《Vol.12》企業の「ビジョン」や「ミッション」と何が違うの?CX戦略に「ブランドプロミス」が重要なわけ
こんにちは、Izumi Insightsのいづみです。
日本もドイツも今年は「夏」の延長で9月も終わるというのにまだまだ暑いですね!
もちろん日本に比べたらドイツの「暑い」は「半袖でも大丈夫(まだジャケットいらない)」というレベルですが、周りでは「今年のクリスマスはどうするの?」とすでに年末モードの話題がスタートしていて一年はあっという間だなぁと思います(涙)
私も気づけば「休職」してからもうすぐ一年。
この一年をただのんびりと過ごさずに、「キャリアアップ」にまじめに向き合っていろんな方法ででいろんな事を勉強してきました。
でも、やっぱり一番の「発見」は、この数年疑問に思っていたことの理由を「再確認できたこと」と「やるべきこと」が明確になったこと。
この「再確認できたこと」というのは「会社や仕事が大好きだった理由」と 「好きじゃなくなった理由」。そして、それが自分だけではなく、多くの同僚が共感していたことだけど、「どうすればいいかわからなかった」ということ。
会社の大小関わらず、「この会社が好き」「この仕事が好き」って言える人って、ただたんに「給料が良い」とか「休みが取りやすい」といった理由ではありませんよね。
「真剣に取り組める目標がある」とか「同じ目標に向かって議論できる仲間がいる」、「結果だけじゃなく、経緯もちゃんと評価してくれる仕組みがある」、そういうことを感じとれる会社に勤める人は、結構高い確率で「この会社、この仕事が好き」と言えるんじゃないかと思います。
私もそうでした。
自分ががんばる方向性が明確で、がんばった結果だけじゃなく、たとえ思ったとおりの結果にならなくても、その努力とそこから学んだこと、諦めずに次の機会にどうその学びを生かすのか?
みたいなサイクルが当たり前にように回っていた会社員時代がありました。
その時代は、会社の「ビジョン」と「ミッション」が明確で、ほとんどが即答できるような状態。
「ビジョン」「ミッション」の定義は会社によって様々ですが、当時の会社の定義はこうでした:
会社としての「ビジョン」「ミッション」だけでなく、部門や部署ごとに落とし込こまれた明確な「方向性」があり、自分の担当業務の目標設定も、その方向性に合わせて「会社のビジョン、ミッションにどう貢献していきたいか」、を軸に考えて決めていました。
社内でのミーティングの時も、その目標や方向性を基準に議論が行われるので、白熱したディスカッションで方向性が脱線しそうな場合でも、判断基準が明確にあったので軌道修正もしやすいというメリットがありました。
しかし、社長交替してその時代から数年が経ち、残念ながら退社時点での会社は明確な「ビジョン」も「ミッション」もなくなってしまい、一昔前の「社長の一声」で全てが決まってしまうという印象に変わってしまいました。
誤解の無いように言うと、社長の頭の中ではクリアな「ビジョン」があったんだと思います。
でも、その「ビジョン」が誰でも理解できる言葉として言語化しきれずに「人によって解釈が違う」状態。
ビジョンの解釈が違う状態では「ミッション」を議論しても時間の無駄に過ぎず、末端にいる私たちが行う業務との繋がりなども求められずに「なんとなく仕事をこなす」ことが普通に。
英語だと「We were flying blind」という状態で、日本語だと「当てずっぽうでやる」「訳も分からず行動する」「不案内のまま職務を果たす」と比喩的な意味で訳され、まさにその状態。
「効果的&効率的」の「真逆」を行ってました。
めっちゃ前置きが長くなってしまいましたが、こんな企業にとって大事な「ビジョン」「ミッション」「バリュー」以外に、「ブランド プロミス」というのがあることをご存知でしたか?
私は一年前に、初めて知りました。
しかもこの「ブランドプロミス」というのがCX戦略の策定に一番大事だということも。
これが無い状態では「カスタマーエクスペリエンス」は語れないんです。
一般的な定義でいくと、ブランドプロミスとは、「プロミス(Promise)」という言葉から、そのブランドが提供する「価値や特徴、品質やサービスに関する明確な約束」のことです。
企業理念やビジョン、ミッション、ブランドのタグラインなどとは違う位置付けなのは、この「ブランドプロミス」に含まれる様々な要素が、お客様とそのブランドの「全ての接点」で約束することだから。
企業として「こうあるべき」「目指します」的なもろもろな「宣言」とは違い、お客様が製品やサービスの情報に初めて触れた時から、比較&検討中の時やメルマガ購読中の時、実際に購入する時、購入した後でサポートが必要な時、などなど、全ての場面で「お客様が期待している体験」を定義しているものだから。
マーケティング施策だけでなく、組織のあらゆる業務遂行の判断基準となるものなので、ブランドプロミスは「顧客の期待を定義し、その期待に応えるための基盤」になるんです。
例えば、ブランドプロミスには次のような要素が含まれます:
一貫性: すべての接点で同じ価値を提供すること。
差別化: 他のブランドと異なるユニークな価値や体験。
信頼: 顧客が期待する結果を確実に提供すること。
前職のワコムでは、ブランドプロミスはありませんでした。
「あったら良かった!」とは思いますが、そもそも会社のビジョンを言語化できない状態では提案すら聞き入れられないと思います。
でも、勝手に作ってみちゃいました!
昨年から通っていたCXの学校の課題で「ワコムのブランドプロミス」を、私の在籍22年間の知識と、ネットで拾える範囲の公の情報を読み倒して、真剣に試みたんです。
組み込む具体的な要素
誰のために
どんな品質で
何を
どんなレベルのサービスで
何のために
一人ブレストをひたすら続けて落ち着いた内容がこちら:
英語の原本
日本語訳
我ながらかなりドンピシャなレベルだと自負しています(笑)
具体的で、腑に落ちるというか、夢物語ではなく、カスタマージャーニーのいろんな場面でどういう質の体験を期待するのか、イメージしやすいと思いませんか?
もちろん、これはマーケティングで使うコピーではないので、プロのコピーライターがこれにマジックをかけたら「タグライン化」もできるかもしれません。
重要なのは、このブランドプロミスを軸に、経営戦略から人材の採用基準まで、「お客様の期待に応える」ために変化し続けることで、「持続的に成長する企業体質」になるということ。
CX戦略になくてはならない「ブランドプロミス」。
みなさんの会社にはありますか?
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