
ピンときた人とピンときた場所で
「いろんな人のヨガクラスを受けてみるといいよ」
と、スタジオに遊びに来てくれた人たちによく話します。
今回のjournalはもうこの言葉の通りです。
もっと言うと、
「気になる人やスタジオがあれば、どんどん遊びに行ってヨガしてみるといいよ。」
です。
この人と一緒に、この場所で、動いてみるとおもしろそうだなと思ったら、ぜひとも実際に足を運んで動いてみると良いと思います。
その人がヨガクラスを開講している先生であれば受講してみるのも良いですし、ヨガ愛好家ならその人が通うスタジオやワークショップで一緒にマットを並べて練習するのも良いと思います。
このスタジオなんかいいなと思ったら、練習用に借りてみたり、そこで開講しているクラスを受講してみると良いと思います。
私も、穴場スタジオというホームがありつつも、定期的にピンとくる人や場所を訪ねて、クラスを受講したり練習するようにしています。
とはいえ、その人の動きを参考にするとか、コツを教えてもらうのが目的ではありません。
ピンときた人と、同じ空間で、マットを並べて、ただただ動くだけです。
身体が柔らかいからとか、筋肉がすごいとか、ヤバいアーサナができるからとかは二の次三の次で、ただただ「ピン!」とくるかどうかがポイントだと思います。
場所も同じで、照明が良い感じとか、おしゃれな什器があるとか、そういう話ではありません。
人も場所も、誰かから聞いた評判とか、目に見えて言葉にできるような理由ではない「ピン」が重要です。
「ピン」のポイントは人によってさまざまだと思いますが、わたしが人や場所に対して「ピン」とくる要素をあえて言語化するならば、良いバイブスと狂気です。
バイブスはその人や空間が持つ空気の震えみたいなものですね。良きバイブス漂う人と同じ空間にいたり、良きバイブス漂う空間は、それだけで身体が良く動くのを実感します。信じられないかもしれないけど、本当です。
本来言葉にしようの無い感覚なので、説明しようとすればするほど怪しい言い回しになってしまうのですが、「なんかこの人良い感じだなあ」とか「なんか居心地良い場所だなあ」と感じることは、日常生活の中でも結構あると思います。
もう一つは狂気ですね。狂気、というとついつい危険なイメージを浮かべる人もいるかもしれません。
音楽や絵画を目の当たりにしたときに、狂気を感じることはありませんか?
表現そのものや表現者の感性が、何のフィルターも通さず自分の体と心に飛び込んできた時に感じる震えのようなもの。
誰かの混じりけの無い身体の底から湧きだした衝動を、ふいに自分の身体全身にくらう感覚。
人や、人が生み出すものや、人が集う場所には、そのような「狂気」を感受する瞬間が秘められている。
そこに身を置き、狂気と一体化することの面白さ。
もちろん、狂気は時に危険をはらむこともあります。
どのような狂気に身を置くかは自分自身の取捨選択が必要ですが。
逆に、「ピン」と来ない人や場所には近づかなくてもいいかもしれません。
どんなに評判が良くても、その人のインスタグラムが素敵でも、指導歴が長い先生でも、おしゃれな場所でも、効果が大々的に謳われているクラスでも、安心安全無害そうな人や場所でも、自分自身が「ピン」と来ないということは、そういうことです。
それが明確な答えです。
自分自身の身体のどこかにある「感受する器官」を鈍らせるような人や場所からは、なるべく離れてみると良いでしょう。
安易に言語化できる誰かからのオススメよりも、自分自身の「ピン」を私は信頼しています。
「ピン」と来る人や場所を見つけられるのは誰しもが持ちうる能力です。その能力は磨けば磨くほど精密に、最適化されていきます。
今、「ピン」とくる人や場所がすぐに思い浮かぶ人は、それだけで超幸せです。
なんとしてでもそこに足を運ぶべきです。
まだまだ実力が追い付いてないとか、時間が無いとか、距離が遠いとか、そういうのは一旦置いといて、行って見て体感し味わうべきです。
たとえ今「ピン」とくる人や場所が思い浮かばなくても、あなた自身の中にそれを見出す能力はしっかりと備わっていて、それはどこかにきっとあります。
淡々と日々の実践を続けてさえいれば、「ピン」とくる瞬間はふいにやってきたりします。
そう考えるとなんだかわくわくしてきませんか。
穴場スタジオでは、私が開講するクラスとあわせて、私がピンときたヨガティーチャーをゲストに呼んでワークショップを行っています。
この人が穴場でクラスをするとどんな面白いことが起こるだろう、と私自身いつもワクワクしながら企画しています。
これからも「ピン」とくる機会を増やすべく、面白い人を見つけていきたいと思います。
もし、お知らせを見てピンとくることがあればぜひ参加してみてください。
WSについてはHPやインスタグラムでご案内しています。
私はこれからも、ピンときた人と場所に足を運び、マットを並べて練習したい。
日々、自分自身が持つ良きバイブスと狂気を磨きながら。

photo by Masami Idota