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個人の時代。各ジャンルで活躍するヒーローたちを、求めるところとマッチングする

僕が社長になった理由-山本 直樹さん-
「元来、マジメでビビりな性格なんです」と言う山本さんは、芸能人からインフルエンサー、YouTuber、地域の有名人などをニーズに合わせてキャスティングする会社を経営しています。関西人らしいノリのよさで、とてもそんな風には感じられません。中学時代にバンド活動を始め、ベーシストを目指して東京の音大に。卒業から今まで「まともな就職活動してなくて、どれも裏口入学みたいな感じです⁉」との衝撃発言で笑わせてくれます。一体どんな人生を送ってきたのでしょう。

2019年夏、”いわみんプロジェクト”として、社長や起業家、独立して活動している方を対象に100人インタビューを実施しました。彼らがどんな想いで起業し、会社を経営しているのか? その中での葛藤や喜び、そして未来に向けて。熱い想いをたくさんの人に伝えたいと思っています。

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山本 直樹(やまもと なおき)さん

株式会社エイスリー 代表取締役社長
◆略歴
神戸出身。ベーシストを目指し上京。
音大卒業後、パイオニアLDC株式会社(現NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社)で宣伝プロモーター4年(東京&大阪)
株式会社ホリプロでマネージャー8年(スカウトキャラバン、新卒採用も担当)
株式会社デジタルガレージで営業~新規WEBメディアの広告開発&広告営業を2年
2008年 株式会社エイスリーを設立
エンタメ業界向けWEBマーケティング支援、芸能界向け情報誌『mogmog』の発行、インフルエンサーマーケティングを行う。
現在は、世の中と芸能~エンタメ業界を徹底的に繋ぐ"超"総合キャスティング会社としてアジアNO1を目指し突進中!

◆好きな言葉(座右の銘)
選択するなら、後で思い出に残る方を選ぼう!

バンドで成功する夢を見て東京に出るも、
あえなく実家に帰り、リベンジを誓う!

 10代のころはバンドとして表に出て活躍したいと思って東京まで出てきました。でも、たいした練習をしていないのでプロになれるわけもなく、途中からは音楽で活躍する人を裏からサポートする仕事がしたいと思うようになりました。卒業後はバンド仲間の実家の宮古島に行ったり、レコード会社の郵便仕分けのバイトをしたりの生活を1年続けて一旦、実家の神戸に帰りました。

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 その直後に阪神淡路大震災があり、とにかく働こうと思って音楽業界に片っ端から電話しまくって、日雇いのアルバイトを見つけました。そのつてで、パイオニアLDCの大阪支社で宣伝プロモーターの契約社員として働き始めました。中途半端に東京から帰ってきたのでリベンジしたい思いがあり、前例がない中で東京へ行かせてもらうこともできました。

 4年ほどしたとき、会社の業績不振で契約社員は全員解雇になるのですが、その際に、ホリプロを紹介してもらい、8年間マネージャーとして働きました。僕は新しいことをやるのが好きだったので、今まで誰もやらなかったようなやり方でプロモーションしたり、いろいろ試していました。
 じつはずっと音楽が好きだと思っていたんだけど、音楽好きな人ってすごく多くて、その中だと勝てる気がしなかったんです。でも、プロモーションとか新しい手段を考えるのは本当に楽しくて、人が思いつかないような方法を試しているうちに、自分の強みはこっちなのかな?って感じ始めていました。

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 ホリプロスカウトキャラバンで初の“シンガー募集”する回があり、グランプリと準グランプリの子を育成~デビューさせたんです。僕が担当したんですがなかなか売れませんでした。当時はミクシィが流行していたタイミングで、本来はタレントの利用禁止だったんですが、こっそり宣材写真を使ってミクシィ内で発信させたんです。まだ、タレントがブログやSNSを始める前の時代です。その子の同郷の方たちに足跡を残していくことで、すごい勢いで友だちができてちょっとしたコミュニティになり、話題にもなりました。

転職活動は企業サイトのお問合せ窓口から⁉

 そんな活動をしていたら、グリーやサイバーエージェント、もちろんミクシィの方からも連絡がきて、自社サービスを芸能人に使って欲しいんだがどうしたらいいか?とお願いされ、いろいろ話をしているうち感化され、インターネット業界への興味が強くなりました。一方で、僕が手掛けていたシンガーの子達は、なかなか売れず散々な結果になりました。せっかくもらったチャンスを生かせなかったことで、スターを生み出すマネージャーという仕事に自信をなくし退社しました。

 プロモーションの基本のマーケティングについてもっと知りたいと思って、価格.comを運営するデジタルガレージの問合せフォームに「働きたい!」と連絡してみました(笑)。特にITスキルや知識があるわけじゃないので、普通に採用窓口から行く勇気がなかったんです。無事に採用されるも、実際にはマーケティングやITというより、営業の仕事でした。
 入社初日から中古車屋さんに連絡して契約を取ってました。とはいえ、1年間営業することで、数字ノルマを進捗管理する経営スタイルや、デジタルとの関連性なんかを学ぶことができました。2年目になって新しいウェブメディアの広告開発や広告営業なんかを担当して、やっとウェブマーケティングについて学ぶことができました。

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 その時期、音楽業界でもデジタル配信やWEBプロモーションが少しずつ始まってきて、音楽業界の知り合いから頼まれて手伝うようになりました。リスティングやYoutube上でのプロモーションをやったり。その内職的な活動をやってみて一人でもやっていける!と思い独立を決意しました。

「実質的には下北沢のマンションで1人PC作業しているような状況でした」と独立当時のことを語る山本さん。ITビジネスの怖いところは流行りが一瞬で陳腐化されてしまうことです。山本さんがやっていた仕事も、1年後には会社が内製化するようになったため、仕事がなくなったのだそう。そこから山本さんの迷走の日々が始まったのだそうです。

誰もが思いつきそうで実行しなかった
新しいビジネスを次々に挑戦

 当時、多くのタレントがブログを始め、タレントや読者モデルが商品を紹介するプロモーション手法が生まれていました。その方法でなく、直接ロケ弁当に情報誌をくっつけたら、それをタレントや番組スタッフの方が直接見て、気に入ったものをブログで書いてくれたり番組露出に繋がるかも、と思いつきます。自然なカタチでタレントが使ってくれたほうが絶対に強いだろうし。ロケ弁当屋さんと契約し、年4回2万部発行というカタチでスタートしました。芸能人や番組制作スタッフに直接アプローチできるメリットを訴えて、広告費をとるビジネスモデルです。

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 2年くらい続けたあと、ちょっと飽きてきて、次のステップに進みます。今でいうインフルエンサーの走りになる読者モデルブロガーの勢いが注目されていました。彼女たちのプロフィールやPV数とかを書いたリストを作ってプロモーションに活用するビジネスです。読者モデルブロガーとして年間数千万円稼いでいる人がいて驚きました。そこから、芸能事務所所属ではなく一般的に有名ではないけど、企業にとっては価値がある子、というのに注目するようになりました。
 その他には、声優の子たちを使ったテレマーケティング。アニメ関連の専門学校で高校生たちに来校を誘う電話を声優さんにやってもらったら、通常の5倍の人が来校したなんて実績も作れました。ただ、これは声優さんをフィックスするのが大変なわりに、たいして儲からないって難点がありました。
 こんなビジネスを続けているうちに、年商1億くらいにはなっていて、今後会社をどうするのか?真剣に考える時期がありました。社員は持たずに業務委託だけでやっていたんですが、初めて社員を雇って会社を経営することを考えました。何年も1人でやってきて、自分の感覚もきっと古くなっていくし、若い子たちの力を借りてサービスを提供していこうと思うようになったんです。

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さまざまなジャンルで活躍する人を
求める企業にマッチングするお手伝いを

 とはいえ、かなりマイペースでやっていたんですが、ここ最近は一気にスピードアップしてきて、上場を目標に掲げるようになりました。会社を成長させるためにはどうしたらいいんだろう? という思いを素直にいろんな人に聞いてみたら、そこからどんどん進んできた感じです。

 今のスタイルになっていちばんよかったのは、自分がプレーヤーをやめたことです。自分でやったことはどれもうまくいってないし(笑)。おもしろいとは言われるし、新しいことを作るのは上手なんだけど、そこからブレイクさせられないんですよね。でも、あるとき、自分より上手に交渉している子の姿をみて、あれ?って。自分が言うよりよっぽどいいカタチになってるんじゃないか、って発見です。そこに気づいたら、このビジネスを育てたい、もっとおもしろいカタチにしたいって思う仲間が周りにいることにも気づいて、そこから一気に変わりました。役割分担を考えて、いろいろなジャンルを得意とする人たちを採用するようになりました。

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 今の時代はいろんなジャンルで活躍する人たちが、バラバラの舞台で活躍しています。事務所に所属していない人もたくさんいます。そんな彼らにプロモーションを手伝ってほしいと思っている企業や団体もいる。それらをつないでくれる人がいたら助かりますよね。活躍している人たちを丸ごと把握して、みんなの才能と企業の間に入って、キャスティングサポートしていくのが僕たちの仕事です。
 今後はより多岐にわたった才能の人が登場してくると思うので、そんな人たちを残らず紹介できるような会社でありたいと思っています。いずれは、日本だけでなくアジアでも拡大していきたいという野望を持っています。

「事務所に所属していない人たちを探して捕まえるのも大変ですよね?」と質問すると、「そんなジャンルが好きな人を採用すればいいんです。自分が好きなジャンルのヒーローを紹介したがる子が会社にいれば、頑張って探す必要がありませんからね」と。なるほど。社員のやりがいとビジネスの隙間がバッチリ合うというわけです。仕事は数万円から数千万円まであるそうですが、そのすべてに対応したいと言います。大きな野望の実現、期待しています! 

下町の2D&3D編集者。メディアと場作りのプロデューサーとして活動。ワークショップデザイナー&ファシリテーター。世界中の笑顔を増やして、ダイバーシティの実現を目指します!