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一人と一冊、 江ノ島

誰の声か、わからない声が聞こえた
「今日の便はもうないらしいよ」
その誰かもわからない声を聞いて、今から向かう江ノ島の入り口とは反対方面にある、稚児ヶ淵という場所から入り口側に繋がる遊覧船が無くなったことがわかり、来た道を往復して戻ることを悟った。
まぁもとより、歩くのが好きなので、船に乗るつもりはなかったのだけど

いくつかの神社がある。
”5円がないから代わりに50円でいいか”
お参りはしてみるけど、頭の中は整理できず、次に並んでいる人は何を思うのだろう。そんなことばかりで頭はいっぱいになる

コーヒーを飲みながら、江ノ島を歩いた、ひたすら歩く
いつもはノイズキャンセリング付きイヤホンをつけるところを、観光地に来た時は周囲の音を、声を聞いてみる。
各々が話す声を聞いて、なんだか楽しい
1人も好きだけど、誰かと来たいなと思う。

挽いてくれたコーヒーを飲む

(本の続きが読みたい!)心の中で密かにそう思う。
来る時に読んでいた本、十角館の殺人の続きが気になる。
帰りの電車で残り100ページのラストスパートを向かえるだろう
そういう楽しみ方もある
行きと帰りの電車で、本を読む

コーヒーを2杯飲んだ
1杯目は、インスタントコーヒーの味がする、ブレンドコーヒー780円
観光地価格。
帰りに寄った㠀舎というカフェのブレンドコーヒーが美味しかった

㠀舎 | TO-U-SHA COFFEE & TEISHOKU

芝犬のお尻を眺めて歩く、帰り道
潮の匂いよりも、貝を焼く匂いがする
「ここは自殺の名所らしいよ」
そういう声も耳に入る
わざわざこんなところで死ぬ人がいるのか
目立ちたいのか,死にたいのか、どちらもなのだろうか。
死者の考えなんてわかるはずもない

17時10分、あと少しでも辺りは暗くなる
夕焼けを眺めてそう思う
準備は整った

帰りは早い、道を覚えているからだろうか

潮の流れが上から見える、あの渦に飛び込むとどうなるのだろう

足元に注意しながら、文章を書いて、人混みを抜けていく

”カメラがほしい。”
夕焼けを見て、江ノ島弁天橋を渡りながらそう思う



もうすぐ電車が来る。17時40分、江ノ島電鉄線(藤沢行)
本の続きを読もう。

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