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第3章 ホンモロコの危機と脅威ー矛盾編

1.はじめに

 おはようございます。こんにちは。こんばんはIWAOです。今回は、ホンモロコの現在の実情について説明していきます。前回は、ホンモロコが琵琶湖の生態系と人の歴史について書きました。そこから、ホンモロコの存在が、生態系と人間の歴史において非常に大切な存在であることが分かったはずです。しかし、ホンモロコの現実は、非常に厳しいものになっています。ホンモロコそのものが危機にありますが、ホンモロコの魅力ゆえに仇になってしまう面もあります。つまり、危機であり脅威であるということです。ホンモロコの現実を見ていきましょう。

2.構成

 ホンモロコの自然分布である琵琶湖水系での現実を最初に紹介します。琵琶湖の外来種というとブラックバスの存在が大きいですが、ブラックバスを代表格に外来種による被害は、存在しないとも言われています。本当にそうなのか、外来種による被害というものをホンモロコを通じて見ていきましょう。また、ホンモロコは、被害だけを受けている存在ではありません。つまり、脅威にもなっています。自然分布と何故、真逆なことが起こってしまっているのでしょうか。その矛盾した現実も見ていきましょう。
*イラストは、うぱさんから提供させてもらいました。

我が家のホンモロコ
ホンモロコ

3.ホンモロコの危機

 ホンモロコは、現在、環境省のレッドリストで絶滅危惧種ⅠA類、滋賀県の絶滅危惧増大種に指定されています。環境省の現在のランクの上は、野生絶滅であり、状況は非常に危険ということです。ホンモロコが、絶滅危惧種に指定された理由は、主に3つあり、この章では①と②について解説します。

 ①の開発、護岸工事、水位操作は、ホンモロコの産卵に大ダメージを与えます。前章で説明したことになりますが、ホンモロコが産卵する場所は、抽水植物が茂っている「内湖」や「ヨシ場」が中心です。その内湖が、戦後から農地や住宅を作る目的での埋め立てや干拓によって、多くが喪失しました。1940年時点では2902haだったのが、1950年で719ha、1995年には425haと激減しました。この時点で、1940年代に存在した内湖の75%が失われています。内湖の存在が重要なのは、ホンモロコだけではありません。ニゴロブナやコイだけでなく、タナゴなどの小型コイ科魚類の生息地にもなっており、ホンモロコ以上に失うものが多いです。内湖の喪失だけでなく、琵琶湖の湖岸工事も行われており、そこでは、ヨシ場の70%が、湖岸堤に変えられており、内湖に次いで、大きな産卵場を失ったといえます。

 ホンモロコの大幅な個体数の激減になった要因は、「水位操作」です。1992年から瀬田川洗堰で人工的な水位操作が行われるようになりました。基準水位が定められ、6/15までは+30㎝、それ以降は-20㎝となるように下げられ続けることとなりました。水位操作が行われるようになった1990年代からのホンモロコの漁獲量の大幅な減少が目立ちます。
 ホンモロコの漁獲量が大きく減った1995年では、5月上旬に大雨が降り、5/16の水位は+94㎝まで上昇しました。それ故、7月まで−20㎝になるように水位は下げられ続けました。この水位操作は、ホンモロコの産卵のやり方故に、大きな脅威になります。ホンモロコは、春先の水位が上昇した時の「水面±数センチ」のかなりギリギリのところで産卵するからです。わずかな水位の低下ですら、ホンモロコの卵には大きな脅威になるのですが、連続的に水位が下げ続けられれば、水面ギリギリに産卵された卵は干からびてしまいます。つまり、水位操作は、ホンモロコの卵、繁殖に大きな脅威になるということです。

ホンモロコの産卵の様子
水位操作や開発によりこのような産卵は行えなくなります。
水位操作によるホンモロコの卵の影響
ホンモロコの漁獲高の推移

 ②の「深層の酸素不足」は、ホンモロコの越冬中の生存に大きな影響を与えます。
 まず、琵琶湖で発生する「鉛直循環」について説明します。琵琶湖は、春から秋にかけて水面近くの表層は温められ、深層は冷たいままになります。暖かい水は上にいき、冷たい水は下へいく水や熱の性質があるため、表層と深層で水の混ざり合いは発生しません。つまり、「水温成層」が春から秋の間に形成されます。冬になると、表層の水が冷やされることによって、表層の冷えた水が深層へと落ちます。つまり、表層と深層の水が混ざり合います。冬になり、表層の水が沈み、深層の水が持ち上げられるこの現象を「鉛直循環」と言います。この時に大事なのは、表層の水は空気に触れているということです。冬に表層の水が沈み込むというのは、「酸素を深層へ持って行く」ということも意味します。ホンモロコを含め、琵琶湖に生息する魚には、琵琶湖の深層へ潜って越冬を行います。活動が鈍るだけで生命活動が完全に止まるわけではないため、酸素が越冬する場所に送られることは、非常に大事です。

鉛直循環について

 しかし、「鉛直循環」が起こらなくなってしまうリスクがあります。その理由は、2つ挙げられ「富栄養化」「地球温暖化」です。
 「富栄養化」は、リンや窒素などが琵琶湖に直接供給され、それを植物プランクトンが酸素と共に消費されてしまい、結果的に冬に深層へ送られる酸素は減ってしまうということになります。
 鉛直循環の問題で特に注目されているのは「地球温暖化」になり、それは、琵琶湖の混合に大きな影響を与えるのではないかと考えられています。温暖化によって表層が冷えにくくなり、鉛直混合が起こりにくくなることです。実際に、近年の暖冬化によって、鉛直混合の発生が遅れること、起こらないことが確認されています。2002年では三月下旬に水温成層が発生。2007年では3月下旬という遅い時期に循環が発生。2018年では、水深90mの水域の湖水での混合が確認されない。2020年には3年ぶりの全層での循環が確認などと近年で鉛直循環が発生していないまたは遅れていることがわかります。
 地球温暖化の進行によって、鉛直循環そのものが起こらないまたは鉛直循環の発生が遅れてしまうということが予想されます。そして、この鉛直循環が遅れることと発生しないというのは、酸素がなくなり、越冬ができないということになります。ホンモロコの問題だけになりません。ニゴロブナ、ハス、イサザ、在来のコイも生息や越冬のために深層を利用します。鉛直循環の未発生は、琵琶湖に生息する魚類に大ダメージを与えることと同義です。

鉛直循環の未発生の影響

4.外来種は脅威か?ーオオクチバスから読み解く

・在来種への影響

 ここまでの説明で、ホンモロコが大きく数を減らした原因は何かと言われた場合、私は、「水位操作」と考えます。漁獲量のグラフの大きな減少と水位操作の発生の時期の重なりが、相関を持っているからです。
 しかし、ここで気をつけなければならないのが、「水位操作」だけが、ホンモロコの脅威ではないということです。水位操作を含めた脅威が、ホンモロコを激減させたということです。開発以外の脅威は「外来種」になります。ここでは、オオクチバスの影響について説明していきます。

特定外来生物法の制定時に行われたパブコメ
どう思いますか?

 琵琶湖に定着した外来種は色々いますが、その代表格は「オオクチバス」が挙げられます。琵琶湖に限らず、オオクチバスが侵入することで、在来種が激減した事例は多いです。その代表格は、伊豆沼・内沼の「ゼニタナゴ」です。伊豆沼・内湖のオオクチバスの被害による最大の特徴は、開発や護岸工事が「されていない」中、オオクチバスが密放流され、定着したという所です。高橋氏の論文では、1995年までタナゴ類の漁獲数が多かった状況から、1996年以降は激減したことが指摘されています。そして、何よりも「伊豆沼の水質の変化は認められない」「タナゴの産卵基質である二枚貝の大量へん死も認められない」、さらに「オオクチバスの稚魚の胃の内容物はコイ科の稚魚が大部分を占めていた」という点も指摘されています。つまり、伊豆沼・内沼のゼニタナゴの減少は、オオクチバスの捕食であるということを十分に示し、オオクチバス以外の要因でゼニタナゴの減少を説明することが難しいということです。

オオクチバス
このサイズなら、ホンモロコを食してもおかしくはないはず。
ゼニタナゴ

 他にも注目されるべき研究調査があります。それは、マタナゴのオオクチバスによる捕食です。宮城県北部のため池でオオクチバスによる捕食の影響が明らかになりました。この調査の最大のポイントは、「純粋にオオクチバスがため池へ侵入した」という点です。密放流ではなく、タナゴの生息するため池への土堤が、雨によって壊れ、障壁がなくなったことでバスが侵入したというものです。

マタナゴ
*サイタマさんから写真を提供してもらいました。

 胃の内容物を調査した時、魚類と甲殻類に対する捕食圧が非常に強いことが明らかになりました。タナゴとエビなどの在来種が中心となり、捕獲されたオオクチバス計82匹の胃の内容物から1匹で1日平均3匹の個体を食べると分かりました。また、オオクチバス発見(8/26)から駆除日(9/7)までの13日間でどれくらいの在来種が捕食されたのかの試算も行われました。13日間でタナゴは1687個体、エビ類は718個体が捕食された計算結果となりました。この計算結果は、バスが侵入したままの状態だった場合、タナゴやエビ類は「40日でため池から消失した」シュミレーションとなる結果になるとも指摘されています。オオクチバスは、「侵入されただけ」で個体群を消滅させる威力があることを示しています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/izu/3/0/3_81/_article/-char/ja/ を基に筆者作成
タナゴの個体数の多さが目立ちます。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/izu/3/0/3_81/_article/-char/ja/  を基に筆者作成

 オオクチバスによる定着は、護岸工事などの開発が同時期的に発生し、外来種と開発、どちらの方が影響が大きいのか?というのが、純粋な評価が厳しい面がありました。時と場合による所は大きいですが、ここまでの説明で、オオクチバスによる侵入は、侵入されるだけでも在来種には大きな脅威になることを十分に説明できる事例になったと言えます。

・ホンモロコへの脅威

 ホンモロコによるオオクチバスによる影響も明らかになっており、それは捕食です。琵琶湖の内湖である曽根沼の胃の内容物の内訳を調べた所、半分以上が在来種という結果になりました。そして、在来種の種類の割合を見ても「ホンモロコ」が1番多く、次点にスジエビとなります。このグラフだとホンモロコは、目分量で25〜45%程度と割合での高さが目立ちます。

『だれでもできる外来魚駆除2』5頁より引用

 別の調査では、オオクチバスがホンモロコを好んで捕食していることが明らかになっています。1才以上のバスを観察対象とし、ほぼ同じ体長の同じバス、ギル、ホンモロコの3種を試験池(*4m×2m×水深0.6m)の中で飼育しました。全部で9回の実験を行った結果、9回全てでホンモロコの捕食が最も高く、バスやギルとの差は「有意」でした。エリ漁の中で捕まったバスの胃の内容物を調べた所、アユが捕食数では多数を占めましたが、イブレブの選択指数で選択性を数値化したところ、ホンモロコが最も高いという結果になりました。
 山口県小野湖では、オオクチバスの食性の調査では、ホンモロコが多く食されていることが明らかになりました。(*移入先であるため、そのまま受け取るのは注意)IRI値(*餌生物重要度指数)で数値化した結果、ワカサギとテナガエビの捕食圧が極めて高いものの彼らの次にドンコ、ホンモロコと4番目に高い結果となりました。また、小野湖では、オオクチバスの成長に伴い、捕食対象への変化が見られるもののオオクチバスのホンモロコへの捕食は、SL200㎜で最大値になることが分かりました。小野湖は、ホンモロコだけでなく、ワカサギも移植され、放流され続けています。それ故、ワカサギの個体数が多く、オオクチバスの捕食圧がワカサギに集中しているだけであり、放流をどこまで実施するのかで、ホンモロコの捕食圧も大きく変わるのではないかと思われます。
 先ほどの曽根沼のバスの体長も見た場合、平均での全長が200㎜になっています。曽根沼と小野湖の両者で考えれば、200㎜のオオクチバスでは、ホンモロコは捕食の対象と見なされることが示された調査になるのではないかと思われます。

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010780546を引用

 ここまでの説明で、オオクチバスの存在そのものが大きな脅威でありホンモロコもその脅威に晒されていることを示すには十分すぎるほどの事例があると言えます。ホンモロコは、何故激減したのか?その要因に開発や水位操作をなしにして説明することは不可能です。しかし、ホンモロコがオオクチバスに直接捕食されていること、選択の高さを考えれば、オオクチバスの存在が、ホンモロコに対して大きな脅威になることは間違いないでしょう。つまり、オオクチバスの存在は、ホンモロコ減少の要因になるということです。

5.ホンモロコに迫る新たな脅威

 現在、琵琶湖ではオオクチバスではない新たな外来種が、定着・拡大しています。それはチャネルキャットまたの名はアメリカナマズです。琵琶湖では2001年に初めて確認され、南湖にまで生息が拡大しています。霞ヶ浦では、チャネルキャットの定着により、彼らの定着により在来種が多く食べられ、鋭い棘で漁具が傷つき、漁師にも怪我を負わせ大問題になっています。

チャネルキャット、アメリカナマズ

 霞ヶ浦の「ヨシ帯」での食性の調査では、体長による違いはあるものの小型魚類、底生・半底生甲殻類、大型魚類の断片、陸生植物片が主要項目となり、食するものの多様さがわかります。魚類に限って見た場合、ヌマチチブが大半を占めてその次にモツゴが含まれていました。その中には、生態を同じくするであろう近縁種のタモロコも含まれていました。
 チャネルキャットは、夜行性で寝ている生き物を食べる生態を持ちます。この研究では、胃の内容物から大量のヨシの根や茎が見つかったことや調査中に体長40センチの個体がヨシ帯から見つかったことから、水深の浅い所へ侵入する可能性が高いと見られます。つまり、夜に浅瀬で眠っている生き物を狙って捕食している可能性があるということです。
 侵入された琵琶湖水系でも、チャネルキャットの食性の調査は行われています。霞ヶ浦と体長による変化はあるが、瀬田川は体長10〜20㎝の個体では圧倒的に甲殻類、20〜30㎝、30〜40㎝と大きくなると小型魚類を食すようになります。琵琶湖は20〜30㎝で甲殻類、30〜40㎝で貝類の割合になっていました。現在、チャネルキャットによって、直接ホンモロコへの影響が出ているわけではなさそうです。しかし、夜行性でありヨシ帯へと侵入すること、そのヨシ帯を産卵場、稚魚の生育場所としても利用するホンモロコには、チャネルキャットによって夜の休み時を狙われ、捕食の対象となる危険性があると思われます。ホンモロコのためにもチャネルキャットの拡大に注意が必要だと思われます。

6.ホンモロコは脅威である

 琵琶湖でのホンモロコは、非常に危機的な状況にありますが、琵琶湖以外、移入先では国内外来種として非常に大きな脅威になっています。
 ホンモロコは、各地の自然水域へ移植が行われており、山梨県の山中湖や東京都の奥多摩湖では定着したと考えられています。1980年代では宍道湖の淡水化計画伴う対策として移植され、周辺各地の河川へ分布を広げたとされます。管理がいい加減だとニジサクラのような問題になる可能性もあります。(*休耕田を養殖で利用するため、川へ逸脱する可能性が高いのではないかと思われる)

 ホンモロコで恐れられている点は、「競合」そして「交雑」です。ホンモロコが川へ逃げ近縁種でありつつ在来のタモロコと交雑するリスクは高いです。タモロコは地域によって変異が強く、個体群によって湖中の環境により適応したものがいます。(*詳しくは第1章を参照に)より琵琶湖という湖に適応した形態や生態を手にして適応したホンモロコに侵入された場合、在来のタモロコは、湖のスペシャリストであるホンモロコにニッチを奪われてしまうシナリオと在来のタモロコと交雑するリスクが考えられます。スワモロコの場合、細谷氏はホンモロコの侵入が絶滅の一因となったと指摘しており、両者の中間的な存在として中間個体が見つかっているのではとも言われてます。つまり、ホンモロコが琵琶湖で身につけた形態や生態が魅力や強みであるものの在来の生物には奪い取る凶器になるということです。

タモロコ(*琵琶湖個体)

 鹿野川のダム湖では、ホンモロコとタモロコの中間種と思われるものが採れました。ホンモロコ、タモロコとも報告されている個体が標本になり、その形質が調べられました。タモロコと報告されたものは、口ヒゲが瞳孔径より短い、双方では第一鰓弓の鰓耙数が、ホンモロコ、タモロコの両種の範囲に重複していました。(*詳細は下記の図を参照に)また、脊椎骨の数が35本…と全てではなくともホンモロコ、タモロコどちらとも言える形態的特徴を持ってました。遺伝的な調査がされていないため、交雑種であるとは言い切れない所があります。タモロコが、ダム湖化された環境で適応した結果、形態が変わった可能性があることも指摘されています。ただし、タモロコは1996年に、ホンモロコは2001年に採取されており、ダム湖化した直後に変化したと言うには難しい面があります。調査の対象となった鹿野川ダムは愛媛県で、愛媛県ではホンモロコの侵入が記録されてます。その交雑種と考えてもおかしい所はありません。

https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000000043732-i6915835  をもとに作成

 私が交雑で恐ろしいと感じている点は、「その地で生きるための遺伝子が失われること」です。ホンモロコは、琵琶湖という湖の環境に特化した形態と生態を持ち、それらは遺伝子レベルで刻まれていると考えられます。琵琶湖とその他の湖や河川というのは、全く同じ環境なのかと言われたらそうではありません。よって、タモロコ側にとってホンモロコの遺伝子が入り込むのは、その地で生きるために必要な遺伝子が薄められることや失われるのは、その地での種の存続にかかわるほどの問題です。
 別の種や地域個体群の交雑を遺伝子攪乱ではなく、「新たな多様性の創出」という「誤った」見解があります。そもそも遺伝子の交雑は、何かを得ることと失うことが両立しています。つまり、コインの裏表です。例えば、日本人は、酒に弱い体質をしており、それは渡来人が持っていた遺伝子がルーツと考えられてます。それに対し、縄文人は酒に強い遺伝子を持っていると言われ、両者の交雑の結果故、酒に弱くなったと言われます。この事例から、(*酒に強いかどうか別として)交雑が決していいことばかりをもたらすとは限らないことが分かります。こういうことが、タモロコで起こりうるということです。

7.まとめ

 以上が、ホンモロコの危機と脅威に関する内容でした。
 今回、オオクチバスは、在来種を捕食して個体数を減少させる原因になるのか?という疑問にホンモロコを介して答えることができ、事実は覆せないと思います。オオクチバスを含め、外来種による在来種の影響は大きいと言わざるをえません。しかし、オオクチバスは問題を何も起こしてないと言い、駆除を潰した上で他の生物の駆除のみをやれと叫び、世間を混乱させるさせるものもいます。

生きたバスを運搬し放流する犯罪行為の自慢映像

 どこにバスがいるのか?を考えれば、人が運ぶ以外では極めて難しい所にバスがいます。最近話題になった岐阜県のコクチバスは、「農業用ため池」からワカサギも発見されました。バスの定着を狙う餌生物(*ブルーギルなど)も同時に放流する事例があり、バス単体の放流以上の悪質性が見えます。

https://youtu.be/c-iiuetFS3Q?si=nV7RR35eiesb3X-oを引用

 別の事例では、過去に天皇陵(*ニュースでは仁徳天皇陵)の堀にバスを放流、侵入し、釣りを楽しむものもいます。天皇陵という神聖な場所に意味不明な過去の敵国の生き物を正当な理由なく放し、娯楽目的で土足で張り込むバカがいるということです。天皇陵には貴重な生物が生息していることもあり、歴史・文化的だけでない価値があります。歴史好きな方にこそ前回のブログを読んで貰ったうえで問いますが、この行為は許せますか?やっていることは、日本の自然だけでなく歴史に対しても「冒涜」という錦の旗を掲げてでの横暴です。バス釣りがブームになり今日に至るまで何十年の年月が経ちましたが、バサーの考えること、やることは何一つ変わっていません。まして、業界そのものと彼らを擁護する専門家(という肩書を利用する詐欺師)もいます。こういう現実が続く以上、バス釣りは日本に存在させず、違法行為とそれを擁護した人間は 、どのような深傷を負おうが、批判という石をぶん投げ続けられ、地獄に落とされるしか道はありません。

天皇陵とされている古墳では生き物の採取が禁止されている。
特定外来生物法制定時に実際にあったパブコメ
バサーの知性の象徴。

 今回は、ホンモロコの厳しい現実を説明しました。ホンモロコがここまで大きく数を減らした原因に「開発」は大きいと思います。そもそも産卵場が消されてしまっては意味がありませんし、特に水位操作で産卵したものが全てダメにされてしまいダメージが大きいです。開発には治水、農業用用地、住宅用地などの目的行われた面があり、私たちが生きるためです。それらを求めるために失われてしまうものが、自然、生物、そして、彼らと作ってきた歴史や文化です。生物とは、よく分からずいるだけの存在ではなく、人との関係性を持っているものが多いです。つまり、ただ自然が失われるのがダメだという理由で保全が求められているわけではありません。それまで作っていた生き物との歴史もなくなってしまうということになります。ホンモロコを含め「生物を失う」意味とは何か、その重さを考えなければなりません。
 しかし、ホンモロコは、外来種としても脅威です。ホンモロコは、日本各地で養殖・利用されています。利用は悪いことではありませんが、管理がいい加減だと外来種問題を引き起こす諸悪の根源です。しかし、国内外来種は世間的な注目が低いです。それ故、人知れずにホンモロコに置き換わり、気づいたら在来のものは内側から破壊され尽くしされたというのも想定されます。まして、ホンモロコの自然分布は、琵琶湖とその水系とはっきりしています。だからこそ、外来種としての危険性を知り、管理を徹底することが求められます。
生物が、自然分布で危機でも移入先で脅威になるという一見矛盾した現象が起こっています。しかし、このような現象は、ホンモロコだけの話ではありません。日本だけでなく、世界レベルで起こっています。つまり、生物は危機にも脅威にもなり得るということです。ホンモロコは、生物が抱えている問題の複雑さを体現する存在でもあるということが分かります。

 次回、完結編です。ホンモロコの保全と利用、これまでの利用から読み取れることをまとめたいと思います。ここまで読んでくださりありがとうございます。

謝辞

 うぱさん、サイタマ釣査兵団からイラストと写真を提供させていただきました。この場でお礼を申し上げます。ありがとうございました。

参考文献・資料


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