顧客視点でメールを書き続けたら「井塚さんのメルマガを読みたくて資料請求しました」と言われるようになった話
こんにちは!スマートキャンプ株式会社でインサイドセールス部長をしております、井塚と申します!
インサイドセールス代行・セールスエンゲージメントツール等を通じて、日々お客様のインサイドセールス組織を支援しております。
実はこの半年間ほどで「いつも井塚さんのメルマガ見ています!」「メルマガの内容、いつもすごく勉強になるのでチームに共有しています!」といったお声をいただくケースが増えてきました。
ご提案をさせていただいているお客様もそうですし、展示会や交流会でお名刺交換させていただいた方々にも「メルマガの人」として認知いただいていることもあります。中には同僚が他社の方々と交流会などでご挨拶をした際に「あ、スマートキャンプさんと言えば、井塚さんのメルマガいつも見てますよ!」と、私がいない場でも名前を出してくださる方もいて、本当に嬉しい限りです。いつも見てくださってる方々、ありがとうございます!
とはいえ、初めからそんなに上手くいっていた訳ではなく、過去には「とにかくCV!アポ打診!日程予約が入ってくれればラッキー・・・!」という極めて営業都合のメルマガを配信しており、今思えばかなり顧客体験を損ねていたんじゃないかと思います。せっかくマーケ投資して接点を持つことができたお客様なのに、本当に勿体ない。。
そこで今回は、私がリストを擦り切らせるようなメルマガ運用から、どのようにして(有難いことに)一定の認知をしていただけるようになったかを言語化してみたいと思います。実際のメルマガ文面も記載しておりますので、ぜひ最後までご一読いただけますと嬉しいです!
【失敗談】以前のメルマガ運用
私がメルマガ送付を始めた最初の目的は、包み隠さずに言うと「ハウスリストからラクに商談獲得したい」というものでした。。
当時は展示会にも積極的に出展をしていて、新規リードが数多く流入していました。商談獲得のほとんどが新規リードに依存していて、ナーチャリングをしようと思ってもハウスリストにある数千〜数万のリードを上手く区切れる方法が無く、一括でメルマガ配信をする以外に無かったというのが当時の状況でした。
なので新規リードにとにかくアプローチして商談獲得をして、目標がビハインドしそうになったらメルマガの配信数を増やして、資料DLとか日程調整リンクに"CVさせて"ビハインド分を埋めるという、メルマガの使い方が極めて営業都合になっていたんですよね(CVさせるというスタンスも本当に良くない…)。。
今まで実施していなかった取り組みですので、もちろん始めた当初はそれなりに商談も獲得できました。ただ1週間に1-2回、スマートキャンプの井塚という奴からあの手この手で商談の日程調整打診が届く訳ですから(笑)、当然オプトアウトも多かったです。
きっかけとなったとあるお客様からの日程調整
そんな私がメルマガ運用を見直すきっかけとなったのが、とあるお客様からの日程調整があったことでした。そのお客様をYさんとします。
いつものように商談の日程打診をCVポイントとしたサービス訴求のメルマガを配信したところ、Yさんから日程予約が入ったんですね。で、私はその1-2ヵ月前にYさんと食事に行かせていただいており、Yさんは実績もご経験もおありで、私より遥かに優秀な方でした。
そんなYさんから日程予約が入り、私は何というか、嬉しい反面、すごく恥ずかしい気持ちになったんです。Pardot・Salesforceの履歴を見ると、Yさんは日程予約が入った2ヵ月前くらいから弊社のハウスリストにいらっしゃいました。ということは、この2ヵ月間ずっと私からの商談打診メールが送られていたことになります。私は「本当にこのままずっと"商談獲得をするためだけのメルマガ"を送っていて良いのか?」「自分が今送っているメールはYさん宛てに個別に送付できるものなのか?」と思い、メルマガ運用を見直したいと思うようになりました。
今思えば、メールの向こう側にいる"お客様の顔"がリアルに想像できたことが大きかったと思います。それまではクリックとかCVとか、メルマガとしての指標にばかり関心がいっていましたが、Yさんの日程予約が入ったことにより、メルマガの向こう側にいるお客様の体験に想いを馳せられるようになったと思います。
そうして私は、営業都合のメルマガから、お客様のお役に立てる情報提供に努めたメルマガへと変えることを決心しました。
前提:良いメルマガの定義
まずはメールを書き始める前に、そもそもお客様にとって良いメルマガとは何かを定義し、それを満たす必要な要素を洗い出してみました。それが下記の図です。
メルマガ運用でよくありがちな施策は、件名をキャッチーにしたり配信する曜日・時間帯を変えたりすることだと思います。もちろんそれらもメールを「開いてもらう」ためには重要なのですが、それ以上に書いてある内容がお客様のお困りごと・成果・ワクワクに繋がっているか、定期的に他のチャネルや1to1でも接点を持っておりお客様との関係値ができているか、なども重要だと考えています。
取り組み①:手触り感のある顧客理解
良いメルマガを書くためには、お客様のお困りごとや成果に繋がる話ができるようにならねばならないことから、お客様のことを手触り感を持って深く理解する必要がありました。
手触り感を持って、というのが重要だと思っていて、顧客理解が大事というのは超当たり前で営業パーソンの全員が分かっていると思うのですが、じゃあ「目の前のお客様は具体的に何に困っているのか?どの業務が面倒でどの業務が好きなのか?」など、情報に奥行きを持って理解できると理想的だなと思います。
ことBtoB商材を扱う営業としては、具体的にお客様の3つの顔(会社員としての顔・ビジネスパーソンとしての顔・1人の人間としての顔)を意識しながら対話ができると、顧客理解に奥行きが出てくると思います。
私の中で持っている顧客理解度を測るための1つの基準は「目の前のお客様が日曜日の夜、何を想うのか?」がイメージできるかどうかだと思っています。
BtoBの営業であれば基本的にはお客様も会社員であるはずなので、月曜日から仕事が始まるに際して、きっと色々な想いを抱えるはずです。どのような状態だと気分が良いのか、逆にどのような状態だと気分が落ち込むのか、憂鬱な会議はあるのか、上司からどのようなフィードバックや要望を受けているのか、後輩に何を言わなければいけないのか、などなど。
サザエさん現象では無いですが、ポジティブな面もネガティブな面も含めて、目の前の対峙しているお客様がどのような気持ちで日曜日の夜を過ごしているのか、少しでもイメージできるのであれば顧客理解が一定できているといえる気がしています。
顧客理解の方法は色々あります。本を読む、業界に関する記事を読む、お客様の会社のIR資料を読む、過去の架電ログや商談録画を聞くなどなど。
ただ私としては「お客様に直接聞く」が最も効果的だと思っています。
もちろんただ千本ノック的に質問するだけだと顧客体験としては良くありません。
自社の商材でお客様にお力添えができるはずだ、〇〇さんが困っていることはきっと私たちで解決できるはずだと信じて、不十分なりにも仮説を持ちながら質問をする姿勢が重要だと思います。
1回のお電話の時間も限られていますが、幸い、インサイドセールスは1日にお客様と接する回数も多いので、時間が許す限り誠意を持って聞くのが良さそうです。
実際のメルマガ文面
そうしてお客様から聞いたお困りごとを基に書いているメルマガの実例を、下記に記載します。内容としてはまさに"顧客理解の重要性"について説いています。想定読者は「BtoB商材を扱うインサイドセールス組織で育成業務を行っているマネージャー・リーダー」です。
取り組み②:関係値と期待値を築くための個別接点
お客様のお役に立てるようなメルマガを送っていれば、一定数の方は読んでくれるようになると思います。ですが知らない人から送られてくるメルマガと、知っている人・接点がある人から送られてくるメルマガでは、恐らく後者の方が皆さんも目を通すのではないでしょうか。
実際、メールを開いてもらうためには「あ、●●さんからだ」というきっかけは必要だと思いますし、最後まで読んでみよう!と思える理由の中には「●●さんはいつも有益な情報をくださるからな〜」とか「こないだお電話でも丁寧に対応してくださったなあ」みたいな期待値とか関係値もあると思います。
したがってインサイドセールスとしては、定期的にメルマガを送付しているから顧客接点を十分に確保できているとせずに、個別でも時折接点を持つ努力をしたいところです。もちろん全てのお客様と同一に1to1のご連絡を差し上げるのは難しいかと思いますが、優先度を付けて、定期的に会話して関係値を深めておきたいです。
実際に私も、定期的に開封してくれている・URLクリックを何度もしてくれているお客様とは時々お話をして、追加で補足の情報提供などをしています。そうして「今じゃないけどこういうタイミングになったらぜひご提案もさせてください!」というお約束をして、双方の合意を経て商談を設定することもあります。
毎回開封・クリックがあるたびに「ちなみにサービスを検討していますか?」と聞くのはさすがに憚られますが、お役に立てると思えたお客様には、こちらから個別にご連絡をしてみても良いのではないでしょうか?
取り組み③:一次情報に触れ続ける
メルマガ配信を続けていると、他社様のインサイドセールス組織の方々から「ネタ切れにならないんですか?」と聞かれることがたまにあります。そんな時はいつも「皆さんからお聞きした情報や取り組みが、そのまま新しいコンテンツの材料になっています!」とお答えしています(笑)
でもこれは本当にそうだと思っていて、お客様から得られた情報は常にコンテンツになり得ます。日々の電話、メール、SFAの履歴、商談録画などは全て宝の山であり、そこから得られた情報を自分なりに咀嚼することができれば、自ずとメルマガに書くネタも生まれます。
そもそも営業活動をする上でお客様の業務内容を理解することは重要ですが、一次情報に"触れ続ける"ことで、継続的にコンテンツを生み出し、またお客様のお役に立てる情報提供ができるようになるのだと思います。
連絡をするきっかけがない、メルマガで送るコンテンツがないー。
そのような状況になるということは、顧客理解が足りていないという可能性が高いです。インサイドセールスとして、お客様と日々接触する中で積極的に一次情報に触れ続けることが大切だと思います。
成果
「顧客理解が大切なことは分かったし、メルマガの内容も良いと思う、だけどそれって成果に繋がっているの?」という疑問もあるかもしれませんので、最後に成果についても定量・定性の両面で触れておきたいと思います。
まず定量的な成果で言うと、メルマガの内容を変えるようになる前と後で、平均開封率は横倍のものの、平均クリック率が1.8倍になりました。また当社のBALES CLOUDでセグメント分けをして送付することで、さらに平均開封率1.8倍・平均クリック率3.3倍に向上しました(もちろんセグメント分けすると母数は減るので正確な比較にはならないかもしれません)。
したがって、メールを開いてくれる人は変わらないけど「実際に最後まで読んでくれる人が確実に増えた」と解釈できると思います。事実、定性的な成果として、下記のような反応が見られました。
半年前は「うわ、Yさんに恥ずかしくない内容を送れるようにしなきゃ・・・!」と自分都合の想いから始めた改善でしたが、半年間続けてみて、その影響力は案外バカにならないなと感じています。
他にもいくつかの要因があると思っておりますが、実はこの期間に「顧客理解・顧客体験の向上・中長期で定期的に接点を持つ」という活動も並行して続けた結果として、ハウスリスト経由の商談獲得件数が「4.6倍」に増加しました。ただこれは、リードステージ設計・追客プロセスの型化・テキストコミュニケーションの改善など、他の要因も大きく寄与しておりますので、また別の機会に執筆したいと思います。
結論
さて、ここまで色々書いてきましたが、、、
結論、インサイドセールスとして「顧客理解はめっちゃ大事だよ」という話だと思っています。
表面的な理解ではなく、自分がドラマのシーンを思い浮かべるようにお客様の日々の業務シーンを想像できるか、お客様は日曜日の夜寝る前に何を考えるのか、など、とにかく手触り感を持って具体的に想像できる状態にあることが重要だと思います。
いかがでしたでしょうか!
「そんなことすでに知ってるよ」という方もいらっしゃるかもしれませんが、、何か刺激や気付きを得られる内容になっておりましたら幸いです。上記の具体例で挙げたようなメールを、今も週1回ペースでコツコツ頑張って書いています。恐らく10ヶ月くらい書いている気がします。頑張っているので、今後も注目してやってくださると嬉しいです。
弊社スマートキャンプは、インサイドセールスのリーディングカンパニーとしてBALES(インサイドセールス代行)やBALES CLOUD(セールスエンゲージメントツール)を提供しております。インサイドセールス領域をまるっとご支援が可能ですので、お困りごとがございましたらぜひお気軽にDMなどお声がけください!リファラル採用も実施中です!(https://twitter.com/daisuke_izuka)
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