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イワシとわたしの人 vol.3 読む人:早水奈緒

下園薩男商店が運営するイワシビルの商品と、こんなことがあったかもしれないお話をオリジナルの短編小説として連載する、「イワシとわたし」の物語。

新シリーズ「わたしと山猫」の物語の連載開始を記念して、イワシとわたしを作り上げる「書く人」「撮る人」「読む人」の3人にフォーカスを当てたインタビュー企画「イワシとわたしの人」。

第三弾は「読む人」です。

「読む人」は、ナレーション担当早水奈緒さん。
ラジオ小説「イワシとわたし」が始まった2021年5月から担当しています。

早水さんがいなければ、ラジオでイワシとわたしが流れることもなく、noteで音声コンテンツが生まれることもありませんでした。

そんな早水さんに、今回はイワシとわたしのナレーションをするようになった経緯や早水さんの読むことへの想いについてお話を伺いました。

イワシとわたしを読む人:早水奈緒

鹿児島県阿久根市のお隣、薩摩川内市在住の早水さん。
普段は、フリーランスで主に取材活動や企業のSNS運用代行で活躍しながら、FMさつませんだい制作でイワシとわたしのナレーションをしています。
阿久根市に住んでいたこともあり、高校時代からイワシビルを知っていました。

イワシとわたしとの出会い

イワシとわたしでナレーションをすることになったのは、ひょんなことからの出会いでした。

「一緒にお仕事をしていた方が、上野さん(クラフトコーラ「パーティータイム」の製造を担当)と知り合いで、ある食事会の場でご一緒したときにイワシとわたしっていうのがあるんだって知りました。そのときにせっかくだからFMさつませんだいで流したいよねって話になって。『じゃあ、奈緒ちゃん、ナレーションやっちゃいなよ』って言われたんです」

イワシとわたしを知ったタイミングとナレーションを提案されたタイミングが同時だった早水さん。
話はその場でトントンと進み、後日、イワシとわたしをナレーションすることが決まりました。

最初は、ナレーションをやりたい気持ちとできるだろうかという不安な気持ちの両方があったといいます。

「ナレーションのお仕事はCMをちょっと読むくらいだったので、できるか不安でした。
それに、物語を読むというのはまた違うじゃないですか。CMは短くて、決まった秒数に収まる速さで読むことが重要だけど、物語は、棒読みになっちゃいけないし、作者の想いもくみ取っていかないといけないし、モデルさんの気持ちにもならないといけないし、いろいろと思いすぎて不安な気持ちはありました」

朗読の経験もない状態。気をつけたい点を見つけるたびに不安は膨むも、それでもやると決めたのは「チャレンジしてみたい」という想いからでした。

「私が今までしていたのは、CMのナレーションや球場のアナウンスで、少し機械的に表現する感じのものだったので、自分の幅を広げたいなって思ったんです。それから、自分に自信をつけたかった」

当時、ラジオ局に勤めていた早水さん。
しかし、ラジオ番組への出演は週に1回程度だったこともあり、「ラジオ局の人でしょ」と言われても胸を張れない自分がいました。

「だから、この機会に自分もこういうことをやってますって言えるようになりたい思ってチャレンジしようと。イワシとわたしは舞い降りてきたチャンスでした」

―実際にイワシとわたしのナレーションを担当して、変化はありましたか?

「イワシとわたしのナレーションのお仕事をして、ラジオはあんまり出てないけど、イワシとわたしのナレーションをやってるんですよって言えるようになったのは、一つ自信になりました。

しかも、イワシとわたしを書いてる人とラジオしてるんですよって言えるのも自分にとってはチャレンジしてよかったと思えるポイントです。橋口さん(書く人)のことも知ってるし、その人が書いてるんですよとか、この人はこんな人なんですよって自分が言えるじゃないですか。それが嬉しいです。そこからイワシとわたしを見てくれたらなお嬉しい。そういうつながりが嬉しいんです。取材先でのつながりとはまた違う関係性で。自分の声の仕事に興味を持ってくれる人がいたら、それを話すこともできる。

だから、ラジオ局に勤めてるけど、そんなにラジオに出てないっていう自分から、イワシとわたしのナレーションをしたり、これをきっかけにラジオ番組を持てたりして、自分の自信につながりました」

イワシとわたしのナレーションをきっかけにもう一つ動き出したのが、早水さんと橋口によるラジオ番組(2021.09~12/2022.04~09放送)。
自分の番組を持ち、ラジオに関わる機会が増えたことで、自信をつけていきました。

イワシとわたしを読むこと

ーイワシとわたしを収録する前、どうやって向き合っていますか?

「まず作品の写真から見るんです。次に文章を読んでいく。写真と文章を組み合わせながら頭の中で映像になっていくように繰り返し読んで練習します。その中で想いやモデルさんの雰囲気を頭に入れるようにしていて、読むときはモデルさんを憑依させる。真剣なところは真剣な表情で、笑うところは笑って読むようにしています」

イワシとわたしで写る場所は、早水さんにとって馴染みのある場所ばかりで、知らないところが出てきたことがないとか。
だからこそ、モデルさんの動きも分かりやすいし、雰囲気を掬いやすいといいます。

―イワシとわたしで大変だったことは?

「難しかったのは、男性のモデルさんのとき。自分の声に出して読むと、自分の思ってた雰囲気とずれちゃうことがあって。思ってる声はこんな感じなのに、いざ録音してみたら声が高すぎたり、軽く聞こえたりする。男性だとその感覚を声にして伝えるのが難しかったです。

一番難しかったのは、焼海老辣油のときです。初めての男性モデルの物語で、自分の出せる声はこの声だし、どうしたらいいんだろうって思いました。モデルさんも雰囲気のある人だったから、その人の雰囲気を掴むのが難しかったです。
そのときは、私なりに中性的な声を目指しました」

早水さんが苦戦したのがこちらの物語。

苦戦しながらも収録中、そのモデルになりきっているのが見ていて分かるほど汲み取って読んでくださいました。

もう一つ、早水さんが苦戦したのが物語の解釈の仕方でした。

「書き手の想いをどれだけ汲み取れるかが大変ですよね。勝手に自分が解釈して読んで、橋口さんが本当は違うのにって思ってたらどうしようとか思います。でも、収録のときの笑顔を見て気持ちが軽くなっています。
あとは、スピード感。切羽詰まっているところとか、逆に豊かな雰囲気のところとか、その物語のスピード感を読むスピードでどう表現するか。それから、絶妙に空いている文章の空白をどう読めばいいんだろうとか。それは毎回難しいなって思ってます。
最近は抑揚にも意識して一定にならないように気をつけています」

―これからのイワシとわたしの展望は?

「イワシとわたしの雰囲気を声で伝えて、それを何回も、毎回楽しみに思ってもらえるように読みたい。公開されるタイミングで聴いてくれる、読んでくれるきっかけになる音声コンテンツとして自分がナレーションをしていきたいなって思います。
橋口さんが作る世界観と脇中さん(撮影担当)の写真の雰囲気を汲み取って、それを声のみで伝えたいと思っています」

モデルもしてみて

モデル時の早水さん

―これまでのイワシとわたしで思い出深いエピソードはありますか?

「自分がモデルになったときですかね。読む側から読まれる側に関わってみて、そのときに、こうやって物語は作られていくんだっていうのを感じました。
それからあの文章が自分にドハマりしていて、それが凄く印象に残っています。自分のことを思って書いてくれた文章だって伝わる。悩みの多い私をあんな風に書いてもらって、読んで勇気づけられるような、前向きになれるような物語だったので、凄く心に残っています。
自然とナレーションでも思い入れが強い物語として残っています」

私にとってのイワシとわたし

「自分の幅を広げてくれるものでもあるんですけど、身近なものでもあります。橋口さんが書いているからこそ、そして橋口さんを知ってるからこそ、身近なものだと感じています。それから、勇気を与えてくれるもの。モデルさんの雰囲気と橋口さんの書く雰囲気を汲み取って自分は表現するわけだから、ナレーションしている間はなりきってるからこそ勇気をもらうというか、結構元気になるんです。
だから、私にとってイワシとわたしは身近な物語で勇気を与えてくれるものです」

おわりに

モデル時の早水さん

ラジオでイワシとわたしが流れるたびに「これ、誰が読んでるの?」と声が挙がるほど、人を惹きつける早水さんのナレーション。
なぜ、彼女のナレーションがこれほどまでに人を惹きつけるのか。
この記事を読んでくださった方はもう、分かるのではないでしょうか。

ひたむきに、真っ直ぐに、正直に。

早水さんのナレーションやイワシとわたし、自分自身との向き合い方は、そんな言葉がしっくりきます。
とことん向き合う早水さんだからこそ、文章だけでは表現しえなかった新しい世界を生み出してくれているのだと思います。

これからもどんな世界を見せてくれるのか。

これまでのイワシとわたしを知っている皆様も、この記事をきっかけにイワシとわたしを知ってくださった皆様も、今後もイワシとわたしを表現する早水さんのナレーションをお楽しみに。

早水奈緒's SNS

早水さんの活動が気になる方はInstagramをチェック。

ナレーションのみならず、フリーランスとして、取材活動や企業のSNS運用代行などを行う早水さんの日常や活躍が垣間見えます。

執筆:橋口毬花


これからもイワシとわたしをよろしくお願いします。
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