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The UKIYO-E 2020にいった話

更新にハードルが上がってきているので、日記的にこちらにも書いていこうかなと。笑

〜先日上野の東京都美術館で開催されている「The UKIYO-E 2020」に行ってまいりました〜

名称:The UKIYO-E 2020 ― 日本三大浮世絵コレクション
会期:2020年7月23日(木・祝)~9月22日(火・祝)
会場:東京都美術館 企画展示室(東京都台東区上野公園8-36)
開室時間:9:30~17:30
https://ukiyoe2020.exhn.jp/outline/

正直、義務教育の知識もすっかり頭から抜けているので、浮世絵に関する事前知識というものはほとんどない状態で伺いました。

きっかけはひょんなお誘いから。大学の先輩が旅行で行ったオーストリアの街の中に、大々的にあった浮世絵展の告知が印象的で興味を持ったのだとか。

言われてみると、海の外に暮らす方々がどうして江戸に思いを馳せるのか?ちょっと気になってきました。
(もっとも私はそんなことより、現実世界から隔離されタイムトラベルができる美術館は大好きなので、浮世絵であろうがなんだろうがお誘いを断らなかったでショウ)

浮世絵とひとくちに言っても、いろんな種類がある

私の中の浮世絵といったら波。
きっとみんなこのイメージは少なからずあると思います。

こちらは葛飾北斎の 「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」という作品。
 奥にそびえる富士山、しぶきをあげる海・・
(波はげしっ!そして押送船が華奢で心配・・)

富嶽三十六景_神奈川沖浪裏

余談ですが一説によると、現在のアクアライン・海ほたるあたりを描いたものだとか。

とまあこの作品のおかげで「浮世絵is青色の美しい日本画」というイメージがあったのです。

この私のイメージ「青色」も重要ポイントだったわけですが、結論から言うと彩度の高い絵画が全て、ではなかったのです。

肉筆と版画

色の話に進む前に浮世絵は、大きく分けると「肉筆」と「版画」があります。

「肉筆」は、絵師が自らの筆で直接描かれた絵画。
「版画」は、絵師が描いた下絵を、彫師が版木に彫り、摺師が紙に摺るといった工程を経て作られた絵画。

例えば、肉筆浮世絵で有名なのは菱川師宣の「見返り美人」。

見返り美人jpg

版画ですと、同じ女性画で喜多川歌麿 の「婦人手業操鏡・洗濯」。

婦人手業操鏡・洗濯

なんとなく、違いはお分かりいただけるかと思います。
個人的には版画の作品の透明感、色の美しさ、繊細さに惹かれました。

版画浮世絵の制作工程

上に少し書いた通り、版画は複数の職人が協業で1つの作品を作ります。

下絵を絵師が作成

彫師が版木に彫る

摺師が紙に摺る

※おまけに全体統括をするプロデューサーなんかもいたんだとか。(版元)

えーらい手間隙をかけて作成されているんですね・・・。

版画浮世絵の色の変遷

で、すこーし余談長くなりましたが、色の話に戻ります。

私の浮世絵のイメージは多色多彩!だったのですが、どうやら初期はそうではありませんでした。

なぜなら、絵を描いたり紙に摺ったりするための「絵具の色」が、今のように豊かではなかったのです。天然絵具・顔料は古墳時代から存在していたものの、江戸初期まで大きな変化はなく利用され続けていたようです。

そのため、最初期は墨摺絵(すみずりえ)と呼ばれる墨一色の版画でした。

墨摺絵→丹絵→紅絵→漆絵→紅摺絵→錦絵 と墨一色から赤、多色へと変化していき、段々と色鮮やかな絵の制作が可能となりました。

墨摺絵(すみずりえ)
墨一色だけを用いて摺られたもの。
丹絵(たんえ) 

墨摺絵に朱の色として、鉛に硫黄と硝石を加え焼成した「丹(たん)」で筆彩したもの。
紅絵(べにえ)
墨摺絵に丹の代りに紅を使って筆彩を施したもの。
漆絵(うるしえ)
紅絵の発展したもので、墨に膠(にかわ)を混ぜ、漆のような光沢を出したもの。
紅摺絵(べにずりえ)
手彩色ではない色摺版画。墨摺後に紅摺、という形で重ねて着色したもの。
錦絵(にしきえ)
紅以外の色も重ねる多色摺の浮世絵版画の汎称。

残念ながらパブリックドメインで墨摺絵など探せず・・・。
こちらに載せかねますが、気になる方は下記サイトで見てみてください。
浮世絵の世界 彩色版画の変遷

「ベロ藍」の輸入による清々しい着色

江戸時代の後期になると、合成顔料ペルシャン・ブルー(通称「ベロ藍」)がオランダから輸入されるようになります。
明るい色調の青、人工顔料の中で最も古いと言われているものです。

それまで、明度の高い青をだすには鉱石を用いた絵具があったようですが、とても高価でほとんど利用されていなかったよう。
そんな中、比較的安価で手に入るベロ藍は、浮世絵における表現力をぐーんと高めた存在だったんですね。

「青」というのは、海や河川をはじめとする水の表現や空の表現、富士山の表現など、日本人の心の中に常にある色。表現にかかせない色なのでしょうか。

とにかく、このベロ藍が普及してからの作品の美しさ・・。藍色の濃淡の表現が泣かせにくるゼ・・・

葛飾北斎 「富嶽三十六景 甲州石班沢」

富嶽三十六景_甲州石班沢

個人的に浮世絵展で印象的だった絵画

歌川広重の「木曽街道六十九次」中の「洗馬」。
現在の長野県塩尻市にある洗馬駅付近にある洗馬宿から奈良井川を見た景色とのこと。
https://tokimeguri.jp/spot/1180.php

木曾街道六拾九次_洗馬

↑は少し彩度が落ちてしまっているようだけど、夕日のあかりが残る橙色と夜の色がまざる空、今を生きる私たちの心の中にもあるような空の色がすてきでした。

あとは、縁日の絵でポテトみたいなの食べている女性がいて、なんだか親近感を覚えたり。笑
(ご丁寧に「御菓子」とか書いてあったけどポテトフライを召し上がっているようにしか見えなかった)

あと岳亭さんの作品か何かでJALマークのような模様が着物に書いてあったり。

歌川国芳さんの「蛸の入道五拾三次」がスターウォーズみが強かったり・・。笑
https://images.app.goo.gl/4S4Diu8Z5cGhSvUN8

ちょこちょこ笑ってしまった。こういう楽しみ方もあるんだと思う。(!?)

会期はまだあります!(2020/9/22秋分の日まで)

で、会期なんですがまだあります。9/22まで。
私最初ワンフロアぐらいの展示なんだろうと思って、丹絵・紅摺絵あたりをすごーい時間かけてみていたのですが、進んでみるとなんと3階まであり・・・
時間オーバーになるのを避けるため、やや駆け足で後期の錦絵を見学しました。とにかく想像していたより量が多い。最後駆け足になっても3時間かかりました。

あんまり浮世絵のこと知らない人にこそ、興味のきっかけにとても良いと思いました。(まさしく私がそうです)
気になったらぜひ、上野まで足を運んでみてくださいー!

そんなこんなで、あー。いつも通り尻ツボミな記事になっていることを憂いでおります。
もっと書きたい事あった。整理しないで書き始めたらこうなってしまいました。
浮世絵という言葉の由来とか、制作が結構ビジネスライクなところとか、パースや遠近法というメソッドが確立されてないから構図が不思議なところとか・・・

でも記事を公開することに意味がある!マインドで逃避します笑

でも私はこれからミツメを観に行かねばなりませんので、こんな形でお暇させていただきます。

おまけ:浮世絵ジェネレーター UKIYOEnerator

#浮世絵ジェネレーター で作成! #UKIYOE展 で世界最高水準の名品が見られます。お見逃しなく! https://ukiyoe2020.exhn.jp/ukiyoenerator/scripts/u/?gid=20/09/3d70a988db5acad5c17d6a3c0cd73c3ada28b6af #TheUkiyoe

わたしは着物のすてきな女性と魚を並べたカオスを作った、ちょっとたのしい。笑

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ちなみにこの記事のアイキャッチもここからいただいた、というわけです。

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原画は今は御茶ノ水にある昌平坂を人や馬が歩く様子を描いた遠景。
昌平橋は個人的`鉄`スポットとして好んでいたけれど、昌平坂は意識的に歩いたことなかったな・・今度散歩しにいこう。

歌川国芳筆「東都富士見三十六景 昌平坂の遠景」 弘化元年(1844)ごろ
https://www.bajibunka.jrao.ne.jp/uma/event/event_20170609_1.html

※記事中の浮世絵はパブリックドメインの画像を利用させていただきました。
https://dl.ndl.go.jp/
https://publicdomainq.net/

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