれない時は。
娘のように、小学校に入って勉強が苦手なことがわかった場合は、学習障害が隠れていないか、早めに気づいて対策をしていかれるといいですよね。
「うちの子は勉強が苦手だから塾に行かせてるけど、やる気がなくて。」
と言う方もいますが、やる気がないのではなく、文字や計算がつらいのでは。
中には、座っていることがつらい子も。
そんな子に必要なのは学習塾ではなく、専門的なサポートでは。
勉強は得意でもコミュニケーションが苦手なら、それについてもできるだけ早くから専門機関の指導を受けた方がいいですよね。
早くにいい指導が受けられるほど、本人の苦しみが楽になり、社会に出てからもっと苦労しなくてすみます。
子どもをコントロールしないで。
それ以外の基本は、「やりたいことができるまで待とう、ホトトギス」のスタンスでいいんじゃないでしょうか。
子どもの人生は、子ども自身が切り開くもの。
それを親が先回りしてレールを敷きすぎてしまうと、肝心な本人の力ややる気が育たなくなってしまいます。
「他の子と比べて、うちの子は・・・」
なんて表面だけを見て一喜一憂するより、土台や柱がどれだけできているか。
それがしっかりしていれば、いつか「自分はこれだ」というものを見つけた時に、自分で伸びていけるはずです。
実際、娘の同級生たちには、親が無理に進学校に行かせたり海外留学させたりすることで、精神的に不安定になったり、自分がわからなくなったりして気力を失ってしまう子たちがよくいました。
本人が苦しんで荒れているのが、親には見えません。
「早く英語を身に付けさせるべき。」
「いい学校に行かせるべき。」
と信じて疑っていないから。
成績とか、英検がどうとか、目に見える部分しか見ていない。
そんな親に、子どもは本当の自分を見せられないんです。
世間で良しとされるレールに乗ってきたはずが、大人になって改めて、
「自分は本当は何がしたいのかわからない。」
と立ち止まってしまう人も多いんじゃないでしょうか。
子どもをコントロールするほど、子どもは自分の人生を生きるエネルギーを失い、自分を見失います。
③アメリカの大学院をゴールにする。
「まだ成長途中の子どもたちを、いちいちテストで測って成績を評価して、何になるのか?」
娘が中学・高校の6年間通った学校は、そんな考えでした。
テストなど受けている時間があったら、どんどん学んであらゆる能力を伸ばしていけばいい。
そんな学校で、一度も塾に通うこともなく、自分のやりたいことを見つけた娘。
映像制作の機材を購入してもらえ、制作の機会を与えてもらえ、さらに無償の交換留学までさせてもらえて、と全面的にやりたいことを応援してもらったおかげで、アメリカの大学に入学することができました。
娘が入学してわかったのは、せっかくアメリカの大学を目指すなら、大学院をゴールにしたほうがいいんじゃないか、ってことです。
アメリカでは、医学や法学、MBAを始め、専門的なことは大学院で学ぶことになっているので、多くの人が大学院に進学するよう。
「大学だけでも学費が高いのに、大学院なんてもっと高いんじゃない?
そんなお金うちにはない。」
って、思いませんか?
私は思ってました。
それが理系の場合、アメリカの大学院は学費がかからないどころか、教授の助手として給料が出るくらいなんですね!
(理系すべてではないと思いますが・・・)
残念ながら文系はそういうところは少ないんですけど、探せばあります。
そこで、たとえば優秀な方なら超一流大学を目指すのもいいですが、そこそこの大学でしっかり英語力や学力をつけて良い成績をとって、超一流大学院を目指すというのはどうでしょう?
娘の大学の留学生たちも、MIT(マサチューセッツ工科大学)、ハーバード、スタンフォードなどといった大学院に合格しました。
超一流大学でないと超一流大学院に進学できないわけじゃなく、アメリカの大学はとにかく多様性重視なので、多様な大学からの学生を求めているんです。
ぜひ大学院についても、学費も含めて調べてみてください。
大学に行きながら、教授と相談して大学院について調べていってもいいですね。
娘もまだまだ道半ばで、これらも私がここまでの経験から思うことですが、もしみなさんの参考になれば・・・。
これからの方たち、ぜひ自分らしい道を見つけて歩んでいってくださいね!
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