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あなたの心を震わす。〜海外CM5選〜

先日、完全オンラインの広告サークル「ADBOX」にて、ゲストスピーカーとしてTBWAHAKUHODOの細田高広さんが、「2020年幻のカンヌ勝手に受賞予測」というタイトルで様々な海外のCMをご紹介してくれた。

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カンヌライオンズって何なのかわからない人もいるので、説明しようと思ったけれども、まだ大学生のひよっこが説明するのは憚れる規模の祭典なのでこちらを見てみてください。


細田さんの視点で選ばれた作品は、どれも素晴らしいものばかりであった。
全ての動画に字幕をつけてくれたりしていただいた配慮にも感動しました。

そこで、10作品以上のCMやWEB動画を見てみて、私が心を震わされた5作品をご紹介したいと思います。

私なりの見解も入っているし、英語が不得意というのもあるので若干の認識のズレはご了承ください。

1.Never Lost / Facebook

BEST OF COVID-19とも言えるかもしれない動画である。

世界中の人々が受けている真実の物語でもあり、惨劇でもある新型コロナウイルスによる影響を、詩人のケイト・テンペストが「People's Faces」という曲に載せて語っていく。

肝なのは、「People's Faces」が「Never Lost」のためにつくった曲ではなく、新型コロナウイルスが猛威を振るう前に発表されていることであり、その曲をFacebookが用いているということである。

世界的な公衆衛生コミュニティが人々の安全を守るために活動している中、Facebookは様々な方法で活動を支援しており、特に、ウイルスに関する誤った情報や有害なコンテンツの拡散を制限し、人々を有益な情報に結びつけることに注力していた。

動画の最後にあるコピーから、独自のサイトにつながるような道筋はキレイに筋が通っており、鮮やかだと感じた。

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Face to Faceで他人と接触できない状況の中、Facebookがこのようなことを語るというところに意義深いものを感じた作品でした。


2.ICE CREAM FOR ADULTS / Halo Top

アイスは子供の食べ物という固定概念を崩す、逆転の発想に笑ってしまう!

冷たくて甘いアイスクリームというと、気になるのはそのカロリーや栄養成分。ダイエット中の人なら、とりわけ避けたいデザートの一つとして挙げられることも多いデザートです。

近年の国民の健康への関心とヘルシーな食生活志向の高まりから、アイスクリーム業界にも例外なくその波が押し寄せています。そして、その新しいヘルシーアイスクリームの流れをけん引しているのが、Halo Top です。

ローカロリーでプロテインを多く含み、砂糖を控えたヘルシーアイスクリームにも関わらずリアルアイスクリームのような味がするという商品特性をもつHalo Topのアイスクリームは、罪悪感を感じられないフローズンデザートとしてもてはやされたのです。

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Facebook/Halo top

動画を見てみればわかりますが、子供は幸せな時にアイスを食べたいと思うかもしれないけれども、大人はそうでない時にアイスを食べたくなるというインサイトを滑稽に表現している。

大人になるにつれて、自分の思い通りにいかないようなことの連続に直面するかもしれないけれども、せめて息抜きの時間には罪悪感を感じずに幸せな気分になれるデザートを食べてほしいというメッセージが感じられた。

一貫して子供にはHalo Topのアイスクリームを渡さない店員も、ターゲッティングを明確にしている存在であるとも思えるが、少しかわいそうにも見えてきてしまうところがまた面白かった。


3.The Epidemic

2度見ることで分かる真実に驚愕すること間違いなし!
メッセージと合わせて伝えるフィルムの新体験!!

一見、新型コロナウイルス感染拡大の背景もあるので、Epidemicというタイトルを見ると伝染病のことなのかもしれないと察しがついている中で、動画の最後には以下のようなメッセージが表れる。

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何だろうと疑問を持ちつつも、メッセージを受け取るために電話番号を入力すると、再度同じ動画が流れてくるが、以前と違う点が一つだけある。

動画が流れていくのと同時並行で、主人公の女性が受け取っていたSMSが自分のモバイルに送られてくるのだ。

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当初は、伝染病にかかって苦しんでいると思い込んでいた主人公の女性が、実はネットいじめによって苦しんでいた真実を、我々は知ることになる。

そして最後のコピーでは、「SOME EPIDEMICS ARE HARD TO SEE.」と表されることで、タイトルの「The Epidemic」の本当の理由を知ることができる。

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この事例は、見ている人に対して驚きと恐怖を感じさせると共に、メディア・リテラシーを持ってSNSを使わなければ、人を殺す凶器にもなることを伝えるものとなった。

最近だと、テラスハウスに出演していた木村花さんが、SNSによる誹謗中傷を受け、自ら命を絶ってしまう事件が起こってしまった。
自殺として事件は処理されているが、明らかにSNSという凶器を用いた他殺である。
このような事件が二度と起きないためにも、ひとりひとりがメディアで言葉を発することの責任を持ってほしいと心から願うし、自分が誹謗中傷を受けたらどんな気分になるのだろうという気持ちにさせられるのが、今回紹介した「The Epidemic」でした。

4.GREEN DAWN

広告を流すメディアはさらに多様化の道へ。

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「THE DIVISION」は、ウイルステロによって荒廃したニューヨークを舞台にしたオンライン専用RPGである。

GREEN DAWNとは、大人によって破壊される世界で生き残ろうとしている7人の子供の物語であり、「THE DIVISION」の「1部」と「2部」の間の出来事でもあるので、ファンからしたら待望の情報である。

しかし、ゲーマーはテレビCMを観ることがないし、ネット上でも課金をして広告を消すアプリを使用するので、情報を届けづらい課題があった。

そこで、ゲーマーが接するメディアは何なのかを考えた際に、実現したのが、ゲーム内のラジオで本物のラジオCMを流してしまう企画である。

彼らは1日に2時間以上ラジオをビデオゲーム内で聴いていた。
そこを利用して、別のゲームの情報を知ってもらうという取り組みだ。

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広告を嫌っている人は少なくない。
そんな状況の中で、本当に知ってほしい情報を、本当に知ってほしい人に届けることを追求した結果、生まれたアイデアだと感じた。
この事例をもとに、広告は2次元の世界でも効果を発揮しうるものであると知れたし、より多様なメディアを通じて生活者に伝えていくことができる可能性があるなと思えた。


5.CALL YOUR MOM

母の日に感謝を伝えられるような行動を促す

北米プロ野球リーグMLBの公式スポンサーであるビールブランドのバドワイザーが5月10日の母の日に#CallYourMom(あなたのお母さんに電話して)と題した母親に感謝の電話をすることを促すキャンペーンを実施した。

この企画のために制作されたCMでは、トップ選手たちがキャリア“初”を達成した瞬間とその後、選手が母親と電話で交わした会話が流される。

プレー映像が終わると、「どの初めても、彼女への電話が最初だった」と表示され、続けて同ブランドが長年使っているキャッチコピー、「This Bud’s for You(このバドをあなたに)」をもじった「This Bud’s for Mom(このバドをお母さんに)」の締めの文句と共にさりげなくMLBとバドワイザーのロゴが表示されてCMは終了する。

さらに全米中継されたヤンキース対レイズの試合で、90秒間のスポットCMとして最初の30秒でセベリーノ版を流し、その後の60秒は電話の静止画とカウントダウンに加え、「この時間を使ってお母さんに電話して」とメッセージを放送した。野球はイニング間など隙間時間の多いスポーツであり、実際に電話することが十分に可能だ。競技の特性が考慮された内容となっている。

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母の日のプロモーションは国内外問わず、素晴らしい取り組みが多いけれども、「CALL YOUR MOM」は母の日の認知だけでなく、実際に行動を促そうとしているコミュニケーションデザインが素晴らしいと感じた。

やはり、あらゆるステークホルダーを幸せにできるアイデアは強い。


最後に

ここまで細田さんが紹介してくださった作品の中でも、特に私の心が震えた5作品を紹介させてもらった。

これらの作品を見て感じるのは、日本のブランドは海外のブランドよりも政治的・文化的発言を避ける印象でした。

実は、世界中の生活者はすべてのブランドのうち73%今日消えても構わないと思うそうですが、世界中の生活者のうち78%が企業やブランドは社会問題に挑むべきであると考えているらしい。

つまり、これまで
Creative(面白い)
Beautiful(美しい)
なものが評価されてきた傾向でしたが、
Brave(勇気がある)
Meaningful(意義がある)
なものが評価されはじめている。

これからの企業や企業に向けた提案は、クライアントと代理店の協働で生まれる勇気と、社会に向けた意味のあるメッセージがさらに増していき、世界中の生活者が抱える負の側面に対して向き合える姿勢を示していってくれることだろう。

わたしもいつかカンヌライオンズのような世界的な賞を受賞できるほどの社会的インパクトを与えられるメッセージを伝えられるような存在になりたい。
その準備として、今後とも先輩たちの素晴らしい作品に触れていきたいと思う。


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