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共感小説 【褒めてくれてもいいじゃん】

作者 泉ひかり

主人公 えりか

夫 さとし


空はいつもよりちょっと暗いかんじがする


(私の心の中と同じだな〜)


最近いろいろあって


(いつもみたいに笑えないんだよね〜)


3日前のこと


さとしが返事してくれなくて


ひとりで泣いていた。


だってさー


せっかくお気に入りの美容室に行って


イチオシの


デシタルパーマをかけてもらったのに 


「きれいだね~」って言ってくれないんだもん。


やっぱり女性はほめてほしいじゃん!


なのに…。


さとしは本を読みながら


一言「う〜ん」て…


イラッてするじゃん。


その頃、


さとしはお気入りのプロレス雑誌を見ていた。


今日の試合は、


ずっと見たくて出版されるのを待ち望んでいて


朝イチにコンビニまで行って


いちばん後ろにある


まだ、誰も触られていない


正真正銘の新品を


レジの台にそっと置き


お金を払い


ジャンバーの中に入れてしっかりと持ち


小走りで家に帰った。


やっと、待ち望んでいたプロレス雑誌を


こたつに入って見ていた。


イチオシのレスラーは


技をかけられっぱなしで


まったく反撃できず


ひたすら耐えているときの


レスラーのニヤッと笑う表情がたまらない。 


心の内に秘めている本能がくすぶって


気持ちは、すでに


プロレス雑誌の中のなかにいた。


すると、


えりかがトコトコ歩いてきて


さとしの横にちょこんと座った。


「ね〜ね〜私を見て〜」


「ね〜なんか気づかない?」


「ね〜さとし〜」


「ね〜〜〜てば!!」


さとしは、(仕方がないな〜)


と思いながら


えりかを見て「う〜ん…」 


「エ!?なにそれ!」


「それだけ?なんかいってよぉ!」


さとしは、まったく気にしていなかった。


えりかは、ひとりでイライラしながら


ベットに行き、布団をかぶって泣いていた。


褒めてくれてもいいじゃん…


30分後


「えりか・・・気づかなくてごめんな」


「綺麗だよ」



おわり

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