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読書日記 | 2/26〜3/3

2/26(月)
朝、会社に向かう電車の中で「ココロノ本ノ」というPodcastを聴いた。
みすず書房から刊行されている「最終講義|分裂病私見」が紹介されていた。

仕事の休憩中に本屋に行き、「最終講義|分裂病私見」を購入した。帰りの電車からさっそく読みはじめた。

サリヴァンが面白いことを言っています。「面接とは面接時間以外のすべての時間に行われているものだ」と。面接時間をどのように置くか、これを「スペーシング」といいますが、これは面接にたいへん重要な決定因子です。ですから、私も看護日誌に大きく依存しました。私は看護日誌がきちんとしている病院ばかりにめぐり合いました。それは私の幸運でした。

最終講義|分裂病私見』(P9、中井久夫著、みすず書房)


2/27(火)
数日前に買ったフーコーの「監獄の誕生〈新装版〉―監視と処罰―」を読んだ。序盤からかなりグロテスクな表現が多い。
いつかどこかで聞いたのを覚えている『パノプティコン(一望監視施設)』という単語をきっかけに読みたいと思った。

ペンサムの考えついた〈一望監視施設〉は、こうした組合せの建築学的な形象である。その原理はよく知られるとおりであって、周囲には円環状の建物、中心に塔を配して、塔には円周状にそれを取巻く建物の内 側に面して大きい窓がいくつもつけられる(塔から内庭ごしに、周囲の建物のなかを監視するわけである)。周囲の建物は独房に区分けされ、そのひとつひとつが建物 の奥行をそっくり占める。独房には窓が二つ、塔の窓に対応する位置に、内側へむかって一つあり、外側に 面するもう一つの窓から光が独房を貫くようにさしこむ。それゆえ、中央の塔のなかに監視人を一名配置し て、各独房内には狂人なり病者なり受刑者なり労働者なり生徒なりをひとりずつ閉じ込めるだけで充分である。

監獄の誕生〈新装版〉―監視と処罰―』(P231、ミシェル・フーコー、田村俶訳、新潮社)
wikipedia|ベンサムによるパノプティコンの構想図

そういえば、パノプティコンを聞いたのは、アニメ「PSYCHO-PASS」がきっかけの気がする。というかパノプティコンそのものがPSYCHO-PASSに登場するシビュラシステムに酷似しているようにも思う。


2/28(水)
仕事用に「エリック・エヴァンスのドメイン駆動設計」を購入した。届き次第、仕事の隙間時間に読んでいきたい。
夜、「最終講義|分裂病私見」を読んだ。

むしろ誰もがごくふつうに使っている区別や分類が実はそんなにはっきりしたものでないことに気づいたからです。ちょっとした工夫なのですが、やってみるとその意義が 明らかになりました。分類すると“事象”は“概念”に近づきます。素朴に、まず事象から出発するということがよいなと思いました。

最終講義|分裂病私見』(P15、中井久夫著、みすず書房)

眠る前に、机に向かって友人への手紙を書いた。書いたといってもnotionに打ち込む作業なので、ペンで紙に書く作業はもう少し遅くなりそうだ。


2/29(木)
閏日だった。だからといって特に何があるわけではないけど、友人にメッセージで言われるまで気づかなかった。
昼食を食べているとき、「ココロノ本ノ」を聴いた。

このPodcastを聴くとすぐ本が欲しくなる。ただ今回は我慢することにする。かなり重たい本のようなので、今併読している本はかなり重めの本が多いように思うので、読めない気がする。
読みたい好奇心は買わずに失わないように残しておくことにする。


3/1(金)
青山ブックセンターに行った。「アンチ・オイディプス 資本主義と分裂症(上・中・下)」と「千のプラトー 資本主義と分裂症(上・下)」を買った。5冊となかなかボリュームがある。ただ副題が資本主義と分裂症と知って、買わずにはいられなかった。前者は数年前からよく話すことも考えることも、それに関連する本を読むことも多かった。後者は、國分功一郎さんの「中動態の世界」をきっかけに「ケアをひらく」シリーズを読むはじめて、気づくと総合失調症(分裂症)について調べていることは多かった。
家で読み始めるもページを数ページめくり難解で挫折した。小1時間の戦いだった。調べてみると解説本もあるらしいのでそちらを読むことにしようと思う。

帰り道、写真を撮りながら歩いた。シャッタースピードを遅くして、行き交う車を撮る。


3/2(土)
北千住のブックファーストという本屋で「ドゥルーズ+ガタリ〈千のプラトー〉入門講義」を買った。
近くのスターバックスに入り、さっそく読む。本に書き込みを入れながら、著者の仲正さんの授業を受けているような気持ちになった。

一九八○年代半ばから九○年代にかけて、日本に「現代思想」ブームが起こった。
(中略)浅田彰や中沢新一で、彼らがネタ元としてしばしば引用したのが、ドゥルーズナガタリの二大共著 「アンチ・オイディプス」と「千のプラトー」だ。
この二冊は、いわば、「現代思想」のバイブルだったが、テーマが多岐にわたるうえ、いろいろ奇妙な造語や表現が出てくるし、 多方面に戦線を広げていくので、どこに話が収飲していくのか、見極めにくい。翻訳を読んでも、なかなかピンと来ない。あまり頂に頼らない。 (中略)この二つの著作を、分からないからこそ、ありがたいと言わんばかりに神秘化してあがめるか、「ジャーゴンでこまかしているだけに決まっている。内容はない」、と決めつけ、反ポモ的な言動に走るかの、いずれかの両極端に陥りやすい。

ドゥルーズ+ガタリ〈千のプラトー〉入門講義』(P1、仲正昌樹著、作品社)

時折、休憩を挟みながら3時間ほど読んだ。33ページくらいまで読んだ。わからないことが多く、このスピードになってしまう。その中でもリゾームという考え方?はとても面白かった。僕らの一般的な解釈のロジックツリーのような図解よりも納得のいくもののように思う。

デラシネ・リゾーム Déraciné Rhizome:orangcosong

「リゾーム(根茎)」の本来の意味は、地中に伸びている地下茎の中で、どこかに球や塊ができて、それが準中心のようになっていないものが根茎で、スギナ、ワサビ、ワラビ、ススキなどがこれに当たるようです。サトイモとかクロッカスのように 地上の茎の下に球状の部分(球根[bulbe])ができるものや、 山芋のように不定型に肥大する塊(塊茎 [tubercule]) ができ るものを含めて、地下茎全般を根茎と呼ぶこともあるようです。
ドゥルーズ+ガタリは、そのイメージを拡張して、垂直な幹のような中心軸があって、そこから茎や根が生えているようなタイプではなく、垂直軸抜きに、地下茎の相互の不定形の結び付きで、方向を定めないで広がっていくような生命体、集合体を、「リゾーム」と呼んでいるようです。

ドゥルーズ+ガタリ〈千のプラトー〉入門講義』(P32、仲正昌樹著、作品社)

帰り道、いくらか写真を撮りながら歩いた。
夜は、湯船に浸かりながら「葉桜の季節に君を想うということ」を読み始めた。その後、お風呂を上がった後も布団に寝ころびながら読み、コインランドリーで待っている時間もずっと読み続けた。
0時半くらいに家に着き、すぐに布団に入り、眠りについた。


3/3(日)
12時前くらいに家を出た。今日は渋谷のスクランブルスクエア17階にあるカフェに向かう。最寄りから渋谷までの1時間くらいの移動で「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだ。

13時くらいにカフェに着き、作業をはじめた。

***
ところで、僕は高所恐怖症なのに、高いところに行きたがるのはなんでなんだろう。17階行きのエレベータに乗るとき、怖い思いを我慢して、手すりに掴まりながら上空へ上がる。もちろん、景色の見えないエレベータに乗って向かう。僕と同じような人はどれくらいいるのだろうか。
***

いくらか文章を書く作業をしてから、「ドゥルーズ+ガタリ〈千のプラトー〉入門講義」を読んだ。一昨日に原書を読んだときはかなり意味不明だったけど、入門講義の方は読み進めると少しわかる気がする。

結局17時くらいまで読書をした。高いビルのエレベータで降りてから、青山ブックセンターまで歩いて向かった。渋谷から表参道までちょうどいい散歩になる。風は強く、少し肌寒い。最近買ったカメラを首に下げながら街を歩いた。カメラが身近になると、美術館であらゆるものがアートに見えるように街にあるオブジェクトがこれまでと違って見える感覚はどこか心地よかった。

青山ブックセンターで30分くらい本を眺めて、「とまる、はずす、きえる: ケアとトラウマと時間について」を購入した。とても綺麗な本だと思った。
帰りの電車、それから湯船に浸かっているあいだに読んだ。
本を読みながら、自分が人と関わりたいと思う基準のようなものがあれば、それは内的対話者的な人なのかもしれないと心でそっと思った。

内的対話者という言葉がある。ひとりでいる時でも、ある人の顔を思い浮かべると、自然に自分 の中から言葉が湧いてくることがある。こんな話をしてみたい、こんなことを聞いてみたい。どんな応答が返ってくるだろう。どんなふうに話が広がるだろう。交流の予感に満ちあふれる。 私には村上さんと話をしてみたいことがたくさんあったし、たぶん村上さんもそうだったと思う。 内的対話者とは、その人を思い浮かべると心の中で思考が促され、言葉が紡がれていく相手である。それは相手の理解力や反応力、知識量や包容力など様々なものに裏打ちされ、相手への信頼感や安心感がベースになっている。

とまる、はずす、きえる: ケアとトラウマと時間について』(P10、村上靖彦・宮地尚子著、青木社)

布団に入ってから眠くなるまで「葉桜の季節に君を想うということ」を読んだ。


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