見出し画像

顕在化した課題と潜在的な課題を考える

1. 課題の棚卸しの重要性

「課題の棚卸し」
自社が抱える問題点を洗い出し、整理するプロセス。

この工程を経ることで、DXの目的や目標が明確になり、適切なツールや技術の選択、そして組織全体のDX推進へと繋がる。

課題の棚卸しを怠ると、DX推進は迷走し、期待した成果を得られない可能性がある。闇雲にツールを導入しても、自社の課題に合致しなければ効果は薄い。現状を正しく把握し、課題を明確にすることから施策立案が始まる。

2. 顕在化した課題と潜在的な課題

企業が抱える課題には、大きく分けて「顕在化した課題」と「潜在的な課題」の2種類がある。

  • 顕在化した課題: 目に見えやすい問題点。例えば、「業務効率が悪い」「顧客対応が遅い」「情報共有がスムーズでない」など。

  • 潜在的な課題: 表面化していない、根本的な問題。例えば、「非効率な業務プロセス」「古い組織文化」「従業員のITスキル不足」など。

これらの課題を両方ともを見極める。顕在化した課題は比較的発見しやすいが、潜在的な課題は、現場のヒアリングやデータ分析など、より深い調査になる。

3. 課題の棚卸しの具体例:ペーパーレス化

例えば、「ペーパーレス化による業務効率の向上」という目標を掲げる企業があるとしよう。この場合、紙の使用量を減らすという顕在化した課題だけでなく、なぜ紙の使用量が多いのか、その背景にある潜在的な課題を明らかにする。

もしかしたら、紙媒体での情報共有が慣例化している、電子データの管理体制が整っていない、あるいは、そもそも業務プロセス自体が非効率であるといった潜在的な課題が隠れているかもしれない。

これらの潜在的な課題を解決しなければ、真の効率化は実現できない。

4. 課題の棚卸しを成功させるポイント

課題の棚卸しを成功させるためには、以下のポイントが重要である。

  • 経営者や従業員の意識改革: 上司から指示された改善ではなく「そもそも」を疑えるような意識をもつこと。それには社員の理解と協力が必須になる。

  • 現場の声を聞く: 現場で働く従業員は、日々の業務の中で課題を感じている。彼らの意見を積極的に聞き取り、課題の洗い出しに役立てることが重要だ。

  • 専門家の活用: 場合によっては、DXに関する専門家の意見を聞くことも有効だ。客観的な視点から課題を分析し、適切なアドバイスを受けることができる。

5. まとめ

課題の棚卸しは非常に重要なプロセスである。
顕在化した課題だけでなく、潜在的な課題を見極めることで初めて効果的な戦略を立案できる。経営者や従業員が一体となり、継続的に課題の棚卸しを行うことで、施策の精度をあげることができるだろう。


中小企業DX事典|Iwakami Sho|note
「DXが浸透しないのは言葉の定義が曖昧だからでは?」という仮説をもとに「デジタル活用=DX」という広い定義を設定しました。具体的なデジタル活用に役立つノウハウをまとめます。スキマ時間でサクッと読める内容を目指しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?